車いすユーザーへの配慮とは!? 助け合いのTips【心がけ編】
今年は新型コロナウイルス感染拡大によって、あらゆる場所であらゆる人が助けを必要とする場面が数多くありました。そんな中、マスクが不足した際、手作りマスクを寄付する運動が起きたり、学校給食の休止により牛乳の使用機会が減少した際に、牛乳消費を促進する「#牛乳チャレンジ」に多くの人が参加したりと、誰かが困っていたら助け合おうという意識がさらに高まったのではないでしょうか? そんな思いやりを持った共生のマインドは、これからの社会ではニューノーマルとなっていくはずです。
そこで今回も、これからの時代をスマートに生き抜くために身に付けたい『ニューノーマルアクション』のTipsをご紹介します。
【導入編】と【実践編】では、車いすユーザーであり、パラサポの推進戦略部プロジェクトリーダー伊吹祐輔さん(通称ブッキー)に、車いすユーザーが普段困ることの多いシーンと、そんな時の協力方法について教えてもらいました。車いすユーザー編の最終回は、日頃から取り入れられる“ちょっとした心がけ”について、聞いていきます。
▼今回の『ニューノーマルアクション』Tipsメニュー
車いすユーザーへのスマートな心づかいポイント
1.歩道や通路に障がい物を置かない
2.歩きスマホをやめる
3.乗り物の優先スペースは空けておく
4.車いす用のスロープは歩かない
5.優先エレベーターは使わない
みんなの心がけで取り除ける車いすユーザーにとっての障がい物
実はこんな行動が、車いすの走行に影響を与えてしまっていた!
①歩道や通路にはみ出して自転車などの障がい物を置く
②歩きスマホ
ライター みんなが普段から意識することで、車いすユーザーの方がより心地よく暮らせるポイントがあれば、教えていただけますか?
ブッキー 個人的には、もっと車いすユーザーが街に出られる世の中であってほしいなと思います。その視点でいうと、一人ひとりが街中で車いすが通れる動線の確保を意識してもらえると、環境は大きく変わると思います。例えば、道端の障がい物について。歩道や通路にはみ出している放置自転車やお店の看板などは、動線を妨げる可能性がありますよね。
ライター たしかに放置する人は、避ければ通れるから大丈夫、と思っているかもしれないけれど、車いすだと車幅もありますし、いつでもサッと避けられるわけではないですね。
ブッキー 駅前やスーパーなど人の集まる施設の周りにたくさんの自転車が駐まっていると、僕のような車いすユーザーだけでなくベビーカーやシルバーカー(歩行補助具)などの通行の妨げにもなるので、所定の場所に停めてもらえると助かりますね。あとは、街を車いすで移動していると、歩行者との接触が怖いと感じることがあります。
ライター 歩行者ですか? 意外でした。
ブッキー 歩行者は車いすユーザーより視線が高いですよね。なので僕はいつも、前から歩いてくる人の視線に自分が入っているかを注意しながら動くようにしています。特に歩きスマホをしている人は、周りを見ていないことが多いですね。
ライター 万が一ぶつかってしまったら、双方がケガをする可能性もありますし、お互いのために注意が必要ですね!
優先エリアは車いすユーザーなど本当に必要としている人が使用できるように!
「優先エリア」の本当の活用法とは?
①優先スペースは基本的に空けておこう
②車いす用のスロープを歩くのをやめよう
③優先エレベーターを使わないようにしよう
ライター 電車での移動の際に、みんなが意識できることはありますか?
ブッキー 車内にある車いすやベビーカーの優先スペースの使用についてですね。自分もよく電車を利用しますが、意外と立っている人で埋まっていることが多いなと思います。
ライター たしかに優先スペースは、壁に寄りかかれて楽なので使用している人も多いですね。
ブッキー 車いすで通路の真ん中にいると電車の揺れで人にぶつかってしまう可能性もあるので、僕らも他のお客さんに迷惑をかけないために優先スペースを使用することで安心して乗車できます。もちろん混雑時に常にスペースを空けておくのは難しいと思いますが。
ライター 混んでいても車いすユーザーの方が乗車されたときはサッと場所を空けられるようにしたいですね。あとは、優先スペースがない電車もあるので、そんなときは手すりなどに掴まれる場所を譲るのも忘れないようにします。
他の優先エリアの話で言うと、車いす用スロープについてはどうですか?
ブッキー スロープの上り下りは、車いすのスピードを一定に保つことが難しいんです。なので、平坦な道の時よりも広めに自分の前後のスペースを確保してから上り下りするようにしています。それでも、前を歩いている人が急に立ち止まったりしたら、即座に方向転換できない場合があるので、歩行者の通行は極力避けてもらえると嬉しいです。
ライター なるほど。では、最後にエレベーターについてはどうでしょう? 大きな施設や公共の場では、車いすやベビーカーなどの優先エレベーターがありますよね。ただ優先エレベーターも「いつも優先者以外の人で満員になっていて延々と乗れない」と、私の友人のママも困っていました。
ブッキー 気持ちはわかります。そもそも優先エレベーターの対象者は、移動手段が限らている人です。階段、エスカレーターなどほかにも選択肢がある人には、譲ってもらえると嬉しいですね。それぞれ事情もあると思いますが、みんなが気持ちよく使えるように配慮できるといいですよね。
ライター 優先エリアでは、ほかにも選択肢がある人は「気持ちよく譲る」、もしくは「使わない」を選択することも、私たちがすぐにできるアクションの一つですね! これから私も気をつけます!
歩道に自転車を停める、スマホを見ながら歩く、優先エリア・エレベーターを使用する……、どれも普段から悪気なく無意識にしてしまっていることばかりではないでしょうか。一人ひとりの“無意識”を“意識”に変えることが互いに助け合い、支え合える社会への大きな一歩になるはずです。自分の身近なことから少しずつ見直して、みんなにとって心地よく過ごせる社会を目指したいですね。
<アクションシリーズ>記事はこちら↓
■視覚障がい者編
【導入編】
https://www.parasapo.tokyo/topics/29465
【実践編】
https://www.parasapo.tokyo/topics/29547
【応用編】
https://www.parasapo.tokyo/topics/29557
■車いすユーザー編
【導入編】
https://www.parasapo.tokyo/topics/28798
【実践編】
https://www.parasapo.tokyo/topics/28895
【心がけ編】
https://www.parasapo.tokyo/topics/28916
text by Uiko Kurihara(Parasapo Lab)
illustration by KOH BODY