超・超・超かたい体が柔らかくなる30秒ストレッチを登録者数111万人の人気YouTuber理学療法士が伝授!
コロナ禍の運動不足を解消しようと、フィットネス系のYouTubeチャンネルが人気だ。中でも、骨格と筋肉の構造を熟知した理学療法士であるストレッチ系YouTuberオガトレ氏は、簡単でわかりやすく、誰でもすぐに始められることから、その内容が書籍化されるなど、話題となっている。そんなオガトレ氏に、体が柔らかくなることのメリットや、オススメの柔軟体操とそのコツを教えてもらった。
なぜ体は柔らかいほうがいいのか?
ちまたにはストレッチの書籍や、ウェブ記事など、体を柔らかくすることを目的としたコンテンツがあふれている。しかし、そもそもなぜ体は柔らかくしたほうがいいのか? それには大きく3つの理由があるとオガトレ氏は考えている。
(1)慢性的な痛みや、体の故障を予防できる
(2)姿勢がよくなる
(3)痩せやすい体になる
体が柔らかくなるだけで、どうして姿勢がよくなったり、痩せやすくなったりするのか、3つのメリットについてオガトレ氏はこう説明する。
「人間の体にたくさんある関節は筋肉や骨を通して連動している部分が多いんですね。たとえば肩回りの動きが悪くなる四十肩や五十肩の方は、手を上げるときに体をのけぞらせるような動きになります。そうすると連動して腰に負担がかかる。腰痛の方は腰の上にある肩甲骨や肩周りが硬かったり、あるいは腰の下の股関節周りの筋肉が硬かったりして、腰に負担がかかっているケースが非常に多いんです。でも全身を柔らかくすることで、痛みを分散させたり、腰痛や膝痛などの故障の予防をしたりできます。
筋肉の柔軟性が落ちたり、筋力が少なかったりすると、猫背や反り腰などの不良姿勢になると言われています。姿勢がよくなると好きな服を格好よく着られるなどの見た目のメリットもありますが、生産性や集中力のアップにも影響すると思います。
3つ目の痩せやすくなるというのは、体が柔らかくなったから痩せるということではありません。体が柔らかくなると、可動域が広がり、体を動かしやすくなるので、日常の活動量が増える。結果として基礎代謝と活動代謝が上がって痩せやすい体になるということです」(オガトレ氏 以下同)
体が硬い人と柔らかい人がいるのはなぜ?
体を柔らかくすることには、さまざまなメリットがあるとはいえ「体質的に体が硬いので、柔らかくならない」と諦めている人も多いのではないだろうか。しかしオガトレ氏によると、最初から体が硬い人はいないのだそうだ。
「体が硬くなるのは2つのパターンがあると思います。1つは日常的に体を動かす必要がない生活をしているため、体が自然に硬くなってしまうパターン。運動量が少ないということですね。もう1つは、動くのが上手ではない人。たとえば、スポーツが苦手だという人は、スポーツをする時に緊張や自信のなさから、体に無駄な力が入ってしまって、うまく動かすことができない。それでますます苦手意識が生まれて、運動をしなくなる。結果として体の可動域がどんどん狭くなって体が硬くなる。その2つのパターンが考えられます」
しかし、どちらの場合も後天的な理由なので、大きなケガや病気がなく、正しいやり方で動かしさえすれば、40代以降でも体を柔らかくすることは可能だとオガトレ氏は太鼓判を押す。特に60代以降になって体が硬いとケガなどの原因にもなるので、ぜひとも正しい方法を知って、体を柔らかくしておきたいものだ。
体を柔らかくする簡単ストレッチ 準備編
ストレッチで体を柔らかくするには、ある程度の期間続ける必要がある。これからご紹介するストレッチの場合も、効果を実感できるには2週間ほどかかるそうだ。この間、挫折せずに継続するには、以下のルールを守ってほしいという。
(1)ストレッチはお風呂あがり(夜)、または就寝前に行う
(2)ストレッチは「イタキモチイイ」でやめておく
「お風呂上がりは、体が温まっている上に、昼間に水や食事を摂っていて体の中に水分がたくさんあるので、筋肉が伸びやすい状態になっています。ですからケガをしづらく安全で、効果も出やすいんですね。ですから、夜、特にお風呂上がりにするというタイミングを守っていただきたい。
あとは、ストレッチの強度ですが、痛いくらい強くやったほうが効果があると思っている方が多いんですが、そうではありません。痛いと気持ちいいの間、どちらかというと気持ちいい寄りの強度で、1つの筋肉に対して30秒間、呼吸をとめないようにして伸ばすというのが、最大の効果を得られる基本です」
そしてもう一つ、ストレッチの前に、自分の体の現状を知っておくというのもポイント。それを知る簡単な方法を教えてもらった。
「一番簡単な方法が立位体前屈。肩幅程度に足を開いた状態で立ち、そのまま膝を真っ直ぐ伸ばした状態で床に手をつく。その時に手の平がべったり床につくのが理想で、つかない人は、これをひとつの目標にするといいと思います」
