[PARA☆DO! セミナー第1回] 「ロンドンの自分越えを」陸上の高桑早生がリオへの意気込みを語る

2016.04.22.FRI 公開

4月21日、日本財団ビル一階のバウルームにて、第1回「PARA☆DO!」(パラ・ドゥ)セミナー(フジテレビジョン主催/日本財団パラリンピックサポートセンター後援)が行われた。記念すべき初回のゲストは、ロンドンパラリンピックに出場し、陸上女子100m(下腿切断などのT44クラス)の日本記録を持つ高桑早生選手。現在23歳で社会人でもある高桑は、インチョン2014アジアパラ競技大会の旗手を務めるなど、高い期待を寄せられている注目のスプリンター。イベントは、骨肉腫により左下腿の切断を決断した当時の話や、競技に対する想い、素顔に迫るプライベートな話まで、さまざまな話題が上がった。

進行役の田中ウルヴェ京氏

進行役は、ソウルオリンピック(シンクロ・デュエット)銅メダリストでメンタルトレーニング上級指導士の田中ウルヴェ京(たなかうるう゛ぇ みやこ)氏。車椅子バスケットボール男子日本代表のメンタルトレーニングなども担当した経験があり、パラスポーツにも明るい。そんな田中氏ならではの鋭く軽快なトークも、このセミナーの魅力だ。

「PARA☆DO!」とは、テレビ番組、インターネットなども含めたフジテレビのパラスポーツ応援プロジェクト。セミナーは今後月一回行われる予定。

義足は“相棒”

高桑はまず、自身の義足について「義足と言っても日常生活の義足と競技用の義足は色も形も重さも違います。競技用の義足は地面と接する部分にスパイクがついているので、普段の生活には向きません。大会のロッカールームには足の形をした義足がゴロゴロ転がっていて、見慣れない人にとっては怖いかもしれませんね(笑)」。義足は“相棒”と語る高桑。競技用の義足について「選手には義足を使いこなす技量が必要だと思います。どんなに性能が良くても走るのは選手ですので、義足を理解しなければなりません。今使っている義足は部品や素材にこだわって作りました。今だからこそ使いこなせていますね」と、パラアスリートと義足の関係がいかに重要かを解説した。

板バネの義足を手に語る高桑選手

トークは続いて、高桑のターニングポイントとなった場面の話題へ。「左足を切断する前」、「義足を装着し始め、ソフトテニス部に所属していた中学時代」、「陸上競技部に入部し、本格的な陸上競技に取り組んだ高校時代」、「競走部だった慶應義塾大学時代」、そして「アスリートとしての喜びを感じたロンドンパラリンピック」の5枚の写真をモニターに映し出し、それぞれの写真のエピソードを交えながら紹介した。「スポーツのない人生は考えられなかった」と言う高桑。「初めて走った日は覚えていないけれど、“初めて2度目に走った日”はしっかり記憶にあります。全力疾走したのは、中学の体力測定。50mはあっという間で楽しかったです」

素顔の一面も披露

次のコーナーでは、進行役の田中氏が高桑のお姉さんからのコメントを紹介。強くて凛とした美しい女性というイメージの高桑だが、実はお姉さんの前では泣き虫だそう。また、「もっと女の子らしくしてほしい」というお姉さんからの要望に対しては、「最近、化粧品はドラッグストアをやめて、デパートに買いに行ったんですよ!」と答えた。沖縄合宿の際は「人生で一番多く日焼け止めを塗った」と話し、アスリートの顔とは違った素顔の一面を垣間見ることができた。

心技体を整えリオへ!

4月30日、5月1日にリオ2016 パラリンピック選手選考会を兼ねた日本パラ陸上競技選手権大会を控える。今、強化すべきポイントは「心技体のバランスを取ること。精度は上がっていると感じていますが、それがひとつにまとまったときに最高のパフォーマンスができると思うので、まずは一つひとつをブラシュアップしまとめるのが大事」とのこと。また、リオパラリンピックについては「ロンドンパラリンピックはビギナーズラックの部分がありました。パラリンピックは1年の成長率が高く、次の大会では前の記録では到底追いつきません。もし今年の大会に出場できたら、もう一度チャレンジャーのつもりで臨みたいと思っています」と話し、4年前の自分とは確実に変わっていることも強調した。

最後に、今後に向けて聞かれると、「まずはリオパラリンピックに出ることです。そして“ロンドンの自分越え”をすることが目標です。その目標を達成できるよう頑張ります」と強くコメント。そして、来場者の方に対して「このイベントで初めてパラリンピックを知った人もいるかと思いますが、ぜひ私のレースを見に来てくれればうれしいです。パラ陸上は普通の陸上とはまた違うので、足を運んでくれたらなと思います」とメッセージを送った。

次回は5月19日(木)11時30分から12時30分の予定。水泳の山田拓朗選手をゲストに迎え、今回と同じく日本財団のバウルームで開催する。

text by Parasapo
photo by TEAM A

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