2016.12.09

【ボッチャ】[第18回日本ボッチャ選手権大会本大会]注目の火ノ玉JAPANの2大エース対決を制し、廣瀬隆喜がBC2王座を奪還!

ボッチャ各クラスの日本チャンピオンを決める国内最高峰の「日本ボッチャ選手権」。その第18回大会が11月26日、27日の2日間、石川県金沢市のいしかわ総合スポーツセンターで開催された。前回大会で上位入賞を果たしたシード選手32人と、7月に山口県で行われた全国予選会を勝ち上がった38人の計70選手が出場。リオパラリンピック団体戦(BC1/2チーム戦)での銀メダル獲得から続く、報道陣の熱視線を浴びながら、日本ボッチャ史上最高レベルの戦いを見せた。

東京2020への課題と期待が見えた大会


BC1の女王・藤井は他選手を寄せつけず4連覇達成

リオパラリンピックで活躍した“火ノ玉JAPAN”(ボッチャ日本代表)の5人が全員出場したこともあり、前回とは比較にならない盛り上がりを見せた第18回の日本選手権は、2020年の東京パラリンピックに向け、期待外れと期待以上が明確に現れた大会だった。

期待外れだったのは、その注目度。リオパラリンピック後のメディアの沸騰ぶりから、これまでないほど多くの観戦者の来場も期待されたが、蓋を開けてみると、スタンドの入りは前回とさほど変わらず。増えたのは報道陣のみで、残念ながら観戦者数の急増はなかった。会場までのアクセスがあまりよくなかったこと、リオパラリンピックでのメダル獲得よりもずっと以前にすでに決定していた大会のため観戦者の呼び込み策を講じにくかったことなど考えられる理由は多々あるが、まだ一般的な浸透度は高まっていないという現実もあるだろう。


各地での普及活動を継続して行い、特別支援学校大会「ボッチャ甲子園」を開催するなど競技人口拡大への取り組みに注力し、そして何より新聞やテレビなどメディアにおいて高い注目度が継続しているだけに、工夫次第でスタンドをにぎやかにすることもできただろう。

地元の企業や商業施設などへの働きかけ、地元の小・中・高校・特別支援学校生徒らの招待や体験会など試合以外の企画の実施など、できそうなことはまだまだたくさんある。2020年東京へ向けたひとつの大きな課題であろう。

期待以上だったのは、ボッチャ大会としての競技レベルだ。数年前と比べ各選手の実力が大幅に向上していることはもちろん、全国予選会の実施によりどのクラスもスキルの高い選手のみが出場し、さらにメディアへの露出が増えたことにより選手たちの意識が高まったことなどがその要因だろう。史上最高の呼び声の高かった前回大会を上回るレベルだった。

火ノ玉JAPANの2大エースが対決!

最も多くの注目を集めたのは、やはり銀メダルチームの2大エースであるBC2の二人。火ノ玉JAPANのキャプテンも務めた杉村英孝(静岡ボッチャ協会/BLACK×WHITE)と、好プレー後の咆哮がニュース映像を飾った廣瀬隆喜(市原ボッチャクラブ/Noble Wings)だ。二人の試合には、予選リーグから報道陣のカメラがピタリとついていたが、期待に応えて見事に勝ち上がり、直接対決ではカメラの数も最大となった。

試合は序盤から廣瀬ペース。「床の状態に合わせられなかった」という杉村は、持ち味の繊細な投球精度を欠いてミスを連発。ジャック手前についた廣瀬のファーストボールを崩せず、杉村が続けて6球を投げた第1エンドは廣瀬の得点(1点)に。廣瀬が杉村のファーストボールをパワーボールで弾き、局面を変えた第2エンドは廣瀬の得点(1点)。第1エンド同様、廣瀬のファーストボールを崩せないまま杉村が6球投じてしまった第3エンドは廣瀬が2得点。そして、廣瀬の前方にジャックボールを置くという杉村の奇襲で始まった第4エンドは3球残して廣瀬の得点が確定し、廣瀬が1点獲得。
「この1年、杉村選手と対戦する思いでいろんな練習をやってきたので、もう出し切るだけ、杉村選手にぶつけるだけと思って戦った。お互いの手の内もわかっているので、近場で戦うのか、ロングで戦うのかなど、ギリギリまで考えた。おおよそ自分の思い描いた通りにやれたのがよかった」と語った廣瀬が、国内最大のライバルである杉村に5対0の快勝。BC2クラスの最多優勝回数を更新する自身7度目の日本一の座に就いた。


