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東京パラリンピックへの弾みとなるか? アジアパラがジャカルタで6日、開幕!
「インドネシア 2018 アジアパラ競技大会」が6日、8月に行われたアジア大会と同じ首都ジャカルタで開幕する。8日間の日程で行われる今大会には、約40ヵ国の選手が参加。日本からは304名の選手が18競技中17競技に参加する。
今大会は、東京2020パラリンピック前に実施される最後の総合スポーツ大会。4年前のインチョン2014アジアパラ競技大会(韓国)の金メダルランキングで中国、韓国に次ぐ3位(金メダル38個を含む143個)だった日本は、何個の金メダルを獲得することができるか。
メダル量産に期待! 水泳&陸上競技
総勢68人を送り込む大所帯の陸上競技は、2017年世界パラ陸上選手権の金メダリスト佐藤友祈がトラック2冠を狙うほか、前回金メダル第一号だった中長距離の和田伸也(T11/視覚障がい)、リオパラリンピック400m(T47)銅メダルの重本沙絵、100m(T64)でアジアランキング1位の佐藤圭太らに金メダルの期待がかかる。初出場組では、今期記録を伸ばしている走り幅跳びと100m(T63)の兎澤朋美、競技歴1年弱でアジア記録を狙う100m(T64)の井谷俊介らに注目したい。
T20 (知的障がい)クラスは、走り幅跳びの山口光男、1500mの蒔田沙弥香らベテランはもちろんのこと、1500mの赤井大樹、400mの外山愛美、走り幅跳びの小久保寛太ら東京2020世代がどんな成績を残して東京につなげるか。
9月の「第29回日本パラ陸上競技選手権大会」では、アジア記録3、日本記録15、日本タイ記録2 が生まれたが、多くの選手たちにとって今シーズンのメイン大会となるのがアジアパラ。アジア新記録樹立の瞬間をジャカルタでも目撃したい。
【意気込み教えて! 陸上競技・山口光男選手】
前回大会で金メダル16個と最も数を稼いだのは水泳だ。今大会も、中国の脅威はあるものの、メダルを量産するだろう。
8月のパンパシフィックパラ水泳選手権のSM14(知的障がい)200m個人メドレーでアジア新記録を出した東海林大をはじめ、9月のジャパンパラ水泳競技大会で100mバタフライのアジア新記録を樹立した日本のエース・木村敬一(S11)、高校生の小池さくら(S7)らタレント豊富な水泳陣に注目だ。
【意気込み教えて! 水泳・森下友紀選手】
前回を超えるメダルを。
アーチェリーは、リオパラリンピック7位の上山友裕が有力選手。リカーブオープンに出場する小野寺公正も「タイや韓国が強豪だが、4年前の銅メダル以上を狙いたい」と力を込める。
射撃は、中国、韓国、UAE、イラン、ウズベキスタンなど、リオパラリンピックでメダルを獲得したアジア選手と、日本の選手たちがどんな戦いを見せるか。複数選手がファイナル進出を果たせば、東京パラリンピックに向けて明るい兆しになる。
パワーリフティングは、男子88㎏級の大堂秀樹が9月に行われた「北九州 2018 ワールドパラパワーリフティングアジア・オセアニアオープン選手権大会」で銅メダルを獲得。そんななかで男子72㎏級の新鋭・樋口健太郎、ジュニアの女子67kgに出場して日本新記録で大会を終えた15歳の森﨑可林らの健闘も光った。アジアパラでは、ベテランから若手まで活躍に期待したい。
【意気込み教えて! パワーリフティング・森﨑可林選手】
アジアが強豪!
