2016.11.27

【車椅子バスケットボール】[北九州チャンピオンズカップ]強豪揃いの国際大会で日本が優勝! 東京世代の活躍を地元市民が盛り上げる

今年で13回目を迎える北九州チャンピオンズカップ国際車椅子バスケットボール大会が18日から20日の日程で開催された。男子における若手トップ選手の強化を主目的としており、リオパラリンピック9位だった日本代表のリスタートとなる大会。アメリカ、イギリス、オーストラリアと日本の4ヵ国で優勝を争った。

U23世界選手権に向けて強化を図る若きジャパンが出場

総当たりの予選を終え、日本は全勝で決勝に駒を進めた。チームは、1月のU23世界選手権予選(タイ)を見据え、オーバーエイジとなる3選手を起用しながら、U23世代の戦力アップを図っているところだ。「まずは走るバスケをし、その次は走った後にどう展開するのか。選手自身が考えてできるようにしたい」と京谷和幸ヘッドコーチが話すように、選手たちは勝利だけではなく、一試合一試合の内容にこだわり、実戦を積み重ねている。

予選では初戦でアメリカ相手に勝利を収めながらも、相手ビッグマンにインサイドを支配され、ガードの選手に自由自在にボールを運ばれる場面があった。リオ日本代表でこのチームの主軸である鳥海連志(2.0クラス)は反省を口にする。「レイアップも多く決まり、『走る』テーマはうまくいったと思うが、(チームで話していた)ボールマンプレッシャーについてはまだできていない。もっとケアできるところがあった」

だが、彼らは成長過程にある。翌日のイギリス戦では、鳥海らが中心となり、チームのベースラインへの意識を徹底させて、ロースコアゲームに持ち込むなど一定の成果を見せた。京谷HCも「(合宿から)同じことを言い続けているのもあるが、伝えたことにすぐ反応できるようになった」と語り、チームの成長を喜んだ。

イギリスと対戦した決勝も、そのディフェンス力が光った。シュートを外すイギリスに対して、日本は古澤拓也(3.0)や鳥海の速攻、ドイツリーグのケルンでプレーしているハイポインター村上直広(4.0)のミドルショットが決まり、序盤からリード。その後も主導権を譲らない日本が、59対47で勝利し、2年ぶりの優勝を飾った。


優勝を喜ぶ日本代表チーム


彼らの次のターゲットは世界選手権予選。オーストラリアなど強豪国を倒し、その先のU23王者を目指す。優勝で自信を得た彼らはどこまで成長するか。次世代の躍進と挑戦に注目だ。

入場料、小学生大会、ファンサービス……北九州チャンピオンズカップのさまざまな取り組み

ところで昨今、パラスポーツの国際大会を日本に誘致しようという機運が高まっているが、2003年から行われている同大会は、国内で継続的にパラスポーツの国際大会が開催されている数少ないケースである。

同大会は、2002年に10日間で約8万人を集めた車椅子バスケットボールの世界選手権「北九州ゴールドカップ」の成功を継承しようと創設されたもの。「市民の手づくり」をコンセプトとしており、例年約300人の市民が会場運営に参加。地域の人たちに愛され、恒例イベントとして定着している。今大会も初日だけで実に75団体が観戦に訪れていた。

同じ九州エリアでは、32回の歴史を刻む飯塚国際車いすテニス大会、26回の開催を誇る大分国際車いすマラソンも開催されているが、北九州市で開催されている同大会の特徴は、大会中に設けられているサイン会など選手によるファンサービスの時間や、地元の健常者による「北九州市小学生車椅子バスケットボール大会」の同時開催などユニークな取り組みがなされていることだ。


会場には海外チームを応援する横断幕も


例年白熱するという小学生大会には3校6チームが出場


観戦チケットは有料で、当日券は一般500円。入場無料のケースがほとんどのパラスポーツの大会では、有料チケットの販売は珍しいことで、「お金を払ってでも観に来てくれる人がいる。そんな人たちの気持ちがうれしいし、車椅子バスケットはそれだけの価値がある」と主催者。有料化は第一回大会から始めていたといい、これはパラスポーツ界では画期的な取り組みといえるのではないだろうか。

印象的だったのは、ボランティアの中に子どもの頃「北九州ゴールドカップ」で選手と交流したという市民がいたことだ。広報担当者は「“種まき”の成果が芽生え始めている」と感慨深げに語ってくれた。
身近なところにある子ども時代の経験が、パラスポーツやアスリートに対する意識を変える。「多くの人にパラスポーツの魅力を知ってもらい、関わり続けてほしいと思う。東京パラリンピックはそのいいきっかけになるのでは」と広報担当者はさらなる期待を寄せていた。


体育館前の広場では代表選手とフリースロー対決が行われた


キャラクターが客席にサインボールを投げ込むファンサービス


text&photo by Asuka Senaga
photo by AFLO SPORT