静岡県富士市で3/6(日)に開催! 一発勝負で決まる[リオ代表選考戦]の見どころ

静岡県富士市で3/6(日)に開催! 一発勝負で決まる[リオ代表選考戦]の見どころ
2016.03.04.FRI 公開

リオパラリンピック開幕まで200日を切り、国内の代表争いも佳境に入ってきた。競泳陣にとっては今週末3月6日(日)に静岡県富士水泳場で開催される「平成27年度春季静岡水泳記録会」がリオ派遣選手の最後の選考大会となる。

同記録会には204人の選手(男子143人、女子61人)がエントリーしており、日本身体障がい者水泳連盟(JPSF)が昨年末に発表した派遣選考条件を満たした選手は、「リオ代表候補推薦選手(*)」となる。この重要な記録会を前に、同連盟技術委員の桜井誠一常務理事が選考基準や有力選手の現状などについて説明した。

*パラリンピック代表選手は各競技団体が「代表候補推薦選手」を日本パラリンピック委員会(JPC)に推薦し、書類選考と健康診断を経てJPCが最終的に「代表選手」を決定する。正式発表は6月から7月頃になる見込み。

すでに内定しているのは、視覚障がいの木村ただ一人

日本のリオ大会出場資格枠は、国際パラリンンピック委員会(IPC)より、男子12、女子7の19枠が配分されている。うち男子1枠はすでに2015年の世界選手権(イギリス)で金メダルを獲得した木村敬一(視覚障がい)が内定しており、男子は残り11枠を今大会で争う。女子の内定者はまだいない。

推薦選手の選考条件は、まずIPCが設定したリオ大会最低選考基準記録(MQS)を突破し、かつJPSF設定の派遣標準記録を突破すれば自動的に「推薦内定」となる。派遣標準は世界選手権5位相当の記録をもとに設定されていてMQSよりも高い。今記録会で派遣標準突破選手が少なく出場枠が埋まらない場合、記録会終了後に開かれる選考委員会でMQS突破者を対象に記録会の記録とIPC世界ランキング3位(1月末時点)の記録との乖離率と、「リオで3位以内」という期待値などを検討して最終決定されるという。

日本身体障がい者水泳連盟の桜井理事
日本身体障がい者水泳連盟の桜井理事

つまり、記録会の結果がすべてであり、桜井理事によれば、「こうした一発勝負的な選考形式は初めて。選考の分かりやすさに加え、リオ大会を見据え、『本番にコンディションを合わせられる力』も重視した」からだ。

さらに、リオでは「入賞でなく、メダルを期待できる選手にもこだわる」という。ひとくちに「入賞」と言っても、パラリンピックの場合、一般に軽度障がいクラスは3位から8位までの記録が拮抗しているものの、重度クラスではかなりの乖離があり、クラスによって派遣レベルに差が出てしまうからだという。

これまでになく厳しい選考基準としたのは、2020年東京パラリンピック決定以降、オリンピックとパラリンピックが並列視され、国立科学スポーツセンター(JISS)の施設利用などパラ選手の競技環境が以前より好転している分、選手側にもより高い意識を求めるからだと桜井理事は説明する。

50m自由形の山田、ロンドンパラ金メダリストの田中に注目

現時点ですでに、男子19人、女子11人が1種目以上でMQSを突破している。なかでも注目度の高い選手は、山田拓朗(機能障がいなど)だ。世界ランキング7位ながら記録は3位と拮抗している50m自由形などでメダルの期待が高い。生れつき左ひじから先がない山田には飛び込み後、水抵抗を減らすストリームラインを取ることが難しく、浮き上がりが遅いという弱点があったが、現在、オリンピック選手も指導する高城直樹コーチに師事し、水中姿勢を見直し、弱点克服の効果が見られるという。

また、ただ一人推薦内定を得てリオで悲願の金メダルを目指す木村は、特にこだわる100m自由形で1分切りの自己新達成が期待される。

知的障がいクラスもロンドンパラリンピック100m平泳ぎ金メダリストの田中康大を筆頭に、成長著しい東海林大や中島啓智らの活躍が楽しみだ。桜井理事は、「一般に知的障がいの選手は調子の波が大きく予測が付きにくいが、(リオを見据え)本番当日にどの程度体調を合わせられるかにも注目したい」と期待する。

「逆転もありうる」女子の選考も見逃せない

一方、女子は、11人のMQS突破選手以外にも、MQSに近い持ちタイムの選手が複数いる。6日の記録会でMQSを切れば選考対象となるため、限られた出場枠をめぐり、「逆転もありうる」と桜井理事は話す。

6日の記録会は、「一発勝負」の厳しい戦いとなり、選手には、大きな緊張感のなかで実力を発揮する高い集中力と強い精神力が求められる。それだけに、見ごたえのある大会となるはずだ。

なお、桜井理事のブリーフィングは2月末、電通PR主催のメディアフォーラムで行われた。同フォーラムはパラスポーツ発展のために情報共有や取材環境整備などを主な目的に、メディアを対象にして月1回程度開催されているシリーズで、今回は8回目だった。

text by Kyoko Hoshino
photo by by Parasapo,X-1

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