パリ2024パラリンピックまであと2年! メダル種目増加の余波は?
2024年に開催を控えるパリ大会。同大会では、東京2020大会と同じ22競技で熱戦が繰り広げられる。一方、メダル種目は東京大会から10種目増え、「549」に。国際パラリンピック委員会は、女子と重度障がいの選手の参加を増やし、参加選手の少ない種目は減らした。日本勢にどんな影響があるのだろうか。
除外された種目も
花形種目を擁し、東京大会で計12個(金3、銀3、銅6)のメダルを獲得した陸上競技だが、パリ大会では、東京大会で佐藤友祈が金メダルを獲得したT52(車いす)の1500m、永田務が銅メダルを獲得したT46(上肢障がい)の男子マラソンが除外される。
そんななか、佐藤は新たに100mに参戦するほか、自転車競技への挑戦も表明。永田もトラック種目でパリへの可能性を探る。
東京大会では実施されなかった女子砲丸投げのF46(上肢障がい)クラスがパリ大会では採用され、世界記録保持者である齋藤由希子が一躍、メダル候補に名乗り出た。
なお、パラリンピック開幕の約3ヵ月前に行われる「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」(2024年5月17日~25日)は、パリ大会の出場枠がかかる重要な一戦。約100の国と地域から集まる1,300人の選手たちが、男子180枠、女子146枠をかけて熱戦を繰り広げる。国内最大級のビッグイベントになりそうだ。
好成績を残した競技でメダル数増
パリ大会における女子の種目は、東京大会より8種目多い235種目となる。
日本が強豪のボッチャは、男女混合の個人戦が男女に分けられることになり、女子の強化が急ピッチで進められている。国内の大会も男女別で実施されており、直近の国際大会ではランプと呼ばれる勾配具を使用するBC3(脳性まひなど)クラスで女子の竹之内和美が、男子の河本圭亮とともにアベック優勝を果たしている。
視覚障がい者の柔道も、大きな変更があった。これまで全盲から弱視まで障がい程度の違う選手が一緒に戦っていたが、パリ大会では障がいの程度によりクラスが2つに分けられる。また、東京大会で瀬戸勇次郎が銅メダルを獲った男子66㎏級がなくなり、瀬戸は73㎏級(J2/弱視)へ。体重別の種目が男女各4階級に減り、有力選手は階級変更を余儀なくされている。
その他、ボート(ローイング)では、PR3ダブルスカル(混合)が追加され、東京大会から採用されたテコンドー、バドミントンなどでも実施種目が増える。バドミントンは東京大会で日本勢が計9個(金3、銀1、銅5)のメダルを獲得しており、前回を上回るメダル数に期待がかかる。
団体競技は世界8チームが出場
東京大会では快進撃で話題をさらい、見事銀メダルに輝いた車いすバスケットボール男子だが、パリ大会では出場枠が12ヵ国から8ヵ国に減る。男子日本代表は新型コロナウイルス感染症の影響で「2022アジアオセアニアチャンピオンシップス」を棄権しており、今年の世界選手権に出場できない。パリ大会への道のりは厳しいものになっている。
ゴールボールは、今年12月にポルトガルで行われる「2022ゴールボール世界選手権大会」で男女ともに上位2ヵ国が、車いすラグビーでは、2023年6月末から7月にかけて東京で行われる「2023 WWR アジア・オセアニア チャンピオンシップ」で優勝チームが、それぞれパリ大会への切符を手にすることができる。
ベテラン勢も健在
各競技とも世代交代が進んでいるものの、パリ大会の準備期間は意外と短い。そんななかで頼もしいのは、ベテラン勢だ。東京大会の女子マラソン・T12(視覚障がい)で金メダルを獲得した道下美里や水泳で金・銀・銅全ての色のメダルを獲得した鈴木孝幸(運動機能障がい)らが健在。自転車競技では直近の世界選手権で杉浦佳子が女子ロードレースC3(運動機能障がい)で優勝しており、出場すれば話題の中心となりそうだ。
パリに向かって、それぞれの戦いがすでに始まっている。
text by TEAM A
key visual by AP/AFLO