2017.04.19

【パラサポNews】あなたにぴったりのパラスポーツは? 「マイパラ! Find My Parasport」スタート! パラアスリートのトークイベントを開催

4月19日、日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)は、パラスポーツを始めたい人をサポートするWebサイト「マイパラ! Find My Parasport」の公開を発表した。

「マイパラ!」は、パラスポーツを始めたい人が障がいに応じてどんなスポーツができるか、希望する地域にどんなチームがあるか簡単に探せる新Webサイト。現在、パラリンピックで実施される27競技(夏季22競技・冬季5競技)についての情報を公開している。2017年夏までにパラリンピック競技以外のスポーツにも情報を拡大させる予定だ。

パラスポーツ普及のための情報提供が目的

パラサポの小澤直常務理事は、サイト開設の理由をこう話す。
「これまでパラスポーツを始めたいと思う人が、自分はどんなスポーツができるのか、どこで始められるのかといった情報を集めづらいという問題があった。さらに昨年のリオパラリンピック後、競技を始めたいがどうすればよいかという問い合わせが増加。パラスポーツ普及のためにも、求める人にしっかり情報を提供し、実際に競技を始められるよう導線をつなげたかった」

小澤常務理事が危惧するように、パラスポーツの普及率は高くない。現在、週に1回以上、スポーツをする健常者が40%に上る一方、障がい者は19%に留まるという。
また2016年のリオパラリンピックへの日本の出場者は、平均年齢が34歳と、オリンピックの出場者に比べて年齢が高いのも特徴だ。これは若者の間にパラスポーツが普及していないことが一因だと、小澤常務理事は見ている。

今後、「マイパラ!」が2020年の東京パラリンピックに向けた若者への普及と競技力向上の一助となることを願っている。

トップアスリートがサイト活用を呼びかけ


オリンピックを目指していた成田

記者発表では、日本パラリンピアンズ協会の河合純一会長の進行で、日本代表として活躍する3人のパラアスリートによるトークイベントも開催した。
登壇したのは、ウィルチェアーラグビーの島川慎一、バドミントンの杉野明子、スノーボードの成田緑夢。イベントに先駆け「マイパラ!」を試し、その診断結果も紹介した。



「マイパラ!」は大きく「パラスポーツ診断」と「チーム検索」にカテゴリーが分かれる。3人が最初にトライした「パラスポーツ診断」では、障がいの種類やスポーツの好み、性格に関する8つの質問に答えることで、自分に向いているパラスポーツを診断できる。
3選手のうち、島川、杉野はそれぞれの専門であるウィルチェアーラグビー、バドミントンが向いている競技にヒットしたものの、自分の専門競技のひとつであるスノーボードがヒットしなかったのは成田だ。

「1番が馬術、2番が陸上競技、3番がパワーリフティングでした。(走り高跳びにも取り組んでおり)陸上は合っていましたけど……。もし、僕がパラスポーツを始めたとき、『マイパラ!』があったら別の競技を始めていたかもしれませんね(笑)」

そんな成田は、パラスポーツを始める際、情報集めに苦労した経験を持つ。2013年、フリースタイルスキーの世界ジュニア選手権で優勝した直後の4月、トランポリン練習中の事故の後遺症で左足にまひが残った。

「僕の夢は、スポーツを通して人に影響を与えたいということだったんです。だからケガの後、スポーツはできないかもと言われ、真っ暗になった気持ちでした。でも障がいを持っていても人に影響を与えられることを知って……。それからは卓球協会や水泳連盟とか、情報を得るためにいろんなところに電話をしまくってできる競技を探しました。そうしたら陸上連盟からパラ発掘イベントがありますよと教えてもらい、それが陸上を始めるきっかけになりました」

成田のエピソードは、どんなパラスポーツができるのか、知りたい人にとってどれだけ情報を得るのが難しかったかを示している。
「マイパラ!」は、かつての成田のように、様々なパラスポーツの情報を求める人たちの声に応えて誕生したものなのだ。


水泳の金メダリストでもある河合氏(写真右)による進行で、トークイベントは終始和やかな雰囲気で進んだ


拠点探しの難しさにも取り組む

「パラスポーツ診断」で、始めたいパラスポーツが決まり、その競技がどんなスポーツか分かったら、次に知りたいのは、どこでそのスポーツができるかだろう。その要望に応えるのが、「チーム検索」機能だ。
これを使えば、やってみたい競技や住まいの地域から参加できるチームを簡単に検索できる。この機能は現在、拠点の確保に悩むトップアスリートの問題をも解決する可能性を秘めている。

トークイベントでは島川が「実際はそんなことはないのですが、床が傷つく、という理由で、ウィルチェアーラグビーを受け入れてくれない体育館が多い。練習できる場所が少ないのが悩みです」と話し、杉野は「拠点が決まっておらず、練習のたびに障がい者のクラブチームに連絡している。毎日、練習場所を求め、体育館を転々とすることがある」と打ち明けた。

「マイパラ!」は、2020年までに1000チームの登録を目指しており、パラスポーツにおける拠点探しの問題に取り組んでいくつもりだ。


ウィルチェアーラグビーの銅メダルメンバーである島川


バドミントンで東京を目指す杉野


パラアスリートが語る「マイパラ!」への期待

トークイベント終盤では、3人のアスリートが「マイパラ!」を通し、スポーツに興味のある障がい者が増えてほしいという期待、そして自身の目標を語った。

「ウィルチェアーラグビーは競技人口も少ないし、若い選手が少ない。『マイパラ!』を通し、若い子にもっとウィルチェアーラグビーについて知ってもらいたい。自分のような年齢(40代)の選手を蹴落としていく選手が出てきてくれれば(笑)。
自分自身は、リオパラリンピックでは銅メダルで、表彰式のとき、1位のオーストラリアの国歌が流れているのを聞き、すごく悔しかったんです。なので、2020年に金メダルが獲れるように頑張りたいのと、自分が選手としてコートにいられるように努力していきたいです」(島川)

「まだまだ若い世代にパラスポーツの存在が知られていないと感じています。でも『マイパラ!』ができたことにより、競技人口が増えてくれるのでは。パラリンピックに出たいとか大きな気持ちでなく、軽い気持ちでスポーツを始めればいいと思うんです。そこからいろんな道が拓けていくものではないでしょうか。
また、いまの私の目標は、すごく大きなところでは2020年パラリンピックのメダルです。今年は韓国で世界選手権があり、来年はインドネシアでアジア大会があります。そこで一つひとつ目標をクリアし、2020年に向かってコツコツと積み上げたいです」(杉野)

「パラスポーツに関する情報は本当に少ない。でも『マイパラ!』は確実に今後のパラの裾野を広げていくと思います。こういうのが前からあればよかったのですが……。僕はパラスポーツの存在を知ることで、明るいところに帰って来られたという気持ちがあります。
そして、今の目標のメインは来年のピョンチャンでの冬季パラリンピックです。ひとまずそこに大半の時間をかけたい。まだまだ安定性に欠けるので、次のシーズンでは安定感を増してもっと上位に行きたいです」(成田)

最後に、司会の河合氏が「こういうサイトも含めて幅広くパラスポーツを知ってもらうことが重要」と力強く語り、トークイベントを締めくくった。


プロジェクトリーダーの前田がサイトの操作方法を紹介


選手たちはそれぞれの競技環境について語った



text&photo by Parasapo
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