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アイスホッケー
目指せ、ピョンチャン。2大会ぶりの出場権獲得へ! アイスホッケー日本代表キャプテン・須藤悟が意気込みを語る
「大一番」。いや、その程度では済まされない。須藤悟の言葉を借りれば「日本の行方を左右する大会」が近づいてきた。
バンクーバーパラリンピックで銀メダルを勝ち獲った日本代表は、国際パラリンピック委員会(IPC)が2年ごとに開催する「パラリンピックスポーツアウォード」で、夏季、冬季を含めた全競技の中から最優秀チーム賞に輝いた。ところが、ソチパラリンピックの出場権を争う最終予選では、韓国とイタリアに、いずれも1点差で敗れるなど、僅差の試合を競り負けたことが響いて、5大会連続出場を逃してしまった。
2大会ぶりとなるピョンチャン行きの切符を懸けた最終予選を10月に控え、アイスホッケー日本代表を務める須藤悟キャプテンに話を聞いた。
日本のライバルたちは?
――最終予選は5ヵ国が総当たりで争われます(予定)。まず対戦国の印象をお聞きしたいのですが、ホスト国のスウェーデン(昨季の世界選手権Aプール6位)は、どんなチームですか?
「ソチの最終予選でも対戦しましたが、そのときとほとんどメンバーは変わっていません。スピードはないですけれど、パス回しのうまさと守りの意識が高いチームなので、油断はできません」
――続いてドイツ(同Aプール7位)の印象は?
「チームを引っ張る3人の主力選手が、勝負どころで一緒にプレーしているときは要注意です。一方で先制されるとイライラする傾向があるので、その点も踏まえて戦わないといけないですね」
――昨季の世界選手権で対戦したチェコ(同Bプール優勝)は?
「何と言っても体の大きなGK(ミハル・バペンカ)を、どうやって攻略するかが最大のテーマです。アイスホッケーが盛んな国なので、パスのタイミングやスペースを使ったプレーが上手なチームです」
「(体重の軽い)両足切断の主力選手が3、4人いるので、スピードのある選手への対応が必要です。それから、これはドイツにも言えますけれど、大会が進むにつれて、尻上がりに調子が良くなってくるチームです」
日本の戦い方は?
――4ヵ国との最終予選で、日本はどのように戦っていくのでしょうか?
「得点力が高いチームではないので、まずしっかり守って、少ないチャンスを活かして先制する。そこからまたしっかり守って逃げ切るのが理想です」
――先制点が大きなポイントになりそうです。
「その通りだと思います。先制すればチーム全体の雰囲気も、選手たちのプレーも、全て良くなっていくでしょう。だからこそ、『先制点を与えないぞ』という強い意識が必要です。守る時間が長くなって、集中力が途切れてしまい失点した試合が、これまでにもありましたから」
――先制点のためにも守りが大切なのですね?
「守りの面で心強いのは、信田(憲司=元アイスホッケー女子日本代表監督)コーチの存在です。守りから試合を作るというスタイルを徹底し続けている上、現役時代にアイスホッケー日本代表のGKも務めた方ですから、望月(和哉=日本の守護神として期待される26歳)たちGKにとっては、大きなプラスになっていると思います」
日本の行方を左右する戦い!
――もうすぐ大事な戦いが始まります。
「バンクーバーで銀メダルを獲ったのに、前回のソチは予選敗退でした。だからこそ、2回続けてパラリンピックに出られないなんて、絶対にあってはならないんです」
――かなり強い意気込みですね。
「2022年の北京パラリンピックへ向けて、中国も強化を進めるでしょうし、(ドーピング問題で現在のところ出場が認められていない)ロシアだって、いつかは戻ってくるでしょうから、『もしピョンチャンも出られないと、もう二度とパラリンピックへ出場できないかもしれない』という危機感を抱いています」
――それだけに、最終予選では須藤キャプテンの活躍が求められますね?
「自分が目立ちたいという思いはないですよ。でも、もうこの年(46歳)になったので、引退していなくなる前に、若い選手たちへ(大舞台で戦う)道だけは作っておいてあげなければいけないと思っています」
日本の行方を左右する大会――須藤が口にした言葉は、日本代表選手たちの心からの想いに違いない。4年前の悔しさを晴らすために、そしてアイスホッケーを日本で根付かせるため、日の丸をつけた選手たちは、秋のスウェーデンを舞台に、ピョンチャン行きの切符を懸けてパックを追う。
text by Jiro Kato
photo by X-1