スポーツ史上、最もお尻を意識するスポーツ!?「シッティングバレーボール」ってなんだ? 

シッティングバレーボールって、一体どんなスポーツ?
2019.05.22.WED 公開

シッティングバレーボールって、一体どんなスポーツ?

簡単に言うと・・・

①コートの床に座った状態で行うバレーボール

②お尻を床につけたまま手を使ってコートを移動する

③一般のバレーボールと違い、サーブをブロックできる

④コートが狭く、ネットが低いので攻防がスピーディー

プレイヤーたちがお尻を床につけたままコートを高速に動き回る競技、それがシッティングバレーボールだ。要は、座ったまま行うバレーボールなのだが、想像だけだと「座ったままでは素早く動けなそうだし、ボールを上手く取れなそうだし、グダグダな展開になるのでは?」と思うだろう。しかし、実際にはボールがコートをバンバン行き来し、選手は軽快にスパイク&レシーブするなど、かなりアグレッシブな攻防を繰り広げるスポーツなのだ。
試合は5セットマッチ、1セット25点先取(第5セットは15点)のラリーポイント制で先に3セット先取したチームが勝ち。この点は一般のバレーボールと同様だが、コートが狭く、ネットも低いというのが大きな特徴だ。

ココに注目!観戦が面白くなるポイントは?

(写真はリオ2016パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

①お尻を床につけたままでも移動が驚くほどスムーズ!

シッティングバレーボールの最大の特徴は、お尻を床に接しておかなくてはならないこと。では座ったまま、どのように動けばいいのか? というと、手を使い、お尻を滑らせて移動するのだ。選手たちは当たり前のようにスムーズに動いているので、「実は簡単なのでは?」と思いきや、実際にやってみるとこれが難しい。滑らかに素早く動くことも、トップ選手だからこそなせる技なのだ。

そして競技中にお尻をコートから離してしまうと、「リフティング」というファールになる。競技を体験した人に、「やってみて難しかったところは?」という質問をすると、多くの人ががこのリフティングのことを回答する。お尻をつけたまま移動し、お尻を浮かせずにプレーすることは見た目は地味だが、相当な経験とテクニックを要する「すご技」なのだ。

②コートが狭く、ネットが低いため常に“ギリギリ”の戦いに

コートは長さ10m×幅6mの長方形でネットの高さは男子1.15m、女子1mと、一般のバレーボールより狭く、そして低い。そのため選手同士の距離感が近く、必然的に一般のバレーボールよりスピーディーな攻防となる。だからこそ、ボールを拾うにためにも落下地点を予測し、素早く反応しなくてはならない。「決まった!」と思った刹那、床面ギリギリのボールを華麗にレシーブするシーンなどは見ていて鳥肌ものだ。

また、お尻が床についているがゆえ守備範囲は限られるため、サーブは重要な得点源。上背のある選手が、強力なサーブでひたすら押していくのもひとつの戦略だ。ここで覚えておきたいのが、「サーブを直接ブロックしていい」という独自のルール。サーバーの得意コースや癖を読み切ってのブロックでの得点は、チームに勢いをもたらすスーパープレーといえる。

③相手だけでなく観客をも欺く頭脳プレー

選手たちは、わずかゼロコンマ何秒の間に相手のブロックや陣形を見て、クイック(低いトスを上げて素早くスパイクを打つこと)でブロックをかわすか、フェイント(強く打つと思わせてブロック後方に緩くボールを落とすこと)で相手を欺くかなどを判断している。

また、シッティングバレーボールでも一般のバレーボールと同様にサーブやスパイクに対して、①レシーブ→②トス→③スパイクの三段攻撃が基本だが、②で敢えて相手コートに返し、相手チームの虚を突くというテクニックもある。特に相手チームに体格で劣る場合には、このような頭脳プレーが試合を左右する重要な要素となる。

シッティングバレーボールを観戦するには?

(写真はリオ2016パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

シッティングバレーボールに注目!

「座ったままのスポーツ」とは思えないほどに、アグレッシブな攻防、そして相手だけでなく観客さえも驚かせる頭脳プレーは見るものをワクワクさせてくれる。知れば知るほど奥深く、見れば見るほどに興奮すること間違いなしのシッティングバレーボール。東京2020パラリンピックでも注目しよう!

シッティングバレーボールの種目、クラス分けについて書かれたページはこちら
Text by Jun Nakazawa(Parasapo Lab)
Photo by Getty Images Sport

参考資料:
『かんたん!シッティングバレーボールガイド』(外部サイト:公益財団法人日本パラスポーツ協会
https://www.parasports.or.jp/about/referenceroom_data/competition-guide_19.pdf

『スポーツ史上、最もお尻を意識するスポーツ!?「シッティングバレーボール」ってなんだ? 』