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[別府大分毎日マラソン視覚障がいの部] 男子は岡村、女子は近藤がリオの推薦順位2位に!
第65回別府大分毎日マラソンが2月7日、大分市高崎山・うみたまご前から大分市営陸上競技場までの42.195kmのコースで行われた。同マラソンはリオパラリンピック視覚障がい者マラソン代表選手の最終選考会を兼ねており、国際パラリンピック委員会(IP C)登録視覚障害者の部に男子13人、女子6人が挑んだ。
男子は2012年ロンドンパラリンピックのマラソンで4位に入るなど経験豊富な岡村正広 (RUNWEB)が2時間27分24秒で制し、日本盲人マラソン協会(JBMA)が定めた選考規定により、リオの代表推薦順位2位に決定した。
※岡村の障がいクラスはT12(弱視)で、伴走はつけず単独で競技する。
岡村は序盤から視覚障がい者の部でトップに立つと、安定したラップを刻み、終盤も粘りの走りを続け、両手を突き上げてフィニッシュ。総合では37位で、自身2度目となるパラリンピック代表の座をぐっと引き寄せた。
「前半から今の力で突っ込み、後半もなんとか粘り通し、いい記録で走れて満足している。自信を持ってリオへ行きたい」と話した。
和田がT11クラスの日本記録を更新!
2位に入ったのは、同じくロンドンでマラソン5位、5000m銅メダルを獲得した和田伸也(JBMA)で、マークした2時間33分46秒は、自身が持つT11(全盲)クラスの日本記録を約2分更新する快走だった。伴走者と競技する和田はこの日、前半を行場竹彦さん、後半を中田崇志さんと走った。
和田は終盤まで、前を行く熊谷豊(AC・KITA)から少し離され、3位につけていたが、36km過ぎから見えないライバルを追って徐々にペースアップ。39km地点手前の沿道で観戦していた妻、美企子さんからの、「(熊谷と)1分差!」の声に、ギアをさら にアップ。41km過ぎで熊谷をとらえると、一気に勝負をかけて20秒差で振り切った 。この結果、推薦順位3位となり、2大会連続のパラリンピック出場へ一歩前進した。
「伴走者2人と話していたイメージ通りのレースができた。今日は最後まで体が動いた 。日本新記録も嬉しい。練習の伴走でお世話になっている大阪や京都の多くの市民ランナーとともにリオでも一緒に戦いたい」と笑顔を見せた。
後半の伴走を務めた中田さんは、「前半の伴走者はペースを守り、後半の私がペースをつくるという、“チーム力”が発揮できたレース。チーム力が強みであり、一緒に走っていて楽しかった」と強調した。
なお、昨年開催されたIPCマラソン世界選手権銅メダル獲得により、男子推薦順位1 位に決定している、堀越信司(NTT西日本)は右太もも裏の痛みのため、20km地点で途中棄権した。堀越は1月中旬、同じく右太もも裏を故障していた。
女子は、近藤、西島がリオへ前進
一方、リオで初めてパラリンピック正式種目となる女子は、堀越と同様に推薦順位1位 に決定している道下美里(JBMA)が3時間3分42秒で優勝した。今大会では、ロシア選手が持つ世界記録(2時間58分23秒)の更新を狙い、前半は快調なペースだったが、後半に失速して新記録誕生はならなかった。道下はT12クラスで、前半は青山由佳さんが、後半は堀内規生さんが伴走した。
「2時間55分台を目指していたが、結果を残せず残念」とフィニッシュ直後は悔し涙を見せた道下。昨年からタイム短縮のため、ピッチ走法からストライド走法へとフォーム改良に取り組んでいるが、「ストライドを維持できなかったことが失速の原因かもしれない。体幹トレーニングなど、リオに向けての課題にしたい」と前を向いた。
2位には、自己記録を3分以上縮める2時間18分05秒でフィニッシュした、近藤寛子(JBMA)が入った。T12クラスの近藤は、前半を日野未奈子さん、後半を川嶋久一さんと走った。
縁あって昨年9月から週2日、立命館大学陸上競技部での練習にも参加している近藤。 自己ベストの快走は、「集中して練習に取り組んできた結果。立命館大学でのポイント練習が大きな力になった。後半きつかったが、『リオを見よう』と思って走り続けた」と振り返った。
3位には藤井由美子(びわこタイマーズ)が3時間24分06秒で入ったが、1分28秒差の4位だった西島美保子(JBMA)が過去3つの選考レースの結果なども含めた選考基準により、推薦順位3位となった。レース終了後、JBMAの原田清生常務理事が、リオパラリンピック推薦順位の選考結果と選考基準などについて発表した。上述の通り、 男女各3人ずつの代表推薦者と順位が決定したが、現時点では日本の派遣枠(代表数) が未定のため、最終的な代表決定は6月末頃になる見込みという。
※JBMAの選考基準……代表推薦枠は男女各3人。参加標準記録(男子2時間42分、女子3時27分)をクリアすること。選考レースであるIPCマラソン世界選手権(2015年4月)、または第65回別府 大分毎日マラソン(2016年2月)に出場すること。
(注:堀越と道下が、IPCマラソン世界選手権で銅メダルを獲得するなど上記条件を満たし、すでに推薦順位1位に決定している。)
つづく推薦順位2位は、同1位を除く、別大マラソンの日本人最上位で、参加標準記録を突破した選手で、同3位は、準選考レース(北海道マラソン=2015年8月、防府読売マラソン=2015年12月)を含む上記4レースの結果から参加標準記録を突破した順位及び記録上位の者からポイントを付与し、その累計ポイントの最上位者とする。
text by Kyoko Hoshino
photo by AFLO SPORT