[FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会]若手の活躍光る大会。東京パラリンピックを目指す加藤、美遠が日本一に

2017.01.23.MON 公開

1月14、15日に、神奈川県の横浜市平沼記念体育館で「第16回FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会」が行われた。この大会は、知的障がい卓球の国内統括機関である日本知的障がい者卓球連盟(日本FID卓球連盟)が主催する「FIDジャパン・チャンピオンシップ卓球大会」「FIDジャパン・オープンユース卓球大会」に並ぶ3大大会のひとつだ。

竹守からポイントを取り、雄叫びを上げる加藤

「ジャパン・チャンピオンリーグ」は、上位選手によるチャンピオンリーグと、オープンリーグのふたつのリーグ戦が行われる。チャンピオンリーグは、昨年6月に行われた「ジャパン・チャンピオンシップ」大会の上位者、男子12人、女子8人が総当たりで優勝を争う。オープンリーグは、男子は96人の出場者を各6人、16グループ、女子は28人を各7人、4グループに分けてリーグ戦が行われる。さらに、各グループの上位2人が、決勝トーナメントに進出し優勝者を決する。

加藤、美遠がチャンピオンリーグで初タイトル!

チャンピオンリーグでは、加藤耕也が、最終戦でリオパラリンピック日本代表の竹守彪との1戦をストレートで制し、「ジャパン・チャンピオンリーグ」のタイトルを初めて手にした。加藤は、「根性だけは誰にも負けない自信があった。とにかく気持ちで相手を止めることができた」と振り返った。竹守は加藤に敗れ2位。第13回大会以来、3年ぶりの優勝はならなかった。

アグレッシブなプレーで観客を魅了した竹守
今後の活躍に期待がかかる浅野が3位に

また、女子は5勝2敗が3人もいるという混戦を制した美遠さゆりが優勝した。美遠は苦手とするサーブを練習で克服。「コースと回転を重視して練習した、サーブが決まってよかった」と話した。リオパラリンピックに出場した伊藤槙紀は、4勝3敗で4位だった。

国内トップへの登竜門! オープンリーグの男子Vは中学生の小幡、女子は松井

オープンクラスで優勝した小幡

この大会のオープンリーグは、国内トッププレーヤーへの登竜門ともいえる。優勝者は、次回のチャンピオンリーグに参戦できる可能性が高まるからだ。現に、昨年、前回、「ジャパン・チャンピオンリーグ」のオープンクラスで優勝した加藤が、今大会チャンピオンリーグで優勝を果たしている。加藤は、4月からはより競技に集中できる環境に身を置く予定で、まさに世界へ羽ばたこうとしている。

今大会のオープンリーグで優勝したのは、男子は若手注目株の小幡光輝。小幡は中学生ながら、非常にクールな試合運びで勝利を重ねていった。ショットが決まるたびに、ガッツポーズとともに気合いの入った声を上げる選手が多いなか、小幡は淡々と1ポイント1ポイントを決めていく姿が印象的だった。オープンリーグ女子は、松井真由が初優勝を果たした。

東京での活躍を期待される若手選手の台頭

大会後、日本FID卓球連盟の鈴木一強化部長は、「新しいチャンピオンが生まれるなど、若手の活躍が目立った大会だった」と振り返った。今大会は、チャンピオンリーグでは男女ともに、23歳の若手、加藤と美遠が初優勝を果たした。また、男子チャンピオンリーグの3位には、15歳の浅野俊が入った。浅野は、昨年の「ジャパン・オープンユース」で優勝を果たしている逸材で、今大会も優勝した加藤を相手に1勝を挙げている。また、男子オープンリーグの優勝者も中学生の小幡だった。

2020年東京パラリンピックを契機に、知的障がい者アスリートを取り巻く環境も変わりつつある。障がい者スポーツの世界も、近年ではプロとして活躍するプレーヤーも増えてきているが、知的障がいの卓球でもプロ化の流れは進んでいる。関係者によると、企業が知的障がい者をアスリートとして契約するのは、今までは非常に稀なことだったが、現在ではプロアスリート契約をしている卓球の選手が3人いる。知的障がい者を競技だけに専念させることは難しさも伴うが、サポート体制の基盤づくりや企業間の連携を図りながらバックアップすることで、選手に負担になりすぎないよう配慮しながら卓球に専念できる環境を整える企業も登場。今後の動きに注目が集まる。

また、日本FID卓球連盟強化部も、2020年東京パラリンピックでの金メダル獲得をターゲットに据えて、選手それぞれのコーチと強化部のパイプ強化などの課題に取り組んでいる。

健常の卓球が盛り上がりを見せるなかで、モチベーションを高めている障がい者卓球の選手たち。彼らの2020年、そして2020年以降の活躍に期待が膨らむ。

リオパラリンピックに出場した伊藤
20コートで白熱した試合が行われた

text by Tomoko Sakai
photo byX-1

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