2016.07.31

【ゴールボール】[ジャパンパラゴールボール競技大会]日本女子、連覇狙うリオ前哨戦で準優勝。3位の若手主体のBチームとともに大きな収穫

ゴールボール女子の国際強化大会、ジャパンパラ競技大会が7月22日から3日間の日程で東京・足立区総合スポーツセンターで行われた。参加したのはリオパラリンピック出場を決めている日本代表Aとイスラエル、さらには韓国と若手主体の日本Bの4チーム。2日間の予選ラウンドを経て、最終日の決勝戦で日本Aはイスラエルに2対3で敗れ、準優勝となり、3位決定戦では日本Bが韓国を5対2で下し、銅メダルを手にした。

リオの初戦で対戦するイスラエルに惜敗

決勝戦は開始早々、イスラエルの力強いバウンドボールやスピードボールなどで日本が守備の壁をこじあけられ、立て続けに3点を先行され苦しい展開になる。その後、浦田理恵主将を中心に守備を立て直し、小宮正江が1点を返して前半が終了。後半2分で交代した安達阿記子が試合終盤に得点し1点差に詰めよるも、時間切れ。2対3で今大会唯一の黒星を喫し、悔しい2位に終わった。

日本女子は4年前のロンドンパラリンピックで金メダルを獲得している。守備力を磨き上げ、決勝でもパワーで鳴らす中国を無得点に抑え、1対0で勝利した。夏冬を通じ団体競技としては日本勢にとって初のパラリンピック金メダルをもたらした、この視覚障がい者のために開発されたパラリンピック特有の競技は一躍注目を浴びた。


市川喬一ヘッドコーチ

実は、日本は連覇を目指すリオの初戦で、このイスラエルとの対戦が決まっている。今大会で3戦全勝し、「強い相手」と印象づけることは短期決戦のパラリンピックで初戦に向け、大きな意味があったはずだが、その思惑は未達に終わった。

市川喬一ヘッドコーチ(HC)は、だが、「すばらしい大会だった。出来高に関しても100%、僕が掲げていた工程表のすべてが達成できた。これは情報戦だから」と、満足感を口にした。市川HCによれば、4年前に一度、対戦しただけで情報の少ないイスラエルの戦いぶりを動画で撮影し、情報を集めることも今大会の狙いのひとつだったのだ。


ゴールボールは、選手がアイシェードをつけ視界を閉ざして競技するため、リアルタイムでの情報収集は限られている。そのため、事前にどれだけの情報を集め、相手の特徴や戦略を把握し、対応策を講じておけるか。それを試合でいかに実践できるかがカギとなる。

ロンドン以降、日本はその情報戦で苦しんだ。ライバル国に持ち味の守備体型を徹底的に研究され、小柄な日本選手が守りにくいバウンドボールを多用されるようになった。さらなる飛躍には、相手の攻撃パターンを知り、守備の精度を上げることが至上命題だ。
情報のインプットだけでなく、リアルタイムでの対応力も重要だ。市川HCも、「最終的には選手が判断する部分を重視したい。“ブラインド(全盲状態)”でやっている競技なので、情報ばかりにとらわれると選手も混乱する。選手には、感じたがままに動いてもらいたい」と強調する。


イスラエルから集中砲火を浴びた欠端

その方針は決勝戦の采配に垣間見えた。イスラエルの攻撃の狙いどころは欠端瑛子が守るレフト側で、実際、そこで3得点されている。だが、市川HCは後半2分過ぎまで欠端を使い続けた。

「交代してしまえば、本人が『ダメだった』と思うだけ。ゲームは常に動いているので、本人がその場で軌道修正をかけられないと永遠にうまくならない。(今大会は)本番ではない。(リオ)パラに向けて、自分で考えなさいという思いだった」と意図を明かした。


今回の敗戦を、選手たちも前向きにとらえている。浦田主将は、「今大会を通じて相手のいいボールを受けられ、自分たちの(守備の)壁をもう一度見直すという課題を明確にできた」と収穫を語った。さらに、「リオは、チームとしては連覇があるので一丸となって向かっていきたい。世界もすごく強くなっている。『ロンドンは過去のもの』として、また新しいものという気持ちで」と決意を新たにする。

イスラエルのHCは、「予選は2連敗したが、決勝はとても面白い試合になった。我々に少しツキがあって勝てた。リオでも最高のパフォーマンスをしなければ」と日本との再戦に気を引き締めていた。

互いに貴重な経験と情報を得た両チーム。リオの大舞台でどれだけの進化が見られるか。好ゲームを期待したい。


パワーのある投球で攻めるイスラエル


日本の攻撃の中心は安達


大きな一勝を手にした若手主体のBチーム

3位決定戦は、予選ラウンド全敗の日本Bが意地を見せる。予選で1対3、0対3と2敗した韓国に対し、試合開始早々に先制点を奪うと、一気に畳みかけ、わずか2分で3点を加え、4対0で試合の主導権を握る。韓国が1点を返すも日本Bはすぐに取り返し前半終了。後半、韓国の反撃を1点に抑え、日本B は5対2で3位をもぎ取り、大会初勝利を貴重な1戦で挙げた。

日本Bはメンバー4選手のうち、国際大会初出場の2選手がいる若手主体のチーム。エースの安室早姫は、「予選ラウンドでは全然勝てず、最後は勝って帰りたいと思っていた。今日は一番落ち着いてやれた。チームワークも予選を重ねるごとによくなっていった」と勝因を語った。

前日、全敗で予選を終えた後、「すべては明日のため」と話していた増田徹監督は「3位」という結果に、「予定通り(の勝利)。この試合(3位決定戦)に合わせて、昨日と今日のゲームを合わせて(ゲーム)プランをつくっていたので、その通りにやってくれた選手に感謝しています」と表情を和らげ、「1球1球成長が見えた。自信を得たところが大きい」と収穫を口にした。

「競技力強化」がテーマのジャパンパラ競技大会で、それぞれの目的を達成した日本代表の2チーム。このステップが、リオ、そしてその先へ、つながっていく。


大会を通して成長した日本B(写真左が安室)


ロンドンでチームを導いた小宮が国際舞台に復帰



text by Kyoko Hoshino
photo by X-1
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