2016.11.08

【車椅子バスケットボール】[第27回全日本女子車椅子バスケットボール選手権大会]カクテルが3年連続7度目の優勝 ! エース不在も盤石の強さでライバルを圧倒

女子のクラブチーム日本一を決める「第27回全日本女子車椅子バスケットボール選手権大会」が11月5日、6日の2日間、グリーンアリーナ神戸で行われた。全国の女子選手が集まる唯一の大会で、今年は東北から九州まで7チームが参加。頂点をかけて、熱い火花を散らした。

圧倒的な力を見せつけたカクテル。北田がMVPを受賞

決勝は3連覇を目指すカクテル(近畿)と、準決勝でELFIN(関東)との大接戦を制して勝ち上がったBrilliant Cats(東海北陸)のカードに。カクテルはキャプテンの北田千尋(4.5クラス)を中心にゲームメーク。第2ピリオドは相手に3ゴールしか許さないなど堅い守備からリズムをつかみ、前半で19点差をつけた。試合終盤はBrilliant Catsに連続得点で粘られたが、最後まで声を出して走り切り、67対35で優勝を飾った。


ローポインターの北間優衣も活躍

カクテルの中心選手である網本麻里が今季はドイツの1部リーグ・ケルンでプレーしているため不在。岩野博コーチは「絶対的エースに頼れない分、積極的にプレーしていた」と選手を称えた。キャプテンの北田は、「網本がいなくても戦略は変わらない」ときっぱり。「もともとローポインターが多いチームだから、日ごろから一人ひとりのシュートの意識を高め、確率の高いプレーを追求してきた。その結果が出たのはよかった」と話す。チーム力に磨きがかかり、自身は大会のスリーポイント賞とMVPを獲得した。だが、満足はしていない。「(チームテーマである)“しゃべること”はもっと工夫してミスを減らさなければ」。前人未到の“10連覇”を目指し、さらなる努力を重ねていく。



九州ドルフィンとELFINが対戦した三位決定戦は、ELFINリードで展開。第2ピリオドに入るとハイポインターのプレーがかみ合わず、九州ドルフィンに1点差まで追い上げられたが、「丁寧なプレーを」と声をかけあって修正。そこから8連続ゴールを決めて引き離し、50対32で勝利した。

ELFIN にとって、1回戦で勝利したSCRATCH(東北)戦、準決勝で敗れたBrilliant Cats戦はいずれも「1ゴール差」の接戦だった。ベテランの添田智恵(3.5クラス)は「準決勝のように接戦を落とすのが今の実力」と悔しさをあらわにした。とはいえ、主力選手の脱退と休部により新チームとなり、まだ1年足らず。添田は「チーム再構築中でも接戦まで持って行けたことはよかった」とも語り、成長の一端が見えたことを評価。今後の若手選手の進化に期待を寄せた。

リオ男子日本代表選手が女子チームの監督に

リオパラリンピック男子日本代表で、長年トップで活躍する藤井新悟が、SCRATCHのコーチとして采配を振るった。ELFINと対戦した1回戦は終盤まで同点で進むも、最後にボックスアウトが乱れ、相手にブザービーターを許して悔しい敗戦。「僅差の試合を落としたのは自分の責任」と唇をかんだ。


SCRATCHの監督に挑戦した藤井

SCRATCHは女子日本代表監督の橘香織氏が立ち上げたチームだ。だが、橘氏は代表監督に専念するため、同じ東北の男子の宮城MAXで選手兼アシスタントコーチをしていた藤井に指導を託した。藤井は「愛着あるチームから離れるつらい決断だったと思う」と橘氏の気持ちを汲むと同時に、自身の経験を活かせるチャンスだとして、承諾。今大会は、チーム目標に加えて、「橘さんのために頑張る」ことをチーム全員で決めて臨んだ。結果は5位で昨年の成績(2位)は上回れなかったが、藤井は「これから経験を積んでいけたら」と話し、来年のリベンジを誓った。



女子の競技人口と強化への取り組み

日本車椅子バスケットボール連盟(JWBF)の女子登録チームは8(男子73)、女子登録選手は女子78人(男子580人、2016年1月1日現在)となっている。日本選手権においては、各地域のブロック予選を勝ち抜いた16チームが参加する男子と異なり、女子はブロック予選を行わず開催。また、本来は8チームが出場できるが、ここ数年は選手不足などの理由でエントリーを辞退するチームがあり、今年も7チームにとどまった。


3連覇を達成したカクテルのメンバー

JWBFによると、来年の男子の日本選手権から女子選手の出場登録が可能になるという。もちろん、チーム内の競争に勝ち、出場メンバーに選ばれる必要があるが、女子選手の裾野拡大と強化につながるものとして、期待は大きい。

また、2020年東京パラリンピック開催決定後、JWBFに寄せられる「体験会を開いてほしい」というリクエストが増加しているという。ただ、その多くは、学校や地域のイベント、協賛企業からの打診だ。「そこからどう障がいを持った子どもたちへの普及につなげていくかが課題」と関係者は話す。4年後以降をも見据えた環境づくりの推進に注目が集まる。



text by Miharu Araki
photo by X-1
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