【東京パラPREVIEW】メダル候補も多数! 人気競技・車いすテニスの日本代表を紹介!
日本テニスの聖地、有明テニスの森を舞台に行われる車いすテニス。男女のシングルス、ダブルスのほか、障がいの程度が重いクアードクラスは、シングルス、ダブルスともに男女混合での実施となる。自国開催の今大会は、各クラスでのメダル獲得という期待も高まっている。
タイトル奪還を目指す最強王者
世界ランキング1位で今大会を迎える国枝慎吾は、日本代表選手団の主将も務めるなど競技の枠を超えたパラスポーツ界の絶対的存在だ。北京大会(2008年)、ロンドン大会(2012年)では、男子シングルスを連覇。今大会に向けても、「シングルス、ダブルスともに金メダルを目指している。世界ランキング1位で迎えることができたというのが、その有力な候補である証でもあると思う」と冷静さの中にも情熱が垣間見える。前回のリオ大会(2016年)はケガの影響もあり、シングルスはベスト8止まり。タイトル奪還に向け、準備は万端だ。
三度目の正直で挑むメダル獲得
その国枝とダブルスでコンビを組むことが予想されるのが眞田卓だ。持ち前のパワーショットを武器にダブルスでのメダル獲得はもちろん、シングルスでも過去に出場した2大会を超える成績(ベスト16以上)を目指している。「ロンドン、リオと成績を残してきましたが、それを上回る成績を取りたい。シングルスもダブルスもメダルを狙っていますし、3度目のパラリンピックということもあるので、絶対狙っていきたい」と今大会への思いは強い。
眞田と同じくパラリンピック3回目の出場となる三木拓也は、海外遠征中の負傷により2018年シーズンをケガで欠場。2019年2月にコートに復帰するも、度重なるケガの再発で一時は引退も考えていた。「やっと状態も回復してきて、自分のテニスをコート上で披露できる状態になってきた。ある意味、自分の中での第2部という位置づけにしているので、今大会をきっかけに上を目指して頑張りたい」と、支えてくれた人への感謝を胸に上位進出を狙う。
初出場で上位進出を目指す
一方で、急成長を果たし、夢の舞台の切符を手に入れたのが荒井大輔だ。今年に入り、国際大会にも積極的に出場。海外の強豪としのぎを削る武者修行で力をつけてきた。「自分よりランキングが高い選手にも勝てたり、ランキングトップ10の選手ともいい試合ができて、勝てるチャンスが出てきた」。フィジカルの強さと粘り強いプレーで、一つでも上を目指す。
クアードクラスで初出場を果たしたのが菅野浩二。2016年に東京2020大会出場を目指し同クラスに転向すると、たちまち国内ランキング1位に。「目標はシングルス、ダブルスでのメダルを獲得。出場は素直にうれしいが、そこに満足せずに最後の調整を行っている」。今大会に向けて磨き上げてきたバックハンドを武器に、狙うは初出場でのメダル獲得だ。
クアードクラスの中心的存在
ベテランの諸石光照はクアードクラスをまとめるリーダー的存在。「やはり諸石選手が経験もあって、アドバイスをしてくれると思います」と監督からの信頼も厚い。ダブルスでは初出場の菅野とのコンビとなるが、「菅野選手に任せれば、絶対に勝てると感じている。アメリカやイギリスのペアも強いが、そこに勝ってメダルを取りたい」。ベテランらしいいぶし銀のプレーで、メダル獲得なるか注目だ。
世界ランキング2位。小さなエース
男子のエースが国枝なら、女子のエースは上地結衣だ。現在の世界ランキングは2位。2回目のパラリンピック出場となった前回のリオ大会では日本選手団の旗手を務め、銅メダルを獲得した。今大会に向けては、「過去2大会で獲得できなかったシングルスでの金メダルを目標にして戦っていきたい。前回の3番じゃなく、(強敵がそろう)オランダを崩しにいく気持ちでやっていきたい」と、自国開催の今大会ではさらなる高みを目指す。最大のライバルと目される、世界ランキング1位のディーデ・デ フロート(オランダ)との戦いにも注目だ。
遅れてきた期待のニューカマー
大谷桃子は2020年の全米オープンで四大大会初出場。全仏オープンではディーデ・デ フロートを破る金星を挙げ、準優勝に輝いた。「全仏オープンでトップの選手と戦って勝てたことが自信になった。練習してきたことが試合で出せるような1年になった」と自信を口にする。上地とのコンビで出場となるダブルスには、「非常に期待感を持っています。楽しみでしかありません。歴代の女子代表選手も素晴らしかったですが、今年はより幅の広いプレーができるペアだと思っています」と監督も大きな期待を寄せる。
急成長を遂げる初出場の2人
パラリンピック初出場となる2人にも注目だ。田中愛美は鋭いフォアハンドで魅せる攻撃的テニスが身上。「3年前にアジアパラ競技大会に出場したが、そのときは正直目標を達成することができなかった。今回はメダル獲得に向けてやっていきたい」。さらに、技術面の上積みも自信を後押しする。「この1年(車いすの)チェアワークにもかなり力入れることできたのでプラスになった」と、コロナ禍による延期もポジティブに捉え、高みを目指す。
高室冴綺は、パワーを武器にしたフォアハンドやサーブでの強打が強み。延期となったこの1年は、「もともとパワーがあるので、パワーのあるボールをコントロールする練習をした」。さらに、試合中に波があるのが課題だったというメンタル面も強化を図った。今大会に向けては、「目標としていた舞台なので、今までの応援やサポートしてくださった方にいい結果で恩返しできるように自分らしいプレーで頑張りたい」と思いを口にする。
選手がいいパフォーマンスをすれば、各クラスでメダルを十分狙える位置にいる―。中澤吉裕監督の言葉通り、メダルラッシュとなるか。車いすテニスは競技3日目、8月27日に開幕する。
text by TEAM A
key visual by Getty Images Sport