体を柔らかくする簡単ストレッチ 実践編
さて、準備が整ったところで、いよいよストレッチ、実践編だ。オガトレ氏がおすすめしてくれたのは自身のYouTubeチャンネルで紹介している9分間のストレッチ「最高の夜専用ストレッチ」。体の1つのパーツにつき1回30秒。全部で8箇所のストレッチが行える。その中身をご紹介しよう。
1.広背筋:肩凝り・背中痛の解消&予防
床に膝をついて座った姿勢から体を前に倒し、片方の肘を床につく。反対の手を床についた肘の延長線上に置く。腕を伸ばした側のワキを床に近づけて、そのまま30秒キープ。同じように反対側も30秒間行う。
2.おしり(大殿筋):ひざ痛・腰痛の解消&予防
四つん這いの姿勢から、片足を前に出して外側に倒し(片足だけあぐらをかくようなポーズ)、反対の足は後ろに引く。両肘を床につき、この姿勢を30秒キープ。このとき、足を前に出している方のお尻が伸びているのを感じる。同じように反対側も30秒間行う。
3.おしり(梨状筋)腰痛・座骨神経痛の解消&予防
四つん這いの姿勢から、片膝を体の真ん中について、反対の足を斜め後ろにクロスして伸ばす。そのままの姿勢を30秒キープ。この時、膝をついた方のお尻が伸びていることを意識する。同じように反対側も30秒間行う。
4.内もも(内転筋):むくみ・冷えの解消&予防
四つん這いの姿勢から、両膝を離して腰を落とす。そのまま両肘を体の前について、お尻を後ろに突き出すようにする。そのままの姿勢を30秒間キープ。両足の内ももが伸びているのを意識。きついときは肘をつかなくてもOK。同じように反対側も30秒間行う。
5.前もも(腸腰筋)便秘・腰痛の解消&予防
床に座った状態から片足を前に出し、太ももの上に両手を置く。胸を張って前に体重をかける。そのままの姿勢を30秒間キープする。この時、後ろに足を伸ばした方の股関節(腸腰筋)が伸びるのを意識する。同じように反対側も30秒間行う。
6.もも裏(ハムストリングス)Level 1:脚全体の疲労軽減、腰痛の解消&予防
膝立ちから、片足を前に伸ばしてかかとをつき、伸ばした脚の太ももの上に両手を置く。股関節から折り曲げるように上体を前傾させる。その際、前に伸ばした脚の太もも裏(ハムストリングス)が伸びるのを意識する。つらい場合は、伸ばした脚の膝を曲げてもOK。同じように反対側も30秒間行う。
7.もも裏(ハムストリングス)Level 2:脚全体の疲労軽減、腰痛の解消&予防
肩幅に脚を開いて立ち、膝を軽く曲げて両手でがっちりを太ももを掴む。頭を下げてお尻を上げ、そのままの姿勢を30秒間キープ。この時、両脚のもも裏(ハムストリングス)が伸びるのを意識する。
8.肩甲骨(僧帽筋上部):肩こり・首こりの解消&予防
あぐら、または正座をして床に座る。片方の手の甲を腰に当て、もう一方の手は頭の上を通るようにして、反対側の耳の上に当てる。頭を倒したら、その姿勢を30秒間キープ。倒した方向と反対側の首が伸びているのを意識する。同じように反対側も30秒間行う。
以上のストレッチを2週間続けると、体が柔らかくなっているのを実感できるそうだ。もっと詳しく動きを知りたい方はYouTubeの動画(https://www.youtube.com/watch?v=NrJIhK_gOXc)を見てほしい。オガトレ氏の地元仙台の水族館で撮影された動画は、見ているだけでもリラックスできる。
今回ご紹介したストレッチは、ゆったりとしたほどよい動きのため、副交感神経が優位になるという。副交感神経は、夜間やリラックスしている際に優位になる神経なので、寝る前に行うのにぴったりだ。何かを毎日続けるというのは難しいが、このストレッチをルーティンにして、これをやらないと眠れないとなればしめたもの。健康でしなやかな体と快眠を手に入れるため、さっそく始めてみてはいかがだろうか。
text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
写真:本人提供、Shutterstock
PROFILE オガトレ
理学療法士として病院勤務やトレーナー活動を経て、YouTuberになる。「体が硬くて困っている人をこの世から無くしたい!」の一心で、ストレッチを楽しくわかりやすく伝えるため、YouTubeで動画を日々配信中。また、「10年後のじぶんを大切にしよう」をテーマに、ストレッチに合う国産商品や、体をサポートする栄養補助食品(プロテイン商品)を開発。世界中の人が、ご自愛ができるように、ご自愛できる人が増えますようにという願いを込めた「Gi by OGATORE(ジーアイ)」ブランドの名で販売中。
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UC-a9wiNTKiLIRLTyIRdNbMg