パラリンピックの価値を絵画と作文で子どもたちが発信! IPC公認教材 I’mPOSSIBLE

パラリンピックの価値を絵画と作文で子どもたちが発信!
2018.12.25.TUE 公開
 

<パラサポ編集部が行く!>
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まっちゃん

シリーズ第7回目は、編集部まっちゃんが12月2日に行われた「すごいぞ!パラリンピック」絵画・作文コンクール表彰式を取材してきました。
力作揃いで、笑いあり、涙あり、サプライズありの授賞式をレポートします。

パラリンピックの4つの価値をご存知ですか?

勇気」「強い意志」「公平」「インスピレーション
国際パラリンピック委員会(IPC)は、パラリンピックに出場するアスリートたちが持つ力こそがパラリンピックを象徴するものであるとし、この4つの価値を掲げています。

ちなみに、12月3日は国際障がい者デー。 IPCの呼びかけにより、すでに「I’mPOSSIBLE国際版」を利用し、パラリンピック教育を推進している各国パラリンピック委員会で、同様のコンクールが行われました。
日本では前日の12月2日に、日本パラリンピック委員会(JPC)主催の「すごいぞ!パラリンピック」絵画・作文コンクールの表彰式が開催され、絵画部門と作文部門のそれぞれ上位4賞(計8名)の受賞者が一堂に会しました。

アンドリュー・パーソンズIPC会長(上段右から3人目)も一緒に、全員でパチリ

パラサポも開発に携わる「I’mPOSSIBLE日本版」は、パラリンピックを題材に共生社会を楽しく学べる教材で、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に配布され、子どもたちのパラリンピック教育に役立てられています。この教材を活用して学んだ小学生が、絵画と作文でパラリンピックの価値を表現しました。
※応募総数894点(絵画499点、作文395点)

受賞者一覧はこちら(外部リンク)
日本パラリンピック委員会ニュース(2018.12.03)

パラリンピックの価値を大人に! リバースエデュケーション

まずは、『絵画の部』

左から、北村琉羽さん(銀賞)、藤枝幸志郎さん(金賞)、山口さくらさん(銅賞)

審査員の結城昌子氏(絵本作家・アートディレクター)は、まずはじめに、陸上競技を描いた「超跳(ちょうやく)」で金賞を受賞した藤枝さんの作品を「すごい作品。狙ったでしょう! 顔が書いていない。背中しか書いていない。誰だかわからないので、みんなが自分を重ね合わせることができる大成功例! スピード感そのものにチャレンジした非凡な作品です。」と評価。

金賞「超躍」/藤枝幸志郎さん
結城氏が楽しくわかりやすく講評し、会場は大盛り上がり!

次に銀賞の「がんばれ!車いすテニス」を見ながら「(車いすテニスの)ボールの緑が効いて、ぐっと奥行きが増している」と評価。高知県から受賞式に参加してくれた小学一年生の北村さんは、「今回初めて東京へ来られてうれしい」と受賞の喜びを語りました。

続いて銅賞の「もう1回やりたいな ウィルチェアーラグビー」は、作品を描いた山口さんが初めてウィルチェアーラグビーを体験した様子だそうで「一度見ると忘れられない作品」と講評を受けました。

銀賞「かんばれ!!車いすテニス」/北村琉羽(左)、
銅賞「もう1回やりたいな ウィルチェアーラグビー」/山口さくら(右)

続いて、『作文の部』

作文は、受賞者が自分の作品を朗読しました。柴田杏樹さん(金賞)は「初めてブラインドサッカー見た興奮を書きました。(選手から)苦手なことに立ち向かう勇気をもらいました。東京2020パラリンピックで見たい」と喜びを語れば、村山愛実さん(銀賞)は「うれしいです。次は、金賞を目指して頑張ります」と、かわいい受賞コメントが続きました。
最後に、中司杏実さん(銅賞)が「車いすテニスの佳南子選手が教えてくれた強い意志」を読み上げると、ご家族だけでなく関係者の目にも涙、涙、涙。パーソンズIPC会長も「あなたの勇気が、この部屋のみんなに伝わりました。You inspire me!(あなたからインスピレーションをもらいました!)」とお祝いの言葉を述べました。