バドミントンの世界はアジア勢が席巻するが、パラバドミントンもアジアが強豪だけに、選手たちの今大会にかける思いも強い。車いすで圧倒的な強さを発揮する韓国、バドミントンが国技のインドネシア、フィジカルの強さが目立つ中国ら強豪国がアジアの頂点を争奪する。
なかでも注目は、男子SU5(上肢障がい)クラス。パラバドミントン世界選手権で単複合わせて11回の優勝を誇るリク・ハウチアに、日本の今井大湧はどこまで食らいつけるか。東京パラリンピックの前哨戦となるだろう各種目の戦いから目が離せない。
アジアパラ直後の15日から世界選手権が始まる卓球も、東京の国別出場枠獲得のためのポイントが与えられる重要な大会となる。よりポイントの高い世界選手権にだけ出場する選手もいるが、若手トップ選手の岩渕幸洋(クラス9)らはアジアパラと世界選手権の両方に出場。キャプテンの垣田斉明(クラス10)は「選手たちのモチベーションは非常に高まっている。前回の倍以上のメダルを獲って東京への自信にしたい」と語っている。
【意気込み教えて! 卓球・吉田信一選手】
ボッチャの日本代表“火ノ玉ジャパン”は、先月イギリス・リヴァプールで世界選手権を終えたばかりだ。チーム戦(BC1-2)では、過去最高となる銀メダルを獲得したが、リオパラリンピックと同様に日本の前に立ちはだかったのが強豪タイ。キャプテン杉村英孝らは、世界選手権のリベンジに燃えている。
アジアを制して世界へ!
リオパラリンピックのメダリスト3人が出場する柔道は、東京パラリンピック出場をかけた戦いが始まる11月の世界選手権に向けて重要な戦いになる。アジアパラには、男子73㎏級の永井崇匡、女子48㎏級の島田沙和ら若手も出場。アジアで成績を残し、世界への道につなげたい。
車いすフェンシングは、4月にカナダ・モントリオールで行われた「2018 IWAS 車いすフェンシングワールドカップ」で銀メダル2、銅メダル3の好成績を残し、波に乗る。アジアパラには同大会で2つの銀メダルを獲得した加納慎太郎(カテゴリーA)、女子の櫻井杏理(カテゴリーB)など国内ランキング上位者が多数出場する。
そのほか、複数メダルのチャンスがあるのが自転車だ。全種目自己ベストを目指す野口佳子(C2)、川本翔大(C2)の活躍は間違いない。
【意気込み教えて!自転車・川本翔大選手】
団体競技が選手団を盛り上げる!
団体競技では、前回大会の決勝で韓国に痛恨の敗北を喫した男子日本代表の金メダル獲得が期待される。8月の車いすバスケットボールの世界選手権では9位と目標のベスト4以上は叶わなかったが、若手とベテランを融合させたリオ後のチームは確実に成長中。世界選手権ベスト4の強豪イランに勝利し、その実力を証明して欲しい。また、女子も前回敗れた中国に雪辱し、東京パラリンピックに向けて弾みをつけたい。
【意気込み教えて! 車いすバスケットボール男子代表・豊島英キャプテン】
シッティングバレーボールは、前回のアジアパラで女子が銅メダルを獲得しているが、最近の戦績では7月の世界選手権(オランダ)で男子が16ヵ国中15位、女子が同じく16ヵ国中10位と世界の壁はまだまだ高い。今大会は強豪もいるアジアを相手に、東京パラリンピックに向け実力を確かめる絶好の機会となりそうだ。
同様に、ゴールボールも6月に行われた「2018IBSAゴールボール世界選手権」で、日本女子が12チーム中5位、日本男子が16チーム中9位と成績は振るわなかった。若手も参加する今大会は、男女ともにメダルを獲得し、ホスト国として出場が決まっている東京パラリンピックに弾みをつけたいところだ。
そして、今大会最も注目なのが車いすテニスだ。男女それぞれの1位には、東京パラリンピックの出場資格が与えられる。優勝候補は現在、男子シングルス世界ランキング1位の国枝慎吾と、女子シングル・ダブルスともに世界ランキング2位の上地結衣。グランドスラムを終え、ともに調子は上向いているといい、決勝のある12日には「東京パラリンピック行き第1号&第2号」が全国ニュースの見出しを飾ることだろう。
パラリンピック競技以外のパラスポーツでは、テンピンボウリングが10人、ローンボウルズが3人の日本代表をジャカルタの地に送り出した。
東京まであと2年。日本代表選手たちのアジアでの躍動が自国開催のパラリンピックの盛り上がりを勢いづける。
text by Asuka Senaga
photo by X-1