金メダルまであと2つ! 車いすラグビー日本代表が宿敵に勝利してグループ首位通過!

金メダルまであと2つ! 車いすラグビー日本代表が宿敵に勝利してグループ首位通過!
2021.08.28.SAT 公開

車いすラグビーはグループリーグが終わり、日本代表は1位で準決勝に駒を進めた。グループリーグ3戦目の相手はオーストラリア。日本代表は2018年の世界選手権の決勝や2019 IWRF 車いすラグビーアジア・オセアニア選手権大会の予選でオーストラリアに勝利しているものの、車いすラグビーワールドチャレンジ2019ではオーストラリアに敗れている。リオ2016パラリンピックで敗れた宿敵にパラリンピックの舞台で土をつけたことは、準決勝以降の戦いに自信をつけるものとなったに違いない。

重要な初戦を勝利し3戦全勝!

オーストラリアのライリー・バットと競う池崎大輔(右) photo by Getty Images Sport

グループリーグ最終戦。大会前にケビン・オアーHCは「オーストラリア戦はあくまでもメダルゲームを見据えた戦いをする」と話していた。しかし、日本代表は、オーストラリアに敗れ2位通過となった場合、準決勝で世界ランキング1位のアメリカと戦う可能性が高い。何としても1位でグループリーグを通過したい日本代表にとって重要なポイントとなる試合になった。

最初にコートに入ったのは、池透暢池崎大輔若山英史今井友明<3.0-3.0-1.0-1.0>のハイローライン。対するオーストラリアは、エースであるライリー・バット(3.5)と、2.0のミッドポインターを2名と0.5のローポインターという<3.5-2.0-2.0-0.5>のラインを組んだ。

両チームとも、キーエリアでの攻防を見せたが、日本は強化してきたキーディフェンスの連携もハマるなど、オーストラリアの動きを自由にさせない場面が多く見られた。ラインを頻繁に変えてくるオーストラリアに対しては、日本も得意とするラインナップの豊富さで対応し、“12人の誰が出ても強い日本代表”を証明して見せた。

日本はミスのない、いい立ち上がりだったが、得点を取り合う試合展開が続き、高いレベルの試合の出だしとなった。

試合が動いたのは第2ピリオド。交代で入った乗松聖矢(1.5)が池に向け投げたインバウンドのボールをバットがスティールし、オーストラリアの連続トライ。ただ、中盤に入り、池が激しいマークを受けるなか、パラリンピック初出場の小川仁士(1.0)をはじめとするローポインターがオーストラリアの得点源を封じ込める活躍もあり、このピリオド、日本が2点リードで折り返した。その後、さらにリードを広げ、57対53で日本が勝利をつかんだ。

金メダルに近づくために

ただ、金メダルを狙う日本の本当の戦いはこれからだ。試合の序盤、乗松から池に対するインバウンドの距離が相手のプレッシャーにより短くなり、ライリーにスティールされ連続得点を許す場面があった。これに対し、「池選手のボールへのプレッシャーが以前より強くなっていると感じた。それにアジャストできず、ミスが続いてしまった。インバウンドの距離も短くなってしまった。プレスに対して気持ちで負けないようにしたい」と乗松。次戦への反省点を残した。

喜びよりも反省点を口にした乗松聖矢 photo by Getty Images Sport

もちろん反省点だけではない。「チームはこの大会を通じて成長している」と池崎は言う。オアーHCは「ゲームプラン通りの戦いができた。HCに就任してから強化してきたキーディフェンスが効いていたと思う。キーディフェンスは高いレベルの試合で必要になってくると思う」と語気を強めた。

オアーHCは「落ち着いて自分のすべき仕事をする」と倉橋香衣(0.5F)を称えた photo by AFLO SPORT

控えのメンバーが大声でコートの選手たちに呼びかける姿も印象的だった。こういったベンチワークも勝り、リズムよくメンバーチェンジをし、コートに送り出された選手もHCの期待に応える活躍ができたことにつながった。誰がコートに立っても、リオの金メダルチームに劣らないのが日本のチームの強みだ。

金メダルまであと2試合。日本代表は試合の中で成長を続け、より強いエネルギーを放つ集団になる。

※カッコ内はクラス。車いすラグビーでは、障がいの種類やレベルによって選手にポイント(持ち点)が与えられており、コート内でプレーする4選手の合計は8点以内でなければならない。しかし、女子選手がプレーする場合は、0.5点を追加で付与されるため、合計8.5点まで認められるルールがある。

text by TEAM A
Key visual by AFLO SPORT

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