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Sports 競技を知る
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【パラスポーツ!これだけは知りたい】陸上競技

陸上競技(パラ陸上)は、走る、跳ぶ、投げるなどで記録を競う競技。トラック種目、フィールド種目、ロード(一般の道路など)で行われる種目があり、種目数も多い。パラリンピックでは視覚障がい、知的障がい、肢体不自由の選手が出場する。義足をはじめ進化し続ける競技用具にも注目。

クラス分け
障がいの種類や程度によりクラス分けが行われる。視覚障がいでは11~14、知的障がいは20、肢体不自由は30~64の間でそれぞれの状態に合わせ分けられている。
走って競う競走種目と跳んで競う跳躍種目はT、投げて競う投てき種目はFで、クラスはこの種目のアルファベットを数字の前につけて表記される。クラス毎に競うことで、選手たちが公平に競技を行うことができるようになっている。
詳しいクラス分けはこちらへ
https://www.parasapo.tokyo/sports/athletics
競技用具
下肢などに障がいのある選手がトラックの短距離からマラソンまで使用する「レーサー」と言われる競技用車いすは、全長が約1.8m、車輪は3つあり、大きな後輪が特徴。フレームはより軽くて丈夫な素材でできている。マラソン種目での下り坂では、なんと時速50km以上出ることも。

トラック種目で選手が付ける義足は、義足と脚をつなぐソケット、膝関節の役割を果たす膝継手、そして地面を蹴る足部からなる。足部は板バネとも言われ、丈夫で軽く弾力性もあるカーボン素材が使われている。

フィールド種目の下肢に障がいのある選手が行う投てきでは、ルールの範囲内で自分用にカスタムしたオリジナルの投てき台を使用することができる。

おさえておきたいルール
パラリンピックで行われるトラック種目は、短距離(100m、200m、400m)、中距離(800m、1500m), 長距離(5000m)およびリレー(4×100m)。フィールド競技は、走り幅跳び、走り高跳び、円盤投げ、砲丸投げ、やり投げ、そして握力がなくやり投げができない選手が行うパラリンピックならではの種目であるこん棒投げ。ロード競技は42.195㎞を走るマラソンが行われる。
視覚障がいのある選手のトラック競技では、クラスがT11(全盲など)とT12(重度弱視)の選手は、走る方向を選手に伝えるガイドランナー(伴走者)と走ることが認められている。ゴールでは必ず選手が前に出てフィニッシュしなければならない。
長距離やマラソンでは、ガイドランナーはレース中1回の交代が可能。パラリンピックでは、1人だけの登録で選手と一緒に走って3位以内に入れば、ガイドランナーにも選手とともにメダルが授与される。

フィールド競技でも、跳躍種目で踏切位置を教えたり、投てき種目で投げる方向を伝える「コーラー」が、視覚障がいのある選手をサポートしている。
ここに注目
42.195kmを走る一般のマラソンの世界記録が2時間00分35秒のところ、「レーサー」を使用する男子T53/54クラスのマラソンの世界記録は、1時間17分42秒だ。
走り幅跳びでは一般の男子の世界記録8.95mに対し、ドイツのマルクス・レーム選手が8.72mを記録している。

視覚障がいのクラスの短距離種目では、選手とガイドランナーの脚の動きがぴったりと合い、横から見るとまるで1人の選手のように見えることも。
競技用具の使用やサポートと共に限界に挑み、時に驚きの記録を出す選手たちの姿に注目したい。
text by Parasapo
illustration by Kazue Shima