2016.11.30

【ゴールボール】[日本ゴールボール日本選手権]“チーム・フゾク”がアベック2連覇の快挙!

視覚障がい者の球技、ゴールボールの日本選手権大会が11月26日から2日間にわたり、東京の青梅総合体育館で行われた。全国予選から勝ち上がった男子8、女子4チームが出場し、男子はチーム附属Aが、女子はTEAM FUZOKUがそれぞれ前回からの連覇を達成し、日本一に輝いた。

両チームとも、筑波大学附属視覚特別支援学校の生徒や卒業生、教員らで構成された、“ファミリーチーム”で、アベックでの連覇という快挙だった。日頃から厳しい練習をともにし、励まし合ってきた成果が存分に発揮されたかっこうだ。

女子らしい1点差ゲームとなった決勝戦

女子決勝は総当たり戦による予選リーグを経て、TEAM FUZOKUと国リハLadiesチームむさしずくの対戦となった。前半序盤にTEAM FUZOKUは左ウイング高田朋枝、センター安室早姫の活躍で2得点する。その後、反則によるペナルティスローを堅い守りで跳ね返し、2回ともピンチを凌いだ。

国リハLadiesチームむさしずくは後半残り6分でようやく若杉遥がTEAM FUZOKUの壁を破ったが、反撃もそこまで。2対1でTEAM FUZOKUが勝利をつかんだ。

持ち味の守備が光ったTEAM FUZOKUの寺西真人コーチは、早々の2得点について、「ラッキーだった。今年は『打倒FUZOKU』って言われ続けていたから、『勝たなきゃいけない』と選手が緊張していた」と、僅差の勝利にホッとした笑顔を見せた。

男子決勝は、チーム附属Aのパワーがさく裂!


得点王の活躍だったウイングプレーヤー信澤

男子は一転、連覇狙いのチーム附属Aが、昨年6位で初優勝を狙うAmaryllisを10対1で圧倒した。前半序盤に、Amaryllisの反則にチーム附属Aのエース信澤用秀がペナルティスローをきっちり決めて先制すると、その後も次々と加点。Amaryllisはエース辻村真貴が強烈なバウンドボールで1点を返すも、チーム附属Aはさらに加点し、前半を5対1で終える。

後半は互いに譲らず、膠着状態が続いたが、チーム附属Aが均衡を破ると、そのまま一気に10点まで加点。守備もセンター川嶋悠太を中心に安定し、危なげなく勝ち切った。


男子日本代表主将も務める信澤は、他の2人も強化指定である自チームについて、「僕らは勝つことが当たり前だし、勝たないといけないチーム」と連覇達成にも冷静で、むしろ国内大会では全体的に大量得点試合が多いことに危機感を募らせた。「日本全体としてディフェンス力をあげないとダメ。『1点取られても、1点取り返せばいいだろう』という試合をしていては世界で勝てない。ちゃんとボールの音を聞いたり、(守備の)姿勢を崩さないようするとか、基本を確実にしたい」と課題を口にした。

女子の3位は、Moon Lusterが九州なでしこの選手負傷による棄権のため不戦勝。YMS2とIBKの対戦になった男子はとくに後半、激しい点取り合戦となったが、終盤の波状攻撃によりYMS2が9対8で勝利した。接戦を制したYMS2の安藤勇二は、「チームが一致団結できた。ケガをした橋詰(伸明)さんが点をとってくれたので、最後は『守るしかない』と思った」とチームワークを勝因に挙げた。


センターの安室は、守備力に自信を見せた

なお、個人賞として、最優秀選手賞に男子は川嶋が、女子は安室がそれぞれ初受賞。川嶋は、「ゲームメークが評価されたと思う。ウイングに(投げる方向など)指示を出して、それが得点に繋がったので良かった」と話し、安室は連覇を意識してしまい、「こんなに緊張するかと思うほど緊張した」と振り返りつつ、「(ディフェンスは)ほぼパーフェクトだったと思う。後ろにボールを弾くことなく、しっかり止められた」と自身を評価した。

リオから東京へ。決意新たに

今大会の開会式では、今夏のリオパラリンピックに出場した日本女子チームが結果報告を行った。浦田理恵主将は、「結果は悔しい5位。メダルを持ち帰ることができなかったが、応援の力で一つひとつ成長できた。これからも切磋琢磨して一歩一歩ステップを上がっていきたい」と、開催国として迎える2020年東京パラリンピックに向け意気込みを語った。

東京パラリンピックには男子チームも開催国として初出場する。日本ゴールボール協会によれば、来年3月には新たな強化指定選手を発表し新体制となって東京パラリンピックへと始動する予定だという。今大会は強化指定選手選考大会のひとつであり、選手たちは高い意識で臨んでいた。

リオパラリンピック日本代表でもあったMoon Lusterの欠端瑛子は、「回転投げの威力をもっとつけたい。腕投げになりやすいので、腰を中心に体全体で投げられるよう筋力をつけて、フォームも見直している」と課題をもって練習に励んでいるという。

Amaryllisの金子和也はゴールボール歴2年だが、今後の活躍が期待されるひとりだ。「コート感覚がまだ身についていないので、そこを直せば攻撃の幅も広がると思う。正ポジションはレフトだが、オールポジションをこなせる選手になれば、今の日本代表にはいないので、武器になると思う」と東京パラリンピックを見据え、大きな目標を掲げていた。


決勝に勝ち上がったAmaryllisの辻村、金子、工藤


レベルアップを誓ったリオ日本代表の欠端


会場観戦者を増やす取り組みも

パラスポーツの国内大会は一般的に観客が少ない。その要因のひとつは、「見慣れないので、楽しみにくいこと」。そこで、協会では数年前から国内開催の主要大会でヘッドホン型の骨伝導補聴器を観戦者に貸出し、実況解説放送を実施している。一般的なイヤホンとは違い、骨伝導式は耳の穴を塞ぐ必要はなく、解説は振動として伝わり、試合会場の声や音も聴くことができる。「臨場感も味わえる」と目の不自由な観客からも好評だった。


女子代表チームがリオでの戦いを報告


観客にも選手にも好評だった実況解説


text by Kyoko Hoshino
photo by X-1