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水泳
パラ水泳世界選手権目前! “トビウオパラジャパン”スペシャル鼎談
パリ2024パラリンピックの前哨戦となる、パラ水泳の世界選手権が7月31日から8月6日までイギリス・マンチェスターで開催される。
優勝すれば、パリパラリンピック日本代表に内定(日本パラ水泳連盟推薦)。大会に挑む日本代表チーム“トビウオパラジャパン”は「3個の金メダルを獲得した、2019年9月のロンドン大会以上の結果」を目標に掲げる。世界選手権日本代表チームのキャプテンと副キャプテン2人に見どころや注目選手を語ってもらった。
――まずはキャプテンと副キャプテンそれぞれの他己紹介をお願いします。齋藤元希:平泳ぎの山口くんは、ブレスト(平泳ぎ)のスペシャリストでありながら、複数種目に出場していて素晴らしい選手です。美都は、平泳ぎももちろん速いけど、ひとことで言うと自称・応援団長!チームを彩る不可欠な存在です。
山口尚秀:宇津木さんはだれとでも仲がいいイメージ。いつも皆に積極的に声をかけている姿が印象的です。
齋藤選手は、僕の中では責任感が強いキャプテン。昨年のマデイラ大会でS13クラスの強豪と競り合い、メダルを獲得するなどしています。泳ぎも積極的ですし、レースの前のドライ(陸上で行うトレーニング)でも、全身をくまなく動かし準備をしていて……。
齋藤元希:山口くん、よく見てくれている……。すごい!
宇津木美都:びっくり……。下手な行動できないですね(笑)
山口くんは、体が大きいというのが第一印象。上半身の使い方も上手いですし、足の蹴りもひと蹴りですごく進む。合宿のときは隣で見ていてすごいなって思っていますね。あと、語彙力がすごい。トークがしっかりしていて尊敬します。
天然パーマの齋藤選手は……パラ水泳界イチのいじられキャラです!!
山口尚秀:やはり東京パラリンピックで金メダルを獲得している木村敬一選手ですかね。東京大会前に単身アメリカに渡りトレーニングを積んだというエピソードから水泳への熱意を感じます。それに、このスポーツを世の中に広めていきたいと考え、発言しているのも素晴らしいです。
宇津木美都:今後伸びると思う選手は、私と同じSB8クラスの福田果音(ふくだ・かのん)選手です。すごく明るい性格で、果音がいるだけでみんなが盛り上がる! 今大会のチームの最年少(17歳)で、チームの世代交代後に、いちばん前で引っ張っていく存在になると思います。
齋藤元希:注目は、S8クラスの荻原虎太郎選手かな。いま100m背泳ぎの日本記録は同じ日本代表の窪田幸太選手が持っているんですけど、窪田選手はもともと「足をバタフライにして背泳ぎをする」という荻原選手の泳ぎを真似して速くなった。もちろん窪田選手に実現できる力があるっていうのが素晴らしいんですけど、コーチと綿密なコミュニケーションを取って泳ぎをつくり上げた荻原選手は本当にすごい! 世界選手権は、この2人のレベルの高いバトルが見どころですね。
――今大会はヨーロッパでの開催です。遠征の必需品を教えてください!宇津木美都:(隣の齋藤選手を見ながら)にいさん、ええの持ってるやん。
齋藤元希:必需品というか、お守りみたいなもので……。僕はいつもお笑い芸人のハリウッドザコシショウの『瞬きするメガネ』を持参しています。
山口尚秀:……(笑)
齋藤元希:どうしても欲しくてネットで購入したんです。いまでは美都副キャプテンに「あれある?」と振られたりするんですが、移動のバスのなかで出したり、みんなでつけたりしています(笑)
宇津木美都:あはは(笑)
齋藤元希:実は東京パラリンピックの選考会のとき、200m個人メドレーのタイムがよくなくて。「もう代表になるのは無理かな」って思っていたんです。それで、待ち時間にこのメガネをつけて「楽しくやろう」とコーチと話し、最終種目に挑んだらすごくいいタイムが出たんです。自分のなかで、このメガネをつけると何かしら笑いも起きるので、何かあったときにいつでも出せるように持参しています!
山口尚秀:私はですね、ハンディタイプのマッサージ機器です。やはり、選手にとってリカバリーが大事ですので。予選と決勝の間などで疲労を取るために使用しています。
宇津木美都:体重計を常に持ち歩いています。私の場合、体重がすぐ増えたり減ったりしてしまうので……とくに試合前は、体重を安定させるために、自分で毎朝体重を計るようにしているんです。日本代表スタッフの方も持ってきているし、荷物も重くなるんですが、あまり周囲に体重を知られたくないので(笑)自分専用の体重計を持っています。
――世界選手権への意気込みを聞かせてください。山口尚秀:100m平泳ぎで自己ベスト、もしくはそれに近い記録を出して金メダルを獲ります!
宇津木美都:レースでは同じクラスの選手たちに負けたくない気持ちはあります。去年のマデイラ大会より順位を上げてしっかりと泳げたらいいなと思っています。自分のレースがないときは、応援団長として周りを盛り上げていきたいです!
齋藤元希:全選手の共通の目標は、来年のパリパラリンピック。その前哨戦となる世界選手権では、すべての選手がベストパフォーマンスを出せるよう、スタッフ皆と連携を取りながらキャプテンとして後押しをしたいです。若手もベテランも一丸になって、がんばります!
text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda