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車いすバスケットボール
[日本車椅子バスケットボール選手権大会]宮城MAXの牙城を崩すのはどこか? 5月3日から始まる“日本一決定戦”の見どころ
日本車椅子バスケットボール選手権大会が、今年もゴールデンウィークに東京体育館で開催される。
昨年10月、リオパラリンピック出場権をかけて行われた三菱電機2015 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップ千葉において、男子日本代表が3位決定戦で韓国を80対56で敗り、見事に出場権を獲得した。リオパラリンピックを約4ヵ月後に控えた5月3〜5日、今度は日本代表として戦った選手たちが日本各地のクラブチームに戻り、日本一をかけた戦いを繰り広げる。
エース不在がチームのレベルアップに。宮城MAXの連覇はどこまで続くか
今年も優勝候補の筆頭は宮城MAXだ。昨年、6連覇中の宮城MAXは、エースの藤本怜央(4.5※)が海外での武者修行で大会直前までチームに不在と不安を残したまま大会を迎えていた。だが、藤本の成長と不在期間のチーム力強化が見事にマッチし、終わってみれば圧倒的な強さで7連覇を達成。大会MVPに輝いた豊島英(2.0)、藤井新悟(1.5)ら経験豊富なガード陣も健在で、他チームに付け入る隙を与えない。
そんな宮城MAXを追うのが昨年準優勝の埼玉ライオンズと3位の千葉ホークス、そして藤本ともに日本をけん引する存在・香西宏昭(3.5)を擁するNO EXCUSE(東京)の3チームか。
埼玉ライオンズは、昨年の準決勝でベテラン揃いの試合巧者であるワールドBBC(東海北陸)に終盤の大逆転で競り勝ち、決勝に進出。勢いに乗った状態で決勝に臨むと思われたが、初めて経験する決勝のセンターコートでのプレッシャーが重くのしかかり、試合序盤からいいところなく19対64で宮城MAXに一蹴されてしまった。力の差を見せつけられたライオンズだったが、その分、今年にかける思いは強い。攻守バランスの取れたガードである永田裕幸(2.0)、得点力が持ち味の藤澤潔(2.0)と原田翔平(1.0)が中心となって試合を運び、そのうえで大舘秀雄(4.0)や篠田匡世(3.5)らハイポインターがどこまで踏ん張れるかがカギになる。また20代の選手が多く、勢いに乗ったチームをうまくコントロールして勝ち上がれるか。昨年との違いを見せ、今大会で悔しさを晴らしたいところだ。
屈強なインサイドを揃える千葉ホークスも、宮城MAXにとって怖い存在だろう。土子大輔(4.0)、山口健二(4.5)、千脇貢(2.5)で組むフロントラインは、リバウンド力、ディフェンス力ともに迫力十分。ハーフコートできっちり守ってリバウンドを確実に拾い、攻撃ではどこからでもシュートが打てる土子を中心に得点を重ねれば安定した試合運びができる。そのために重要となるのが走力だろう。速いトランジションを得意とする宮城MAXに対し、速攻や守備が整う前のアーリーオフェンスで高確率のシュートを決められてしまうと、どうしても点差が開いてしまう。強力なインサイド陣を活かすためには、相手チームの長所であるスピードを消して、ハーフコートでの攻防に持ち込むことが必要となる。植木隆人(2.0)や川原凛(1.5)らの献身的な活躍も、勝敗を左右するファクターとなるだろう。
そして、香西のいるNO EXCUSEも宮城MAXを倒すポテンシャルのあるチームだ。爆発力のある香西に、森紀之(1.5)、菅澤隆雄(4.5)、佐藤大輔(2.0)らベテランが土台を支え、香西の個人の能力をうまく活かしながらチームが機能すれば、日本選手権初優勝も見えてくる。また、香西と藤本は長らく日本代表チーム、そしてドイツでも同じチームでプレーしている。両者が敵として対戦する場合、アウトサイドを主戦場としている香西と、センターとしてインサイドで猛威をふるう藤本が直接マッチアップすることは少ないかもしれないが、互いに手の内を知り尽くしているだけに、それぞれチームとしてどのように相手を攻略するのかも楽しみなところだ。
決勝は5日の15時試合開始。1点を争う準決勝も必見!
宮城MAX、埼玉ライオンズ、千葉ホークス、NO EXCUSEが順当に勝ち上がれば、準決勝で宮城MAX対NO EXCUSE、埼玉ライオンズ対千葉ホークスの対戦となる。近年、準決勝において1点を争う好ゲームが繰り広げられるケースが多く、5月4日の14時からと17時から行われる準決勝をぜひ会場でご覧いただきたい。そして、大会最終日の5日も、3位決定戦(10時30分から)と決勝(15時から)が行われる。多くの観客が詰めかけた会場の熱気を体感し、44回目の日本一が決定する瞬間を目撃してほしい。
※カッコ内はクラス。車椅子バスケットボールは、選手にはそれぞれ障害のレベルに応じて分けられた持ち点が与えられ、障がいの重い選手も活躍できるシステムになっている。持ち点は、最も障がいの重い1.0点から最も障がいの軽い4.5点まで0.5刻みに分けられており、コート上の5人の合計点は14点以内と決められている。
text by Asuka Senaga
photo by X-1