金メダルを掲げる柴田さんの作品は「勇気の向こう側」
村山さんは、陸上の春田選手との出会いを「まほうの足」という作品に
憧れの堂森佳南子選手(左)と中司さん

最後に、『東京2020特別賞』

『絵画の部』で受賞した磯村さんの作品は、結城氏が「アウトラインの青がいいです」と評価のポイントをあげました。『作文の部』で受賞した寺師さんは、最年少の小学1年生。パーソンズIPC会長が「ほかの人を助けてあげるということが、どういうことかを表現した素晴らしい作品。(寺師さんが)看護師になったら、私をケアしてくださいね」とメッセージを送ると、会場は温かい空気に包まれました。

東京2020特別賞「みんながんばれ!パラリンピック2020」/磯村はるなさん
パーソンズIPC会長とも記念撮影
寺師明希さんの作品は「ゆうきをすてないで」

審査員の脇阪嘉明氏(朝日学生新聞社代表取締役社長)が作文の部の講評を務め「自分の身近なことに対して励ましてもらっている、という内容が書かれていたことがよかったです。そして、陸上やウィルチェアーラグビーを見ている人は多いけど、車いすバスケットボールやブラインドサッカーを見ている人はまだまだ少ないことが勉強になりました。2020年がゴールではないので、その後もパラリンピックに関心を持ってくださいね」とコメントしました。

脇阪社長は、講評の中でコンクールに参加した多くの児童がパラサポの「あすチャレ!School」を知っていることにも言及

そして、受賞者全員に、パーソンズIPC会長から「みなさんを東京2020パラリンピックで見たい競技大会にご招待します」とサプライズもありました!

パーソンズ会長は、就任以来35カ国を回り、I’mPOSSIBLEを国や自治体レベルの教育関係者に紹介しているという

子どものアクティベーションによって、大人たちがパラリンピックに接点を持ち、興味を抱く。これも、リバースエデュケーションのひとつの形です。

鳥原JPC会長は「若い人を中心に大勢の人が競技場に来て、熱い気持ちで応援してくれることが一番大事。本日のコンテストのように、子ども達から素晴らしい作品が生まれたことや、色々な影響があったことを発信していくことが大事という考え方を大切にしながら、さらに(世界に先駆けてI’mPOSSIBLEを展開している日本が)この教育プログラムの普及・推進に努めていきたい」と、締めくくりました。

「子ども達がパラリンピックの価値をしっかりと理解し、他の人にパラリンピックの魅力を伝える役割を担ってくれていることが嬉しくて、感動した」と話す鳥原JPC会長

今回のまっちゃんポイント(MP)は・・・・

受賞した作品が、パラリンピアンのカッコよさを表現していること!
どんなスポーツも、応援する側は、限界に挑戦するアスリートから勇気や希望をもらえるのです。
まだ見たことのない競技があったら、応援に行ってみてくださいね。

そして、「I’mPOSSIBLE日本版」はコンクール表彰式に先駆け、「ムハンマド・ビン・ ラーシド・アール・マクトゥーム クリエイティブスポーツ賞 国際競技団体・各国パラリンピック委員会ベストイニシアチブ賞(The best initiative for the International Organizations, National Paralympic Committee)」を受賞しました!

同賞の詳細はこちら(外部リンク)
日本パラリンピック委員会ニュース(2018.11.27)

外部からも評価を受け、子どもだけでなく大人も楽しめる、IPC公認教材です。ぜひ、ご覧ください。
全国の教員向け研修も行っています。市区町村教育委員会で教員向け研修をご希望される場合には、「I’mPOSSIBLE日本版事務局」(iampossible@parasapo.tokyo)までお問い合わせください。

IPC公認教材「I’mPOSSIBLE日本版」のダウンロードや動画はこちらから
東京2020教育プログラム特設サイト「I’mPOSSIBLE」

photo & text by Parasapo

『パラリンピックの価値を絵画と作文で子どもたちが発信! IPC公認教材 I’mPOSSIBLE』