2017.07.26

【ボッチャ】[第2回全国特別支援学校ボッチャ大会「ボッチャ甲子園」]まさに中・高生の日本選手権!前年を上回る36チームが熱戦

ボッチャの肢体不自由特別支援学校日本一決定戦「ボッチャ甲子園」。その第2回大会が、7月21日、港区スポーツセンターで開催された。リオパラリンピックでの日本代表チームのメダル獲得から続くボッチャムーブメントもあり、昨年開催された第1回(18チーム/22校が出場)を大きく上回る36チームが出場。高校野球の甲子園大会さながらのトーナメント形式で行われた戦いは、規模的にもレベル的にも「特別支援学校生の日本選手権」と例えるにふさわしいものとなった。

東京都立村山特別支援学校が36チームの頂点に


優勝した東京都立村山特別支援学校チーム「村山フェニックス」

北は北海道から南は沖縄県まで全国各地から38校が集結した今大会。選手たちのその戦いぶりは、昨年以上に、そして予想していた以上に競技性の高いものだった。

リオパラリンピック日本代表を指揮した村上光輝氏は「杉村英孝や廣瀬隆喜が高校生の頃より遥かにうまい」と評価し、第1回に続き観戦に訪れていたBC1クラスのプレーヤーである蛯沢文子も「ただ寄せるだけでなく、どの角度から投げたらよいかなどチーム戦の戦い方も考えている学校も多い」と舌を巻く。



そして、負ければ終わりという激戦を勝ち抜き、センターコートで行われた決勝戦に駒を進めたのは、ともに初出場の2校。東京都立村山特別支援学校チーム「村山フェニックス」と、愛知県立小牧特別支援学校チーム「Brex」だ。

村山フェニックスは、学校の部活動で一緒にボッチャをやっている仲間たちのチーム。リオパラリンピックでの火ノ玉JAPANチームの活躍を見て「自分ももっとボッチャをやりたい」とクラブチームを立ち上げ、日本選手権大会の予選会にも挑んだ小川祐太郎(高1)のボッチャ熱に引き付けられたメンバーで構成されたチームである。
一方のBrexは、今年の日本選手権本大会への出場も決めている国内BC4クラスのトッププレーヤーのひとりである江崎駿(高2)率いるチーム。「学校にボッチャ部を作りたい。そのためにも優勝という結果がほしい」との思いで戦ってきたチームである。

ともに実力あるBC4クラスの選手を核としたチーム同士の決勝戦は、3-2で村山フェニックスがBrexに勝利した。寄せては寄せ返し、自分たちがジャックボールを投じたエンドを取り合った試合は、第1エンドに3点を奪取した村山フェニックスが、第2エンドのBrexの猛追を2点に抑えて逃げ切った。

第2回ボッチャ甲子園の優勝は、東京都立村山特別支援学校という結果になった。

「ふだんの練習通り……いや、それ以上の結果が出せたのがうれしかった」と笑顔を見せたキャプテンの萩原祐人(高1)、「特別支援学校同士で対戦する。こういう機会はなかなかない」と語った小川、「はじめは緊張した。ガチガチだった」と言いながらもムードメーカーとしてチームを盛り上げ続けた小久保和裕(高1)、「ボッチャは部活のみ」ながら本格的に取り組んでいる選手たちとも対等に渡り合った伊藤優希(中3)──それぞれの持ち味を存分に発揮した4人が、見事に全国の頂点へと上り詰めた。

なお、村山フェニックスに惜敗した愛知県立小牧特別支援学校チーム「Brex」が準優勝、3位決定戦を制した東京都立鹿本学園チーム「THE★バンビーズ」が3位、3位決定戦で敗れた茨城県立下妻特別支援学校が4位入賞を果たした。


日本のエース杉村英孝、廣瀬隆喜が始球式


江崎率いる愛知県立小牧特別支援学校が準優勝


東京パラリンピック、そして2021年の全国障害者スポーツ大会に出場できる可能性を提示


選手たちは気持ちのこもった投球を見せた

「特別支援学校のボッチャ日本一を決める」ということの他にも、今大会には大きな役割があった。2020年東京パラリンピックへ向けた有望な人材の発掘である。「今ならまだ2020年に間に合うから、一人でも多くの選手を見たかった。だから、運営的に無理をしてでも36チームに出場してもらった」と日本ボッチャ協会の奥田邦晴代表理事が話した通り、会期中は専門スタッフたちによる選手の視察が続けられた。

サブアリーナではクラス分けも行われた。BCクラスに該当した選手たちには「パラリンピックに出場できる可能性」を、BC以外のクラスに該当した選手たちには「2021年からボッチャも正式種目として実施される全国障害者スポーツ大会の都道府県代表として活躍できる可能性」を提示もした。「各選手にパラリンピックや障害者国体に出場できる可能性があることを気づいてほしかった。そこを狙えるんですよ、というのをまず伝えたかった。明確な目標を与えてあげたかった」(奥田代表理事)



特別支援学校への競技としてのボッチャの普及・浸透・定着の進展にともない、さらに参加校が増えそうなこの大会。今後は、各地域の予選会を勝ち上がった学校のチームのみが出場できる、高校野球における“甲子園”のような大会となるかもしれない。全国特別支援学校ボッチャ大会実行委員会の三浦浩文実行委員長が「底辺がどんどん広がっていくことが、ボッチャ甲子園の願いでもある」と話すように、各地域での基盤づくりも進められることだろう。

パラスポーツの競技団体と肢体不自由特別支援学校の連携、都道府県管轄の肢体不自由特別支援学校の地域の枠を超えての集結……パラスポーツにとっても、特別支援学校にとっても歴史的な大会である「ボッチャ甲子園」が盛り上がりを見せれば見せるほど、日本ボッチャの選手層は熱くなり、質も高まることだろう。


北は北海道から南は沖縄まで全国36チームが集結


素晴らしい投球を見せた後は素晴らしい笑顔



text&photos by BOCCIA FAN
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