2016.12.06

【アイススレッジホッケー】[IPCアイススレッジホッケー世界選手権Bプール]日本が準優勝、ピョンチャンパラリンピック出場への最初の関門を突破!

2018年ピョンチャンパラリンピック出場への最初の関門となるアイススレッジホッケーの世界選手権Bプールが11月28日から12月3日、北海道苫小牧市の白鳥王子アイスアリーナで開かれた。日本、チェコ、スロバキア、イギリスの4ヵ国が参加。総当たりの予選を2勝1敗とした日本は、決勝でチェコに敗れて2位に終わったが、来年秋開催予定のピョンチャンパラリンピック最終予選出場権を獲得した。また、チェコと日本は2018‐19シーズンの世界選手権Aプール昇格を決めた。

布陣変更を復活の突破口に

この数年、苦境に陥っている日本代表。復活の足掛かりとなる大事なトーナメントでひとまず結果を残し、選手たちは疲れた表情に安堵感をにじませた。


日本は須藤(写真)、熊谷ら主力のプレー時間が長い

昨年5月の世界選手権Aプールでは5戦全敗で最下位の8位に沈んだ日本。ライバル国と比べて選手層が薄く、FW熊谷昌治、DF須藤悟らを中心とした主力セットに頼らざるを得ない状況だった。しかし、一線を退いていたFW安中幹雄がこの9月に復帰したこともあり、10月のチェコ遠征ではようやく2セットまわしで戦うことができた。また、この遠征ではこれまで前線でプレーしてきた熊谷と吉川守をDFで起用する布陣に挑戦。スロバキアと格上のドイツに勝利した。今大会はその布陣を継続しつつ、成長過程にある若手選手を含む複数のセットで臨むことになった。



目標達成も、ライバルのチェコには完敗


長くチームの指揮を執る中北監督

中北浩仁監督が「鬼門」と話していたのが、初戦のスロバキア戦だった。その大事な一戦を日本が3対1で取り、まずは大きな勝ち星を手にした。序盤に熊谷が2ゴールを決めてリードする展開に。その後、1点を返され迎えた最終ピリオド、日本は賭けに出た。残り5分以上を残して日本は熊谷と吉川をFWに戻した最も得点力のあるセットを投入。最後まで交代はせず、相手ゴール前でしぶとくパスをつなぎ、最後はDF須藤がダメ押し弾。疲労に負けず、“スペシャルセット”の意地を見せた。



予選2日目は、日本がイギリスに6対0と快勝。2連勝とした日本の2位以上が確定し、1試合を残してパラ最終予選進出を決めた。日本は第1ピリオドにDF須藤のゴールで先制。その後も主導権を握り、熊谷が5連続得点を挙げて勢いづけた。だが、試合後の熊谷に笑顔はなかった。「僕だけでなくチームとして点を取らないと、これから先は厳しくなる」

その言葉の通り、今大会最大のライバルであるチェコとの戦いでは苦しい試合展開を強いられた。まず予選最終日の対戦ではチェコに0対2で敗戦。相手の強いプレッシャーに押し込まれ日本のフォアチェッキングが機能せず、シュート数もわずか4本にとどまった。

その課題を修正するべく臨んだ決勝で再びチェコと対峙。だが、第1ピリオドにチェコのパワープレーから先制されてリズムを崩すと、相手へのボディチェックにキレがなくなり、FWガイエに5連続得点を許して突き放された。最終ピリオドは日本も猛攻をしかけるが、チェコの鉄壁のディフェンスに跳ね返され、0対6で敗れた。キャプテンの須藤は、「ニュートラルゾーンを駆け抜ける選手がDFと1対1になると簡単にパックを手放してしまう。もっとブラッシュアップしないと」と危機感を口にした。


スロバキアとイギリスがラスト1枚のパラ最終予選切符を争った


日本の最終順位は2位。決勝ではチェコに大敗を喫した


2大会ぶりのパラ出場へ、カギになるのは「決定力」

大会を通して、長年の課題である決定力不足が露呈した。決勝では前日の4倍となる16本のシュートを放ったもののいずれも距離があり、座った状態とはいえ身長190㎝を超えるGKバベンカをゴール前で攻略できなかった。チェコ戦では、攻撃力、守備力、そして体力面でも差が出た。とくに、強化途中の2セット目、3セット目は攻守にムラが見られ、メンタル面の強化も喫緊の課題だ。その背景には、慢性的な選手層の薄さがある。中北監督は、「最終予選突破にはまたチェコが大きな壁になる。若手を強化し、メダルを獲れるチーム作りをしていく」と話した。

チーム最多の7得点をマークした熊谷は、日本が銀メダルを獲得したバンクーバーパラリンピック後に競技を始め、ソチパラリンピックに出場できなかった悔しさをバネに努力を重ねてきた。今大会はエースとして攻守で存在感を放ったが、2位に終わり、「悔しい」と一言。「ピョンチャン出場は絶対に決める」と語気を強め、最終予選に向け気持ちを切り替えていた。

なお、3位決定戦はスロバキアがイギリスを5対1で下した。パラ最終予選は今大会上位3ヵ国(チェコ、日本、スロバキア)と世界選手権Aプール(来春開催予定)の下位3ヵ国で、ピョンチャン行きの切符3枚を争う予定だ。3年前、日本はその最終予選で敗れてソチ行きを逃した。その悔しさが今のチームの原動力だ。「もう一度、あの舞台へ」。退路を断ち、逆境を乗り越える底力を見せてほしい。


大会を終え、ほっとした表情で写真に収まる日本代表チームのメンバー



text by Miharu Araki
photo by X-1
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