ブラインドサッカーの“見えていないのに!?すごい!!”という感動を届けたい!日本ブラインドサッカー協会 高橋めぐみさん

ブラインドサッカーの“見えていないのに!?すごい!!”という感動を届けたい!日本ブラインドサッカー協会 高橋めぐみさん
2019.03.19.TUE 公開

アスリートたちが全力をふりしぼり、想像を超える鳥肌が立つようなスーパープレーを魅せてくれたときの感動はスポーツ観戦の大きな醍醐味のひとつです。そんな魅力にあふれたパラリンピック競技、ブラインドサッカーを競技団体スタッフとして支える高橋めぐみさんを試合会場に訪ねました。

<パラアスリートを支える女性たち Vol.04>
たかはし・めぐみ(26歳) 
NPO法人日本ブラインドサッカー協会 事業戦略部
ブラインドサッカーチーム「free bird mejirodai」代表

視覚に障がいをもつ選手たちがアイマスクをつけ、転がると音の出るボールを追ってピッチを走り、五感を駆使してパスを通したり、ガイド役のナビで迫力あるシュートを決める姿はまさに驚異そのもの。大学時代に日本ブラインドサッカー協会でインターンを経験した高橋さんもその光景を目の当たりにして競技の面白さにハマり、協会への就職を志願しました。現在は事業戦略部として、チケット販売業務から寄付会員を増やす取り組みやSNS運営まで、幅広い業務を担当しています。


会場内のブースの配置も高橋さんの担当。スタッフと相談しながら観客の動線を考えて設置。

見えない選手が見えるキーパーやガイドの協力を受けて行う5人制フットボール

この日、高橋さんは女子日本代表の国際親善試合「さいたま市ノーマライゼーションカップ」が行われる総合体育館に朝8時半に到着。全体ミーティングで流れを確認したら、twitterやInstagram担当のインターンと“どんな情報や画像をあげるか”を打ち合わせ、動画撮影を手伝う学生に指示を出し、物販ブースではボランティアスタッフにレクチャーを行うなど、精力的に任務を遂行。総計1033名も動員したブラインドサッカー女子日本代表vs IBSA世界選抜戦は10-0で見事日本が勝利し、同時開催されていた体験会も盛況のうちに終了しました。

━━初めてブラインドサッカーの試合を見て、衝撃を受けました。最初はピッチにいる選手たちが懸命にボールを追う姿に思わず涙腺がゆるみかけたのですが、次第に“なぜちゃんとパスが通るのか”、“カウンター攻撃できる不思議”のほうに目が離せなくなりました。選手たちの邪魔にならないよう、ゴールが決まるまでは観客が静かに見守るマナーも新鮮でした。

私も、インターン時代に世界選手権の会場で初めて試合を見たときには、自分が関わった大会という達成感もあって、「すごい!」と感動しっぱなしでした。スペイン発祥の競技であるブラインドサッカーには、全盲の選手たちがプレーするためのいくつかの特徴があるんですよ。たとえば、選手たちにボールの位置がわかるように転がるとシャカシャカと音が出る専用のボールを使うことや、ボールをもった相手に向かっていくときには必ず「ボイ!(Voy=スペイン語で「行く!」という意味)」と声を出さなければならないこと。また、敵陣のゴール裏には味方の「ガイド(コーラー)」と呼ばれる、ゴールまでの距離や角度やシュートのタイミングを指示する目の見える協力者がいます。

試合中は、キーパーとゴール裏で待機するガイドが選手たちを声でサポート。

気づけばクラブチームの代表になるほどハマってました

でも、競技の本当の面白さに気づいたのはそれから半年ほどたってからでした。代表選手たちの顔と名前を覚え、ガイドやゴールキーパー、コーチが試合中に選手にかける言葉を理解し、その戦略に沿って選手たちが奮闘する様子を見るうちに一歩深い視点がもてるようになってきたのです。ブラインドサッカーに取りつかれるように好きになってくださるファンの方もおられて、そんなふうに人を強く惹き付けるスポーツであることにも、大きな魅力を感じました。

そうなると次は “さらに深い関わり方をしたい”気持ちが生まれてきました。「ガイドをやりたい」と言い出した私に、インターン時代の同期がブラインドサッカーチームを設立するからと声をかけてくれて、ガイドとして所属することになったんです。少数精鋭の組織なので、試合ではガイドを勤めながら事務や経理も担当しています。今は代表という肩書きもありますが、ほぼそれ以外のミッションが多いですね(笑)。

土日の練習後はたいてい同世代のチームメート5人で、焼き肉かしゃぶしゃぶの食べ放題に行っています(笑)。晴眼のメンバーも視覚障がいのメンバーも、同じ目線でしゃべれるその時間がとても心地よくて。友人経由で連れて来たキーパーがいるんですが、彼はそれまで視覚障がいの人と密に接したことはなかったのが、今では普通に冗談も言い合うように。ブラインドサッカーと出合ったことで、人が少しづつ変わっていく様子を見られることにも深い喜びを感じています。

好きが高じて、プライベートでは中高生中心のブラインドサッカーチームでガイドから事務作業、代表まで兼任中。

ひとりでも多くの人に見てもらうための工夫とアイディア

━━ブラインドサッカーに大きな魅力と可能性を感じながら活動されていることがとてもよく伝わってきました。今、何か課題などはありますか?

もっと多くの方にブラインドサッカーのことを知ってもらいたいですね。一度観戦してくれた方にもう1度来ていただくにはどうすればいいのか。次回、お友達連れで来てもらうにはどんな仕組みがあればいいのか。もっと輪が広がっていくような工夫やアイディアを日々一生懸命考えています。

たとえば、お客さまにとって観戦時間がより楽しめるものになればと、グループ観戦できる「テーブルボックス席」や、選手の足元まで楽しめる迫力満点の「透明フェンス席」を設けています。去年初めて女子の大会を行ったときには、『ハクション大魔王』のアクビちゃんのかわいいグッズを商品開発しました。

物販ブースはお客さまと直接コミュニケーションがとれる貴重な場なので、ちょっとしたことでも会話を広げるように心がけています。「アクビちゃん、かわいいですね」と言われたら、「これ、インターンの子がつくったんですよ!」と話しかけてみる。それがきっかけとなって、その方の娘さんの将来のインターン参加につながることもあるかもしれないですし(笑)。3月19日開幕のブラインドサッカー男子日本代表公式戦の「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2019」でも、会場のどこかでお客さまをお待ちしています。まずはこれを機会に、ブラインドサッカーをぜひ生で体感していただければうれしいです。

オリジナルグッズからコラボグッズ、日本代表応援グッズまでバラエティに富む品揃え。

後編に続く

text by Mayumi Tanihata
photo by Yuki Maita(NOSTY)

NPO法人日本ブラインドサッカー協会
http://www.b-soccer.jp/


 

ブラインドサッカー男子日本代表公式戦
《IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2019》

日程:
2019年3月19(火)〜3月24日(日)
会場:品川区立天王洲公園
*大会公式サイトはこちら

本日より開幕、チケット絶賛発売中!
IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ2019
「みんなで行こうぜ。世界のテッペン。」

(動画提供:日本ブラインドサッカー協会)


ブラインドサッカーについて詳しくはこちら

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