[第19回日本シッティングバレーボール選手権大会] 東京プラネッツ女組が9年ぶり日本一! 男子は京都おたべーず太郎がV奪還

2015.12.17.THU 公開

毎年12月に行われるシッティングバレーボール男女の日本選手権が、12日と13日の2日間、神戸市王子スポーツセンターで開催された。17チームが出場した男子はまず、4~5チームずつに分けられた4つの予選グループを戦った後、それぞれのグループの順位により、決勝トーナメントの山組みを決め、2日目に優勝を争う。女子は11チームの出場。3ブロックで予選を争い、同じく決勝トーナメントに進む。

優勝チームには、2日間で7試合を戦うタフさも求められるが、日本パラバレーボール協会に登録する約250人の選手(そのうち3割以上は健常者)は終始笑顔を絶やさず、声をかけあい、ボールをつないだ。

また、韓国とシッティングバレーを通じて交流する協定を結んだことを受け、今大会には高陽市の男子チームが参加。日本最高峰の大会にふさわしい、ハイレベルなプレーも見られ、アリーナは熱気に包まれた。

女子決勝は、東京プラネッツ女組がストレート勝ち

女子は、ナショナルチームの選手を擁する東京プラネッツ女組と、兵庫LSCが順当に勝ち上がり、決勝に進出。東京プラネッツ女組が2対0のストレート勝ちで9年ぶり3度目の優勝を飾った。

準々決勝の京都おたベーず花子戦でフルセットと苦しんだ東京。「悪いものがすべて出た。ここから気持ちを切りかえて、準決勝、決勝を戦うことができた」と、ロンドンパラリンピック日本代表の小方心緒吏は振り返り、決勝では相手守備の苦手なスペースにアタックを打ち込み得点を重ねた。

一方の兵庫LSCは、2014年アジアパラ競技大会の日本代表・粟野幸智恵らがサーブで得点するなど追い上げたものの、東京の勢いを止められず。それでも川口清隆監督は「勝ち負けよりも、チームワークが大事。笑顔も多く、雰囲気はよかった」と選手たちを称えた。

MVPには、優勝した東京の14歳・波田みかが選出された。4月に競技を始めたばかりの新星で、初出場初優勝となる。「実感はない。優勝も、個人賞もチームの皆さんのおかげ」。パワーはまだないが、161cmの身長とバレー経験をかわれ、すでに日本代表としてもプレー。東京パラリンピックでの活躍も期待されている。「足を使って動けない分、立ちバレーより難しい。自分から進んでレシーブができず、まだまだですが、得意のサーブを伸ばし、チームに貢献できるよう頑張りたい」と、はにかんだ。

京都おたべーず太郎がライバル対決を制す

男子は、京都おたべーず太郎が5度目の優勝。昨年と同じカードになった決勝戦は、前回優勝の強豪・千葉パイレーツを2対0で下した。試合後、キャプテンの五十里信行は「千葉はよくつなぐチーム。僕らも集中力高く、ワンプレーを大事に戦った。その結果、昨年の悔しさを晴らすことができて嬉しいです」と話して汗をぬぐった。

「相手はミスがなく、こちらはミスが出た」

敗因を淡々と語ったのは、千葉パイレーツの加藤昌彦。「優勝すると翌年は研究されるのか、2年続けて勝たせてもらえない」と悔しがった。

日本代表として東京を目指す加藤昌彦

シドニー・アテネのパラリンピックに出場したベテランで、今年5月に日本代表に復帰した。ナショナルチームについては「日本のシッティングバレーが弱いと思われるのは悔しいし、東京パラリンピックで恥ずかしくない試合をできたらと思う。若いメンバーを引き上げる役目を担いたい」と話している。

さらに、今大会には、(切断者のための)アンプティサッカーのチームに所属する選手が出場していた。大阪アタッカーズ五郎丸の飯倉善博は、8月、パラリンピックに出場する選手発掘を目的とした日本パラリンピック委員会(JPC)のイベントに参加し、シッティングバレーの魅力に触れた。身長は177cmで「大きいと有利なスポーツだと聞いていた」。今回初めて大会に出場し「相手エースをブロックできれば気持ちいいはず」と声を弾ませ、さらなるスキルアップを誓った。

リオへの戦いを、東京につなぐ

女子・決勝トーナメントの初戦で、兵庫LSCに惜しくも敗れた、soul48(魂)は、例年男子に混ざって出場していたが、今回は女子のみのチームで初出場。鋭いアタックで存在感を示した西家道代は「負けたのは悔しいが、初めて女子だけで出場できて楽しかった」と感慨深い表情で語った。

西家は女子日本代表のキャプテンでもある。今大会には、男女の日本代表選手も多数出場しており「全チームを見たわけではないが、個々のレベルは上がっている」と話す。

来春には、リオパラリンピックの出場権をかけた男女の世界最終予選が中国で行われる。「体格の大きいヨーロッパ勢に勝つことが求められるが、残りの期間でさらなるレベルアップを図り、死ぬ気でリオ切符を取りに行きたい」と西家。残る切符は1枚。日本にとって厳しい戦いが待っているが、「競技の普及のためにもリオ出場は必須」。チームの底力を発揮し、来年のリオ、そして2020年東京パラリンピックにつないでほしい。

text by Asuka Senaga
photo by AFLO SPORT

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