無限の可能性を体現し、自己ベストに挑む。パリパラリンピックに向け日本代表選手団が結団式

無限の可能性を体現し、自己ベストに挑む。パリパラリンピックに向け日本代表選手団が結団式
2024.07.17.WED 公開

パリ2024パラリンピック競技大会に臨む日本代表選手団の結団式が16日、秋篠宮ご夫妻を迎えて都内のホテルで行われた。夏冬9度目のパラリンピックを迎える陸上競技の土田和歌子、ボッチャで連覇を狙う杉村英孝ら117人の選手が参加し、それぞれの活躍を誓った。

海外開催のパラリンピックで史上最多となる見込みの日本代表選手団

旗手は陸上競技の石山&水泳の西田

式では、日本パラリンピック委員会(JPC)の森和之会長から田口亜希団長に団旗が授与され、このあと団長から旗手の石山大輝西田杏に手渡された。

その後、秋篠宮さまが「日頃からの成果を存分に発揮されることを期待しております。そして、一人ひとりがスポーツを通じて、パリに集う人々との交流を深めることにより、国際親善に努められることを願っております」と激励のおことばを述べた。

秋篠宮ご夫妻は退出の際、旗手を務める両選手の元に立ち寄り、握手をして「体調に気をつけて頑張ってください」などと声をかけたという

続いて、盛山正仁文部科学大臣が「日本代表としての誇りと自覚を持ってベストを尽くしていただきたい」とエールを送り、フィリップ・セトン在日フランス大使は「パリ大会は、オープン、アクセシビリティ、持続可能な環境と共生に配慮していて、パラスポーツはまさしくその中心。組織委員会は、より大きな反響を得ようと、オリンピックとパラリンピックの垣根を取り除いた。事前PRおよび今後の競技の中継などに関しても、オリンピックとパラリンピックが対等に扱われることになっている」とアピールした。

そして、女性のパラリンピアンとして初めて夏季大会の日本代表選手団の団長を務める田口団長があいさつ。
「パリ2024大会の大会スローガンは、Games Wide Open(広く開かれた大会)です。 多様性や創意工夫に満ちた人間の可能性の祭典であるパラリンピックで、無限の可能性を体現するパラアスリートの魅力を通して、よりよい社会をつくるための社会変革を生み出していければと思います」

射撃で2012年のロンドン大会まで3大会連続でパラリンピックに出場した田口亜希団長

スローガンは「挑め、自分史上最強。」

式には、岸田文雄内閣総理大臣から、「夏季パラリンピック史上初めて、同一都市で2度目の開催となった東京大会を契機に、障がいや多様性への理解が深まり、共生社会の実現が進んだ。そのレガシーは、パリ大会に引き継がれています」というビデオメッセージも寄せられた。

この後、選手の投票で決まったという、スローガン「挑め、自分史上最強。」が発表された。「とても疾走感のあるフレーズ」と石山。西田は「お互いを高め合い、それぞれがベストパフォーマンスを発揮して今まで以上の自分に出会えるような大会にしたい」と決意を述べた。

田口団長は「みんなで一致団結して士気を高めるためにも使用したいですし、大会前も合言葉のように使っていけたら」と話し、中澤吉裕副団長は、「次の自分に、また次の世代の仲間たちに、自分史上、最強のバトンを渡すことを忘れずにパリに向かっていきたい」と話した。

水泳の50mバタフライを専門とする西田杏は、東京大会に続き2度目のパラリンピック出場。「第一に、私たち(旗手)が楽しむことで、みんなを盛り上げていくことができると思う」

今回のパラリンピックでは、オリンピック同様に、日本代表選手団の「主将」を置かない。記者会見に登壇した西田は「今回は旗手という役割をいただいた。主将がいない中での旗手となることで、よりいっそう責任感が強くなる。開会式の次の日からそれぞれの競技が始まるので、日本代表選手団を盛り上げていけるようにしっかり努めたい」と抱負を述べた。

初出場の石山は、「(旗手に抜てきされ)一挙手一投足が注目されていく存在になったのかな。パフォーマンスを通じて勇気や感動を与えられるような存在になれればと思う」と笑顔を見せた。

陸上競技・跳躍ブロックのスタッフとして石山とともにパリで戦う、鈴木徹コーチは、2008年の北京パラリンピックで旗手を務めた。そのことについて、石山は知らなかったというが、指導される選手として「絶対にメダルを獲って、徹さんにメダルをかけられれば」と力強く話した。

5月に神戸で開催された世界パラ陸上競技選手権の走り幅跳びで2位の石山大輝は初めてのパラリンピックになる。「開会式では(視覚障がいなので)まっすぐ歩けるようにがんばりたい」

パリ大会の日本代表選手団はこの日までに160人が代表になり、今後、柔道などが追加され、海外開催のパラリンピックで史上最多となる見込み。

その日本代表選手団は、22競技中21競技にエントリーする。東京大会でメダルラッシュに沸いたバドミントンや車いすテニスのほか、車いすラグビーやゴールボールなど団体競技の活躍も期待され、JPCはメダル数「アテネ大会で獲得した52個以上」を目標に掲げている。

8月28日の開幕に備え、ブラインドフットボールや水泳などは事前キャンプを行うため、早々にヨーロッパに入りし、本番に備える。観客の声援が戻るパリで選手たちは、花を咲かせることができるだろうか。約40日後を、楽しみに待ちたい。

text by Asuka Senaga
photo by AFLO SPORT

『無限の可能性を体現し、自己ベストに挑む。パリパラリンピックに向け日本代表選手団が結団式』