【北京冬季パラPREVIEW】スノーボード日本代表6人がチーム一丸でメダル獲得に挑む
北京オリンピックのスノーボード競技は、金1、銅2のメダルを獲得し、日本代表の存在感を見せつけた。3月4日に始まるパラリンピックでも、スノーボードの日本チームが話題になりそうだ。チームのキャプテン、小栗大地(LL1)は「パラリンピックという最高の舞台で、チーム全員で最高に楽しんでいいレースをしたい」と気を吐く。ここでは、北京2022冬季パラリンピックに挑む6人の顔ぶれを紹介したい。
4年前の平昌パラリンピックでは競技として初採用されたスノーボードに日本から3選手が出場。金1、銅1を獲得した成田緑夢(LL2)を記憶している人もいるだろう。
その成田は競技を引退。今回出場する6人は、小栗以外、初出場。それでも二星謙一監督は、「全員が本当にメダルを目指す実力を持っている」と表彰台への手ごたえを滲ませる。
北京大会で実施されるのは男女3クラスで「スノーボードクロス」が6日と7日、「バンクドスラローム」が12日に行われる。このうち、日本チームがより自信を持っているのが「雪上の格闘技」といわれるスノーボードクロス。LL2(膝上切断などの下肢障がい)、LL1(膝下切断などの下肢障がい)、UL(上肢障がい)それぞれのクラスでメダリスト誕生の期待がかかる。
<スノーボード日本代表>
小栗 大地
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スノーボードクロスで7位に留まった平昌大会が終わった翌日、障がいのある足を前側にする「グーフィー」に変更。今季は12月のワールドカップ・フィンランド大会2位で表彰台に上がった。LL1のエースとしてメダルを期待される。
「バンクドスラロームとスノーボードクロス両方に出場。もともとスノーボードクロスの方が得意だったけれど、ここに来てバンクドスラロームも調子が上がっていて両方いけるんじゃないかなと感じています」
岡本 圭司
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ケガをする前は、フリースタイルでトッププロだった岡本。今シーズンは、オランダでのワールドカップにて、スノーボードクロスで準優勝を遂げている。
「パラスノーボードに携わってから約3年。脊髄損傷して人生が変わってから7年。これまでつらいこと、大変なことがあったので、明るい未来につながるように精いっぱいいい滑りがしたいです」
市川 貴仁
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1月の世界選手権のスノーボードクロスで5位入賞を果たし、メダルを狙える位置にいる。2月中旬にバイパルタイト(推薦枠)で代表の座を掴んだ。
「最後に代表入りを決めて、チームの一丸となれたことを本当に嬉しく思っています。前回の平昌大会には出場できず、非常に悔しくて、この4年間、北京にかけてきました。バンクドスラローム、スノーボードクロス両種目でメダルを獲れるように頑張りたい」
小須田 潤太
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東京2020パラリンピックの陸上競技・走り幅跳びで7位入賞した小須田は、コロナ禍の影響などで「先シーズン、先々シーズンと雪上での練習時間がものすごく少なかった」と振り返りながらも、12月のワールドカップ・フィンランド大会のスノーボードクロスで3位になり、初めて表彰台に上がった。
「最高の滑りをし、スノーボードクロスで表彰台を目指します。小栗選手と一緒に表彰台に上がれるように頑張ります」
大岩根 正隆
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日本チームで唯一、上肢障がいの大岩根は、今シーズン徐々に調子を上げてきている。大会を重ねるごとに順位を上げ、1月の世界選手権では2種目で4位入賞を果たした。
「3年間、やってきた力をしっかり出せるよう、体調管理も含めて、トレーニングを続けています。ベストを尽くして表彰台を狙いたいです」
田渕 伸司
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日本チームのなかでは唯一「バンクドスラロームのほうが得意」と断言しているのが、特別支援学校の教諭を務める田渕。今季は、12月のドイツのワールドカップで3位となり、2019年世界選手権で銅メダルを獲得したこともある。
「この4年間、北京を目指して一生懸命頑張ってきました。チームの雰囲気もすごく良くて、支えてもらいながら何とかここまで来ることができた。北京では、最後まであきらめず、全力でプレーできるように調整中です」
日本の最大の強みはチーム力
日本代表チーム全体で見ると、チーム力も高い。ライバル関係でもある日本選手同士だが、コースについて得た情報を他の選手にしっかり伝えるなど、支え合う状況を作ってきた。
キャプテンの小栗は、「個人種目ですが、これまで情報を共有したり、チームとモチベーションを上げたりと、チームとして戦ってきました。北京でも同じように、チームとして戦っていきたいです」とチーム一丸となって戦う決意を示している。
この総合力も日本のメダル獲得への後押しになってくれそうだ。
text by TEAM A
photo by JPC, X-1