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「HEROs AWARD 2017」宮本恒靖氏ら社会貢献した4名と2団体を表彰
12 月11 日、「HEROs AWARD 2017」実行委員会は、長年にわたり競技場の外でもスポーツマンシップを発揮しているアスリートや団体を表彰する「HEROs AWARD2017」を都内のホテルで開催した。「HEROs AWARD」は、日本財団が創設したアスリートの社会貢献を促す「HEROs Sportsmanship for the future」(以下、「HEROs」)の活動の3本柱のひとつだ。
今年はタレントの香取慎吾さん、アナウンサーの中井美穂さん、女優で作家の中江友里さんら7人の審査委員が、55の活動のなかから6選手・団体を選び、このなかから最優秀賞として元サッカー日本代表主将の宮本恒靖氏を第1回の「HEROs AWARD of the year」に選出した。
表彰式には「HEROs」のアンバサダーの中田英寿氏、井上康生氏、根木慎志氏(車いすバスケットボール)のほか、佐藤琢磨、村田諒太、上原大祐(パラアイスホッケー)ら現役アスリートも出席した。
「アワードをきっかけにアスリートの社会貢献が広がってほしい」
審査委員会が初開催されたのは今年9月。自薦・他薦、および日本財団の調査を経て、候補に上がった55の活動のなかから、6つの活動を選び出し、選手および団体に「HEROs AWARD」を贈ることを決定した。
審査員のひとり、早稲田大スポーツ科学学術院の間野義之教授は「スポーツの場面以外でスポーツマンシップをどれだけ発揮しているか、社会に影響を与えるか、それが他のアスリートにどれだけ広がっていく可能性があるかという視点で審査した」と選考基準を説明。
さらに、表彰式当日に審議された「HEROs AWARD of the year」に宮本氏を選んだことについては、スポーツの力を信じた行動を行ってきたと高く評価した。宮本氏は、ボスニア・ヘルツェゴビナの民族融和をはかるため、子どものためのスポーツアカデミーを設立する「マリモストプロジェクト」に従事してきた。
間野教授は「どの活動も素晴らしく、受賞者は締め切り1分前に決まった」と振り返る。宮本氏は「素晴らしいプロジェクトがあるなか大変光栄。日頃からスポーツには子どもたちを教育する力、人の気持ちを動かす力があり、その力を伝えることができるアスリートは社会にとって重要な存在だと思っている。今回のアワードをきっかけに、日本中、世界中のアスリートが立場を自覚し、このような活動にどんどん出ていける社会になれば」と感謝の言葉とともに、アスリートの社会貢献が広がっていくことを願った。
障がいのある子どもたちにサーフィンを教える「Ocean’s LOVE」も受賞
宮本氏の「マリモストプロジェクト」ほか、プロ野球・阪神の鳥谷敬内野手、元プロサーファーのアンジェラ・磨紀・バーノン氏、元プロボクサーの坂本博之氏、福島ユナイテッドFC、世界ゆるスポーツ協会も「HEROs AWARD2017 」に輝いた。
これらの活動のうち、障がい者に対し活動を行ってきたのは、「Ocean’s Love」を主宰するバーノン氏だ。障がいのある兄がいるバーノン氏は、「大人になったら障がい者に優しい社会をつくりたいと思っていた」という。
その思いがかたちになったのは2005年。「Ocean’s Love」を立ち上げ、障がいのある子どもたちへのサーフィンスクールをスタートさせた。
「サーフィンはなかなかできないスポーツだけど、できたときの達成感が大きい。その達成感が子どもたちに自信を与え、他の新しいことにチャレンジする自信にもつながる。いいことが次から次に起こるのがこの活動の素敵なところです」と話す。
「Ocean’s Love」の活動により、この13年間で約2000人の子どもたちがサーフィンを体験。ボランティアの理解力も深まり、バーノン氏は、「周囲の愛情に触れ合うことができた幸せな13年間でした」と振り返った。
また、世界ゆるスポーツ協会は、「足が遅くてもいい。背が低くてもいい。障がいがあっても大丈夫。あなたのスポーツが、必ず見つかります」をコンセプトに、新しいスポーツ”ゆるスポーツ”を提案してきた団体だ。
代表理事の澤田智洋氏が「この活動を世界に広げていきたい」と話すと、プレゼンターの香取慎吾さんは「背筋ピーンは大事。でもゆる~く何かを始めることも僕は大好き。なので誰でもできるゆるスポーツは最高です。最近、僕は全然踊らなくなったので(笑)、すごい運動不足。ゆるスポーツから始めたいと思います」と言って会場を笑わせた。
中田英寿氏「アワードをきっかけに多くの人とのつながりが増えるはず」
なお、「HEROs」発足のきっかけづくりをした元サッカー日本代表の中田英寿氏は、第1回の授賞式を終えて「実は同じサッカー選手でありながら、宮本がこういう活動をしていることを知らなかった。あらためて社会貢献に関し、シェアしていないことに気づいた」と打ち明けている。
もともと「HEROs」は多くのアスリートが社会貢献に取り組んでいながら、その活動は個々に留まっている現状を変え、個々がつながれたらもっと大きいことができるのに、という中田氏の思いからスタートしている。
それだけに中田氏は「AWARDによって、いろいろな社会貢献のかたちを多くのアスリートが知るはず。HEROsの活動が多くの人たちがつながるプラットフォームになれば」と話し、プロジェクトの発展に寄与していくことを誓った。
HEROs AWARD 2017受賞者・チーム
「HEROs AWARD of the year」受賞
■宮本恒靖「マリモスト~小さな橋~」
ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタル市に子ども対象のスポーツアカデミーを作るなど、スポーツを通じた民族融和活動に従事
「HEROs AWARD」受賞
■鳥谷敬「RED BIRD PROJECT」
フィリピンで貧困層の子どもたちに靴や文房具を届け、新たな生活を促進する活動に従事
■アンジェラ・磨紀・バーノン「Ocean’s LOVE」
障がいを持つ子供たちにサーフィンを通してのノーマリゼーション活動を推進
■坂本博之「こころの青空基金」
全国の児童養護施設で生活する子どもたちを支援する活動を推進
■福島ユナイテッドFC「ふくしマルシェ」
福島の食材をアウェーのスタジアムで販売するなど、風評被害をなくす活動を推進
■世界ゆるスポーツ協会「ゆるスポーツ」
スポーツ弱者をなくすため、新たなスポーツを開発し、スポーツとは無関係だった人々へ気づきを与える活動を推進
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text&photo by Parasapo
photo by HEROs