2016.05.23

【車いすテニス】[JAPAN OPEN 2016]上地がフルセット制して4連覇達成! 国枝不在の男子はウデが初V!

グランドスラムに次ぐグレードのスーパーシリーズ「第32回飯塚国際車いすテニス大会(JAPAN OPEN 2016)」が、5月17日から22日、福岡県飯塚市で開催された。今年は9月のリオパラリンピック出場権をかけた最終選考大会になっており、例年以上に各コートで熱戦が繰り広げられた。

上地がリオ金へ前進! 世界女王に競り勝つ

まさに、“次”につながる試合だった。


全豪女王のイエスカ・グリフィユン

女子決勝で、上地結衣が今年の全豪女王で世界ランキング1位のイエスカ・グリフィユン(オランダ)に3-6、6-1、6-3で逆転勝ちした。先に主導権を握ったのはグリフィユンだった。この一年で改良して安定感が増したサーブ、そしてライン際を狙う丁寧なショットで、上地に反撃の隙を与えない。だが、上地は「ラリーに持ち込めばチャンスはある」と冷静に分析。第2セットはラリーから先に仕掛けてスペースを作り、ウィナーを打ち込んでいく。上地はファイナルセットで5-0からダブルフォルトやリターンミスを重ね、3ゲームを落とすが、最後はきっちりとサービスゲームで試合を決めた。



上地は19日の準々決勝で第6シードのマリヨレン・バウス(オランダ)にストレート勝ち。2014アジアパラ競技大会(韓国)で優勝を奪われた宿敵カンタシット・サコーン(タイ)を破ったバウスに勝利したことで、自信を深めた。20日の準決勝では世界ランク2位のアニク・ファンクート(オランダ)にも快勝。「サーブ、リターンの次のショットでミスをしない」という課題もクリアし、徐々に調子を上げていた。

上地とグリフィユンは今年3度目の対決で、これで上地の2勝1敗とした。いずれもフルセットの激闘を演じており、実力は拮抗している。リオを占う意味でも、23日に開幕した世界国別選手権、そして全仏オープン、今年からシングルスも開催されるウィンブルドンでの対決にも注目が集まる。

上地はダブルスでもジョーダン・ワイリー(イギリス)と組み優勝。単複2冠を達成し、「今年はどの選手もリオを意識してプレーしている。その中で、自分のテニスを見せられたと思うし、一つひとつ勝っていくことが自信につながる」と話し、確かな手ごたえを感じた様子だった。

若手の挑戦を跳ねのけたフランスのウデ

4月に右ひじを手術した国枝慎吾が出場を見送った男子。今や主流となっているパワーテニスの申し子である若手が台頭し、やはり今大会も準決勝に20代の3選手が進出した。そのうち、決勝に駒を進めた27歳のヨーキム・ジェラード(ベルギー)の挑戦を決勝で鮮やかに跳ねのけたのが、世界ランク1位のステファン・ウデ(フランス)だ。

切れ味抜群のサーブとリターンを誇るジェラードに対し、ウデは冷静にコースに打ち分け、試合巧者らしさを存分に示す展開に。第1セットは第4ゲームをブレークすると試合を支配。得意のラリーに持ち込み、粘りのプレーで相手のミスを誘い、ストレートで勝利した。ウデはこれが6度目の決勝進出で初優勝。また、マイケル・ジェレミアス(同)と組んだダブルスでも頂点に立ち、「シンゴがいなかったのは残念だけど、とてもハッピー」と笑顔を見せた。一方のジェラードは「ライバルに勝つには安定した試合運びが必要なのに、自分はミスをした。そこがグッドプレーヤーとベストプレーヤーの違いだと思う」と話し、盤石のテニスで試合を制したウデを称えた。

日本勢で唯一、8強に進出したのは眞田卓。1、2回戦ともストレートで勝ち上がり、準々決勝で第2シードのゴードン・リード(イギリス)と対戦。今年の全豪オープンで初優勝した世界4位の強敵を相手に攻撃的なテニスを展開するが、リードの左利き特有の変化をかけたスピンに苦しみ、3-6、2-6で敗れた。「彼のようなスピンの選手に対してスライスをどう有効的に使っていくか、今後調整していきたい」と話し、前を向いた。


国枝不在の男子は、ウデが制した


ベスト8に進出した眞田


大混戦のクァードはアルコットが連覇!

三肢以上に障がいがあるクァードクラスは、世界ランクトップ10の選手がずらりとそろった。そんなハイレベルな戦いの頂点に立ったのは、世界ランク1位のディラン・アルコット(オーストラリア)だ。決勝では元世界NO.1のデビッド・ワグナー(アメリカ)を6-3、6-3で下し、2連覇を達成。北京、ロンドンパラリンピックに車椅子バスケットボールのオーストラリア代表として出場したアルコットは、2014年に約9年ぶりにテニスを再開。左右に伸ばすと1m95㎝ある長い両腕が生む強力なサーブとバスケで培ったチェアワークが武器だ。自身3度目のパラリンピック出場、そしてバスケットボールで獲得した金・銀メダルに続く「3つ目」のメダルを目指す。

ダブルスは第2シードのバードキン・ラプソーン組(ともにイギリス)が、第1シードでパラリンピック3連覇中のワグナー・テイラー組(ともにアメリカ)をストレートで下して優勝した。

text by Miharu Araki
photo by X-1
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