2017.03.22

【5人制サッカー】[さいたま市ノーマライゼーションカップ ]パラリンピック4連覇中のブラジルに1対4。積極的な攻撃を仕掛けるも、続く日本の険しい道のり

ブラインドサッカーの日本代表とパラリンピック4連覇中のブラジル代表が戦った「さいたま市ノーマライゼーションカップ 2017」は20日、フットメッセ大宮で行われた。会場には、約1200人の観衆が集まり超満員。一時は入場制限を行うほどだった。

攻撃的に生まれ変わった日本

高田敏志監督は試合前に選手たちに「打ち合いをしよう。2点取られても3点取ればいい。3点取られれば4点取ればいい」と声をかけた。

昨年の欧州遠征では、全試合でゴールを奪い、アジアの強豪中国相手にもゴールを奪った。高田監督就任後、攻撃的に生まれ変わった日本は自信を持ってブラジル相手にも攻撃的に挑んだ。奪ったボールはしっかりサイドチェンジし、ポゼッション率を高める。マイボールのときには全体のラインを押し上げ、集団的に攻撃を仕掛ける。ボールを失っても、高い位置でプレッシャーをかけ続けた。最後尾で守備のバランスを見ていた田中章仁は、時折ハーフウェイラインを越えるほどだった。


強烈なシュートを放ったブラジルのマルコス

日本は何度も高い位置でボールを奪ったが、前半7分に先制点を決めたのはブラジル代表のマルコス・アウヴェスだった。先制点を奪われたがそれでも日本は引かない。その積極的な姿勢が実を結んだのが16分、中央の川村怜から右サイドでパスを受けた黒田智成が相手ディフェンスと入れ替わって裏に抜け出し、中に持ち込んで右足でシュート。豪快にゴール左隅に突き刺した。



左サイドの高い位置に佐々木ロベルト泉がポジションを取っていたため、ブラジルは両サイドを目一杯開く形で守っていた。黒田が右サイドで一枚交わしたことで、ブラジルの中央のディフェンダーが一枚となり、シュートに十分な時間とスペースが生まれた。全体で高い位置取りを意識すること、そしてしっかりとパスをつなぐ意識から生まれたゴール。攻撃的に挑んでいたからこそ、生まれた得点パターンだった。

右サイドを破ってのゴールについては、「相手の右サイドの守備がルーズになっていたので、右サイドから攻めようとコーチングを入れました」(高田監督)と、相手の守備状況を見ての狙いだったことも明かした。

日本がブラジルに追いつき、試合は一進一退の様相を呈す。互いに惜しいシュートを放つまさに真っ向からのぶつかり合い。日本はブラジルのボールホルダーに対して、ファーストディフェンダーがしっかりボールにチャレンジしに行く。たとえ突破されても二人目がすぐにカバーに走る。カバーに走って生まれたスペースは逆サイドの選手が中央にしぼって対応する。攻撃的に戦うからといって闇雲にいくのではなく、そこには緻密に練られた戦略とそれを遂行するための反復トレーニングを積んできたことが、戦い方にはっきりと現れていた。

しかし、前半終了間際の19分、ハイムンド・メンデスのドリブルに日本は足が止まり、勝ち越しゴールを奪われてしまう。
後半に入ると、キレのある川村のドリブルが、ブラジルの右サイドを何度も崩し、日本はやりたい形を作るがゴールを決めきれない。

後半16分、ブラジルはカウンターからメンデスが追加点を決め、19分にはアウヴェスがダメ押し点を決め勝負あり。最終的には1対4で日本が敗れた。

ブラジルから奪った「1点」の意味


日本はブラジルから1点。ピッチ上で黒田のゴールを喜ぶ

この敗戦をどうみるか。過去ブラジル代表と戦った結果は、2014年のフレンドリーマッチでは0対4、2016年のブラジル遠征では0対5で敗れている。今回は攻撃的な戦い方に臨んで取ることができた得点。この1点を大きな一歩とみていいだろう。

また、ピッチを3分の1に区切り、自陣のゴール側から順番にゾーン3、ゾーン2、ゾーン1とすると、相手ゴール前のゾーン1でボールを触った回数が2014年の<13回>、2016年の<9回>から、今回の<24回>と激増している。 さらに守備でのボールダッシュ回数も、すべてのゾーンで増加。自ら積極的に奪いに行き、それが成功していたことが数字にも現れている。



試合後、高田監督が「ブラジルは世界で最もルーズボールを拾うチームですが、今回は(日本が)拾えた」と語ったように、ルーズボール後にマイボールにしたパーセンテージも上昇した。
大敗したとはいえ、日本が新しいサッカーを志し、その成果が現れた試合内容だった。

だが、一方で試合後ブラジル代表のジョジナウド・ソウザ監督は「日本の戦い方に最初こそ戸惑ったものの、攻撃的に来る日本の陣形に対して徐々にうまくスペースに入っていけるようになった」と語っており、「日本が守備的に来るより、攻撃的に来たほうが戦いやすい」と断言した。この言葉は本心かもしれないし、攻撃的に戦う日本に対しての牽制かもしれない。

選手も監督も一定の手応えを感じることができた試合内容だったが、今回のブラジル代表は主力級が自国内の大会で3選手来日していない。2020年の東京パラリンピックで世界王者を倒すためには、まだまだ険しい道のりを歩んでいく必要がある。


text by Tatsu Ikeda
photo by AFLO SPORT,Asuka Senaga
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