2016.06.13

【アイススレッジホッケー】冬季パラリンピックの人気競技が「パラアイスホッケー」に競技名称変更

冬季パラリンピックの人気競技であるアイススレッジホッケー。その競技名称が、2018年から「パラアイスホッケー」に変更されることになった。

6月9日、IPCアイススレッジホッケー競技委員会から日本パラリンピック委員会(JPC)に通達があった。今年5月、モスクワで開かれたIPCアイススレッジホッケースポーツフォーラムで、国際パラリンピック委員会(IPC)が国際的に「パラ(Para)」という障がい者スポーツの名称を各競技で統一させる目的で、「アイススレッジホッケー」から「パラアイスホッケー」に変更する協議が行われていた。

17年は競技名称移行期間となり「アイススレッジホッケー」と「パラアイスホッケー」の併用が認められる。18年からは「パラアイスホッケー」が使用される。


日本代表のベテラン須藤

国内の統括機関である日本アイススレッジホッケー協会(JISHA)によると、この競技名称変更は2年ほど前から同フォーラムで議題に上がっていたとのこと。参加各国の反応は、ヨーロッパ勢が競技普及のためのIPCの方針ということでおおむね賛同。一方で、アメリカとカナダはこれまで慎重派だったという。たとえば、アメリカには座って行うアイススレッジホッケーだけでなく、義手や義足をつけて行うスタンディングの障がい者アイスホッケーのチーム、聴覚に障がいを持つ選手のアイスホッケーもある。それらはIPC種目ではないため「パラ(Para)」の線引きが難しいという側面もあったと考えられるが、世界的な流れを鑑みて今回、了承するに至ったという。



2015-16シーズンの日本代表キャプテンを務めた須藤悟は、競技名の変更について、「競技を20年続けているが、アイスホッケーが盛んな北海道でもアイススレッジホッケーの認知度はまだ低く、選手も少ない。日本で新名称が浸透するにはやはり時間がかかるだろうが、今回の話題をきっかけにこのスポーツに興味を持ち、新たに選手が集まってくれれば」と話している。

なお、時期は未定だが、同協会は競技団体名も変更する。

他競技では、パラ種目の統合や連携が進む

IPCの名称統合の動きの一方で、国内においても一般の競技とパラ種目の統合や連携が進んでいる。パラサイクリングはUCI(国際自転車競技連合)の傘下にカテゴライズされており、日本国内でも日本パラサイクリング選手権がJCF(日本自転車競技連盟)主催の全日本選手権との共催で行われている。陸上競技では、昨年から国内外のトップアスリートが集結するセイコーゴールデングランプリで、義足で走る切断クラスなどのパラレースを実施。また車いすテニスは、健常のテニスと同様にITF(国際テニス連盟)の傘下にあり、世界ツアーが行われ、世界ランキングも毎週更新されるなど、システム化が進んでいる。ITU(国際トライアスロン連合)の傘下にあるパラトライアスロンも同様だ。

では、アイススレッジホッケー界は今後どうなるだろうか。同協会によると、IPCアイススレッジホッケー競技委員会は、2016年中にIIHF(国際アイスホッケー連盟)の傘下に入るべく協議を重ねているものの、未だ合意に達していないとのことである。また日本国内では、多くのアイスリンクにおいてベンチと氷の間に段差があったり、ベンチとペナルティボックス前に透明のフェンスボードが設置されていないなどの物理的な問題があり、一般と同じ大会の中でアイススレッジホッケーの競技大会を実施することは今のところ現実的ではない。だが、国内で開かれるアイススレッジホッケーの国際大会ではJIHF(日本アイスホッケー連盟)が後援し、JIHF所属の審判を派遣するなど地道に信頼関係を築いている。今後もこのつながりを継続していきながら、発展を模索していくことになりそうだ。

バンクーバー銀、ソチ不出場の日本は、ピョンチャンを目指す


バンクーバーで銀メダルを獲得した日本だったが……

競技としての勢力図に目を移すと、現在はアメリカとカナダが世界をリードする。そして、パラリンピック初出場ながらソチ大会で銀メダルを獲得したロシアは勢力を維持し、昨年の世界選手権でも強豪ノルウェーを破って3位と、存在感を見せている。日本は1998年長野パラリンピックから4大会連続でパラリンピックに出場。2010年バンクーバー大会で銀メダルに輝くも、その後失速し、ソチ大会の出場を逃した。



18年ピョンチャン大会を目指す日本は、15年の世界のトップ8が出場するAプール世界選手権で8位となり、Bプールに降格。そのBプール世界選手権が、今年11月に北海道・苫小牧市で開催されることが決まっている。ここで上位に入り、ピョンチャンの出場権をかけた来年の最終予選につなげるため、強化合宿を重ねている。

text by Miharu Araki
photo by X-1
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