ロサンゼルス大会で初採用! パラクライミングの世界
2024年の6月、壁に魅せられた人たちに朗報が届きました。
2028年ロサンゼルスパラリンピックの競技にクライミングが採用されたのです。
パラリンピックでは初お目見えとなる“パラクライミング”。
注目度上昇中のその魅力を探りました。
登れた高さを競う
パラクライミングとは、障がいのある人によるクライミング競技。視覚障がいあるいは身体機能障がいのある選手が、高さ15mほどの壁に設定されたルートを登り、登った高さを競います。
climbing(クライミング)とは、英語で「手足を使ってよじ登る」という意味。ホールドと呼ばれる突起物に手足をかけながら、自身の筋力と技術を駆使して壁を登る競技です。
パラクライミングは、オリンピックでいう「リード」種目で競います。
ルールは健常者のスポーツクライミングとほぼ同じ。ルート検証するオブザベーション(観察)の時間もあります。
それぞれの目標に向かって登るのがパラクライミングの魅力。壁を攻略したいというチャレンジ精神は、目が見えなかったり、体の動きに制限があったりしても変わらないのかもしれません。
視覚障がいと身体機能障がいの選手が出場
出場するクライマーの障がいカテゴリーは「視覚障がい」と「身体機能障がい」があり、さらにその中で障がいの程度に応じたクラス分けが行われます。
国内では年に2回、ジャパンシリーズが行われ、ガンなどの病気や事故により受傷した選手などが出場。ジャパンシリーズが世界の舞台への登竜門となってるそうです。
<上肢機能障がい>
【AU2】と【AU3】クラスがあり、数字の小さいほうが障がいが重いクラスです。
<下肢機能障がい>
【AL1】と【AL2】クラスがあり、数字の小さいほうが障がいが重いクラスです。
パワーだけではなく、さまざまなテクニックを総動員させて登っていることがわかります。
<関節可動域および筋力の機能障がいなど>
【RP1】と【RP2】と【RP3】クラスがあり、数字の小さいほうが障がいが重いクラスです。
同じクラスでも選手たちの残存機能はさまざま。それぞれ体の使い方が異なるのがパラクライミングの見どころといえるかもしれません。
<視覚障がい>
【B1】と【B2】と【B3】クラスがあり、数字の小さいほうが障がいが重いクラスです。
視覚障がいカテゴリー(B1~B3)では、地上にいるサイトガイドがトランシーバーを使って指示をすることが認められています。サイトガイドとのコンビネーションも注目ポイントです。
日本が強豪!
日本パラクライミング協会によれば、視覚障がいカテゴリーの日本代表は他を圧倒する強さを誇っており、これまで出場した国際大会すべてで金メダルを獲得しているそうです。
パラクライミングがパラリンピックの競技になったことを受けて、日本パラクライミング協会の小林幸一郎代表は「大変喜ばしいこと。4年後には、パラクライマーが躍動する姿から、世界は新たな人間の可能性を目にすることとなるでしょう」と話します。
そして、「日本はこれからも強豪国として国際大会で結果を出し続けられるよう、努力を続けます」とコメントしました。
オリンピックでは、東京2020大会で初めて実施されたスポーツクライミング。ロサンゼルスパラリンピックで実施されるパラクライミングの種目はまだ決まっていませんが、日本代表のメダルラッシュに期待がかかります。ロサンゼルスパラリンピックでは“パラリンピックのアーバンスポーツ”パラクライミングに注目です。
text by TEAM A
photo by X-1