21歳の高阪がBC3初制覇。「2020年東京で金メダル獲ります」

選手数の増加により本大会出場枠がこれまでの「8」から「12」に拡大したBC1クラスは、火ノ玉JAPANのポイントゲッターであり、このクラスの絶対的女王である藤井友里子(富山ボッチャクラブ)が自身8度目の優勝。4連覇の偉業を達成した。

BC2と並び選手数が多い激戦クラスBC3は、精度、戦術とも他の選手を圧倒した21歳の高阪大喜(あいちボッチャ協会)が、地元石川県の田中恵子(石川県ボッチャ協会)との決勝戦を制し初優勝を飾った。


初出場で決勝トーナメント進出を果たした驚異の14歳・渡邊湧太(静岡ボッチャ協会)をはじめ10代、20代の選手が大躍進したBC4クラスは、若きエース・藤井金太朗(市原ボッチャクラブ/Noble Wings)が自身初の3連覇を達成した。

前回大会のトップ3が全員予選リーグ敗退という大波乱の展開となったオープン座位クラスは、天才の異名をとる第16回チャンピオンの安井達哉(あいちボッチャ協会)が王座返り咲きを果たした。

全6クラスの中で唯一座位ではないカテゴリーのオープン立位クラスでは、予選リーグ、決勝トーナメントを通じて失点が1のみだった前回大会チャンピオンの皆森俊夫が圧倒的強さを見せてV2を達成した。

2020東京の中心選手となる10、20代も活躍

リオパラリンピック銀メダルチームの面々が格の違いを見せつけるかのようなハイレベルなボッチャを見せた一方で、次の日本選手権、2020年東京へ向け、中心選手となりそうな若手選手たちの活躍も目立った。

女王・藤井には及ばなかったものの、中村拓海(BC1/伊丹ボッチャクラブ)が2大会連続の決勝進出、金城歩未(BC1/沖縄ボッチャクラブ)が第16回大会3位以来のトップ4入り。

前回3位の壁を破った梅村祐紀(BC2/あいちボッチャクラブ)が前回に続くトップ3入り、前回の予選リーグ全敗から急成長を遂げた吉見成生(BC2/サウスフィールドクルー)と、粗削りながら大きな可能性を秘めた天然素材・長尾康平(BC2/埼玉ボッチャクラブ)が決勝トーナメント進出。


急成長中の14歳・渡邊がBC4決勝トーナメント進出

そして、2大会連続3位だった21歳の高阪が初優勝、女子エース候補のひとり松永楓(BC3/チーム心-kokoro-)がトップ4入り。高阪とともに練習している河本圭亮(BC3/あいちボッチャクラブ)が2大会連続で決勝トーナメントに進出した。

また、初めて決勝トーナメント進出を果たした古満渉(BC4/龍 Hiroshima)がトップ3入り、初出場の14歳の渡邊がトップ4入りを果たした。さらに第13回大会優勝以来の上位入賞となる大濱梨沙(オープン座位/浦安ボッチャ協会)がトップ3に返り咲き。強豪並み居る各クラスの上位に、10代、20代の次代を担う選手たちが割り込んだ。


パラリンピックでのメダル獲得や地道な普及活動の効果で、今後ますます競技人口を拡大し、スポーツとしての注目度を高めそうなボッチャ。日本代表の候補が集い、代表選考の場としても大きな位置づけとなっている日本選手権の競技レベルもますます高まってくるだろう。
廣瀬ひとりだった高い次元に杉村が上がり、その競争によるレベルアップがパラリンピックでのメダル獲得のベースとなったように、この大会の優勝争いが激化すればするほど、東京パラリンピックでの日本ボッチャ躍進の可能性も高まるに違いない。


ライバル杉村との対決を制し、笑顔を見せるBC2の廣瀬


昔は偶然だった「乘せる」も今は狙って行うテクニック



text & photos by NOB
  • Share on Facebook
  • Share on Twitter
  • Share on Google+