車いすカーリングで中国が優勝、不出場日本選手も北京出場へ決意固める/平昌パラリンピック

車いすカーリングで中国が優勝、不出場日本選手も北京出場へ決意固める/平昌パラリンピック
2018.03.24.SAT 公開

2022年の冬季パラリンピック開催国・中国が、延長戦を制した。17日に行われた車いすカーリング決勝は、中国が6-5でノルウェーに勝利し、初めての金メダルを獲得した。

接戦を制した中国

試合は、中国がリードするもノルウェーが逆転する展開が続く。そして、中国1点リードの第8エンドも、ノルウェーが1点を取り返し、延長戦に持ち込んだ。迎えた第9エンドは、ハウスの手前に両チームのストーンが集まったが、その状態で、よりハウスの中心に近づけた中国・サードのCHEN Jianxinの投球が試合を決める得点になった。試合終了の瞬間、スキップのWANG Haitaoが雄たけびを響かせ、観客に中国の勝利を知らせた。

今大会は、4年前と比べ、長さのあるデリバリースティックを用いる国が多く、ストーンのスピード(ウエイト)が速くなった印象だ。そのスティックをいち早く導入したといわれる中国が前回4位からトップに駆け上がり、次回の北京冬季パラリンピックに向けて弾みをつけた。
※車いすユーザーが低い姿勢からストーンを投げられるように開発された専用スティックのこと。

前回4位だった中国が金メダルを獲得した © Getty Images Sport

3位決定戦はトリノ、バンクーバー、ソチの3大会で金メダルだったカナダが、地元・韓国に5-3で勝利し、意地を見せた。

不出場の日本選手らも観戦

平昌パラリンピックには12チームが出場したが、日本は(参加資格を決める)パラリンピックランキングに大きく影響する世界選手権大会に出場できず、ソチパラリンピックに続き、本大会に出場できなかった。再起を誓い、すでに4年後の北京に向かって始動している日本の選手や関係者も、平昌の会場を訪れていた。

今大会はベスト4にアジア勢が2ヵ国入る躍進ぶりだったが、日本も負けてはいられない。日本車いすカーリング協会・視察班のひとり、高橋正樹さんは北海道の「旭川キュー斗」のプレーヤーでもある。優勝した中国や4位だった韓国の試合を見て「テイク(ストーンを弾くこと)中心の展開が多かった。ドロー(ハウスの中にストーンを止めて入れること)で点を取っていくスタイルの日本も充分戦えるのでは」と自信を口にする。同時に「この舞台に日本がいない悔しさも感じる」と、会場に掲げられた出場国の旗をしげしげと見つめながら語った。

チームメートとともに観戦で訪れた小川亜希・バンクーバーパラリンピック日本代表は、埼玉を拠点とする「ease 埼玉チェア」で再び、パラリンピック代表の座を目指す。

決勝を観戦しながら、「両チームとも、予選から連日の試合で疲れがあるのにショットが正確。また、久々にヨーロッパの選手に会い、鍛え上げた上半身や安定した投球を行う体の使い方を見て刺激を受けた」と言い、この特別な舞台への思いを再確認したようだ。
(注:車いすカーリングは、オリンピックのカーリングのようなスウィープがなく、氷の状態を読む力とドローの精度がより勝敗に影響する。>>車いすカーリング競技紹介

パラリンピックに出場したい
気持ちが高まったという高橋 ©X-1
バンクーバーパラリンピック
日本代表の小川も観戦 ©X-1

オリンピックチームの追い風を力に

日本は現在、世界ランキング15位。国内では4月に日本選手権が行われ、その結果を受けて世界選手権B大会への派遣選手が決まる。北京冬季パラリンピックに出場するためにはB大会で3位以上の位置につけ、世界選手権本大会へ出場することが最も近道になる。国内では、練習のための施設不足や年に1~2回しか公式戦がないなどの課題も多いが、平昌パラリンピックに出場できなかった悔しさをバネに勝ち抜いてほしい。

オリンピックチームからの追い風もある。日本車いすカーリング協会事務局によれば、先に行われた平昌オリンピックでカーリング女子日本代表が銅メダルを獲得し、車いすカーリングへの問い合わせも急増しているという。「車いすの選手が健常者の大会に出ることはもちろん、健常者の愛好家が車いすの交流大会に出場する例も増えている」と高橋さん。もともと一般のカーリングと車いすの垣根は低く、オリンピックの活躍による話題性で車いすカーリングの競技人口の増加も期待される。普及が進めば、トップを目指す選手層も厚くなり、強化もさらに加速するだろう。

4年後の北京では、車いすでストーンをデリバリーする日本代表の勇姿を見たい。

text by Asuka Senaga

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