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車いすバスケットボール
ジャンプではなく片輪を上げる !? 車いすバスケットボールが、今大人気の理由とは
2019.05.10.FRI 公開
「車いすバスケットボール」ってどんなスポーツ?
簡単に言うと・・・
①座ったまま、高さ3mのリングへシュート
②プレーは、タイヤが焦げるほど激しくスピーディー
③ルールは、一般のバスケとほぼ同じ
④車いすの片輪を上げて高さを出すプレーもあり
車いすバスケットボールとは、下肢などに障がいのある選手が車いすに乗り、競い合うバスケットボールのこと。パラスポーツ(障がい者スポーツ)の中でも屈指の人気を誇る競技として、ここ日本でも多くのファンから支持されている。その歴史は古く、日本では1964年の東京パラリンピックのときからすでに実施されていた。
人気の秘訣は、試合の面白さだ。
プレーヤーたちは、車いすを自由自在に操り、流麗なパスワークや激しいコンタクト、車いすバスケットボールならではのテクニックを駆使し、スピーディーでアグレッシブな白熱の試合を展開するのだ。
競技用車いすは、タイヤがハの字になっているのが特徴。素材には耐久性のある軽いものが使用され、細かなターンや急発進がしやすい。トップ選手ともなると、全て自分好みにオーダーメイド&カスタムしている。
現在は漫画やドラマの題材になったり、大学でチームが結成されたりと、若い層にも着々とその認知を広め、チームサポーターや追っかけも存在するほどの人気スポーツへと成長している。
一般のバスケットボールと何が違うの?
①ルールなど実は共通項が多い
バスケットボールと車いすバスケットボールだと、随分違いがあるだろうと思いきや、実は共通しているところも多い。ボールやコート、リングの高さをはじめ、主要国際大会では1チーム最大12名構成やコート上には5名が出場など、すべてバスケットボールと同じ。他にも競技時間やボールを保持しているときの時間制限、5回ファールすると退場になるなど、お馴染みのルールとなっている。
つまりは車いすに乗ったまま、3mのリングにシュートを打ったり、ゴールを決めるのは至難の技。プロバスケットボールプレイヤーでも苦戦することを、車いすバスケットボールの選手たちは涼しい顔でやっているのである。
つまりは車いすに乗ったまま、3mのリングにシュートを打ったり、ゴールを決めるのは至難の技。プロバスケットボールプレイヤーでも苦戦することを、車いすバスケットボールの選手たちは涼しい顔でやっているのである。
②クラス分けシステムがチーム編成の大きなカギ
車いすバスケットボールでは、すべての選手をクラス分けし、1.0点~4.5点(障がいが重い~障がいが軽い)まで、障がいの程度によって持ち点がつけられる。
どのようにクラスを決定しているのかというと、ドリブルやパス、シュートやリバウンド、車いすの操作など、実際にプレーを観察し、競技用車いすに乗った状態での身体機能によってクラス分けが行われている。
ゲームでは、コート上の選手の持ち点を常に合計14点以内で編成しなくてはならないので、障がいの重い、軽いに問わず均等にチャンスが与えられる。このチーム編成にも高い戦略性を問われる競技なのだ。
ゲームでは、コート上の選手の持ち点を常に合計14点以内で編成しなくてはならないので、障がいの重い、軽いに問わず均等にチャンスが与えられる。このチーム編成にも高い戦略性を問われる競技なのだ。
③ルールの名称は同じだけど内容は別物
トラヴェリングは、ボールを保持したまま3歩以上歩いてはいけない、というバイオレーション。バスケットボールではスタンダードな反則だが、車いすバスケットボールにも同じ名称のルールが存在する。だけど内容は全くの別物。ボールを持ったままだと、車いすを2プッシュに一回はドリブルをしなくてはならず、3回連続でプッシュするとトラヴェリングの反則を取られる。
一方、一度ドリブル後にボールをキャッチしたら再度ドリブルをしてはいけない、というダブルドリブルは、車いすバスケットボールのルールに適用されていないのも特徴。ドリブルとボールの保持を何度繰り返してもよいことになっている。
ココに注目!観戦が面白くなるポイントは?
車いすを活かしたテクニックに注目せよ
①片輪を上げて高さを出す、高度な「ティルティング」
車いすだとルール上、ジャンプをしてはならないが、それを補うテクニックの1つとして、選手たちが使いこなしている技術が「ティルティング」だ。シュートやリバウンドのタイミングなどで車いすの片輪を上げて高さを出し、激しく熱気を帯びた空中戦を制する。しかしティルティングをやるためには、絶対的なボディバランスが必要。体幹機能が残っている障がいの軽い選手でも、日頃から練習を重ねないとできない高度なテクニックなのだ。スピーディーな試合展開はもちろん、何気ないプレーの中にもティルティングのような技術が見られるので、ワンプレーワンプレーから目が離せない。
車いすだとルール上、ジャンプをしてはならないが、それを補うテクニックの1つとして、選手たちが使いこなしている技術が「ティルティング」だ。シュートやリバウンドのタイミングなどで車いすの片輪を上げて高さを出し、激しく熱気を帯びた空中戦を制する。しかしティルティングをやるためには、絶対的なボディバランスが必要。体幹機能が残っている障がいの軽い選手でも、日頃から練習を重ねないとできない高度なテクニックなのだ。スピーディーな試合展開はもちろん、何気ないプレーの中にもティルティングのような技術が見られるので、ワンプレーワンプレーから目が離せない。
②壁となって勝利を引き寄せるプレー
車いすの幅を利用することで、相手選手の壁となり、自軍の攻撃のチャンスを増やす「スクリーンプレー」。障がいの軽い選手が点を取る役割を担うことがどうしても多くなるが、障がいの重い選手がこの壁の役割を担うことで、味方選手のシュートするスペースを作ったり、相手選手の動きを制限したりと、勝利のための心強いサポートとなるのだ。ボールを持っている選手だけではなく、それ以外の選手のオフザボールの動きに注目してみると、試合がより面白くなるのでお見逃しなく。
③転倒したら自力で起き上がるべし
予想外の接触や難易度の高いプレーでバランスを崩し、試合中に転倒することもしばしば。観戦している側としては、すぐにまわりが助けてくれるだろうと思いきや、レフェリーが笛を吹くまで、その状態のままプレーが続行される。自力で起き上がるのが難しい場合は、選手やスタッフに協力してもらい、起き上がりを助けてもらうことも。さらにはボールを持ったまま転んでしまうと、相手のスローインになってしまう、という不利な面もある。
車いすバスケットボールに注目!
東京2020パラリンピックを控え、車いすバスケットボールの大会の注目度も急上昇。チーム全体を応援するもよし、ひいきの選手を見つけるもよし。胸が熱くなるような試合を期待したい。
Text by Jun Nakazawa(Parasapo Lab)
Photo by Getty Images
参考資料:
『かんたん!車いすバスケットボールガイド』(外部サイト:公益財団法人日本パラスポーツ協会)https://www.parasports.or.jp/about/referenceroom_data/competition-guide_05.pdf
『かんたん!車いすバスケットボールガイド』(外部サイト:公益財団法人日本パラスポーツ協会)https://www.parasports.or.jp/about/referenceroom_data/competition-guide_05.pdf