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全力笑顔の女子、泥臭く戦う男子。シッティングバレーボール全敗も見せたぞ自分たちのスタイル!
選手たちが座ったままプレーするシッティングバレーボール。東京2020パラリンピックのシッティングバレーボール日本代表は、男女ともに予選突破がかなわず、順位決定戦にも敗れて東京2020パラリンピックを終えた。世界の壁はまだまだ分厚い。しかし、それはいつか突破できるのではないか。そう予感させる奮闘を選手たちは見せた。
“高い”海外勢に通用するアタック見せた男子
強豪ぞろいの予選プールに入った男子代表チームは、8月27日にRPC(ロシアパラリンピック委員会)、29日にエジプトと対戦し、いずれもセットカウント0-3で敗戦した。31日に挑んだ予選最終戦の相手は、ボスニア・ヘルツェゴビナ。前回のリオ大会でも銀メダルを獲得したように、パラリンピックや世界選手権で決勝戦の常連となっている強豪中の強豪だ。
ここまで連敗中の日本だったが、2000年のシドニー大会から代表チームで戦ってきた加藤昌彦が、「なかなか対戦する機会のないチーム。胸を借りるつもりで挑んだ」と話したように、ここに来て日本は吹っ切れたかのようだった。これまでの2試合よりも、のびのびとした動きを見せたのだ。
高さもパワーもある相手チームに対して、ブロックアウトを狙ったり、リバウンドを確実に拾ったりするなどし、3セット目の序盤にはリードする場面も作った。加藤は、「今大会に向けて練習してきたバックアタックが出せた」と、打点やブロックが20~30cmは違うという海外勢の高さに対応するために磨いた技術が通用したことに、手応えを感じていた。
キャプテンの柳昴志も、「泥臭く拾って落とさない、できるだけ相手の嫌なところに返すという自分たちのバレーができてきた」と振り返る好内容だった。
男子代表チームは、中国との順位決定戦にも敗れ、大会前に掲げた目標である「1勝」には届かなかった。しかし、世界のトップレベルの相手にも通用するプレーができたことは、今後、代表チームを強化していくうえでもかけがえのない経験になったはずだ。
アクシデントに見舞われた女子に「全力笑顔」が戻った
ベスト4進出を目標に定めていた女子代表チームは、初戦のイタリア戦、第1セットでベテランの長田まみ子が負傷。真野嘉久監督が「練習してきたシステムとは全く違うノーリベロでやらなければならなかった」と話したように、チームは思わぬアクシデントに戦術を変えざるを得なくなった。
初戦のイタリア戦、2戦目のブラジル戦ともに、セットカウント0-3で敗れたが、真野監督は選手たちをこうねぎらった。
「そんな中でも急遽出場した藤井順子が頑張ってくれて、5点や10点で終わってもおかしくないところを粘ることができた」
もともと大会前から、日本は厳しい状況に置かれていた。11人の代表枠に対して、選出できた選手は9人。シッティングバレーボールは1チーム6人でプレーする競技のため、交代要員は3人しかいない。そんな中でのスターティングメンバーの負傷は手痛かったが、そこで得た収穫もあった。
「(障がいの軽度な)VS2の田中ゆかりのサーブが連続で入ってくれた。単なるVS2の交代ではなく、それぞれに役割を果たせる布陣になった」(真野監督)
VS2の選手は1チームに2人まで登録が可能。コートには1人のみ入ることができるが、そのカードのバリエーションが増えることには大きな意味がある。
予選最終日、カナダ戦に挑んだメンバーの顔には、これまで以上の笑顔が見られた。「全力プレー、全力笑顔」とキャプテンの西家道代が語るチームスタイルが、厳しいチーム状況の中でも体現できたのだ。エースである小方心緒吏も、「コートの外にいるスタッフも含めて、全員が笑顔で声を掛け合ってプレーできた」と振り返った。
要所要所で緒方がスパイクやサービスエースを決め、ピンチに陥りそうになると西家がブロックやスパイクで悪い流れを断ち切った。日本チームらしい流れを作った。しかし、「ミスもあって連続失点を2点で抑えられなかった」と西家が話すように、パワフルなスパイクを打ってくるカナダに圧倒され、0-3で敗戦した。それでも各セットともリードをする場面があり、セットカウント以上に拮抗した試合だった。
「このままの流れで最後は勝って終わりたい」(西家)と必勝を期して挑んだルワンダとの順位決定戦だったが、各セットとも競り合いながら終わってみれば0-3。最終順位は8位に終わった。
「やってきたことは間違っていない」
男女とも1セットも取れずに全敗し、世界の壁を痛感することになったシッティングバレーボール日本代表。しかし、強豪相手にポイントでリードする場面があったように、自分たちの実力が通用する手応えもあった。
女子は今回、他国チームよりも少ない9人という限られた人数で戦い抜き、最終試合後は会場にいた人たちから温かい拍手が送られた。11人いれば、次はもっとやれるはずだ。
男子も、ベテランの加藤が「実際にやってみて、ある程度は通用する、やってきたことは間違っていなかった」と話すように、今後はより精度を上げていけば、強豪相手にも引けを取らないだろう。
ここが始まり。さらなるチーム強化で、雪辱を果たす。
text by TEAM A
key visual by AFLO SPORT