【Go for Paris 2024】編集部イチ押し! パラスポーツ界の新星たち vol.2
東京2020パラリンピック閉幕から1年半が経ち、パラスポーツ界も変化。各競技では若手が台頭し、新たなヒロイン&ヒーロー候補も誕生している。ここでは、パラサポWEB編集部が取材現場で見つけたパリ2024パラリンピックを目指す「新星」を紹介したい。
▽第1弾はこちら
【Go for Paris 2024】編集部イチ押し! パラスポーツ界の新星たち
【アーチェリー】髙田悠斗 オリンピアンとの練習で急成長
国内最高峰の大会の一つ、JPAF杯に初出場を果たした髙田悠斗(たかだ・ゆうと)は、現在北海道科学大学の3年生。中学・高校時代は弓道に親しみ、全国大会に出場するほどの腕前だったが、高校2年生のときに地元のアーチャーに声をかけられ、アーチェリーを始めた。しばらく和弓と洋弓の二刀流を続けていたが、国際的な舞台へのあこがれもあり、アーチェリー一本に絞った。
そんな髙田の夢を強力に前に進める出来事が起こる。東京2020オリンピック女子日本代表の岸塚(旧姓:中村)美樹選手が2022年4月から、北海道苫小牧市に拠点を移したのだ。
「いつも僕が使っている練習場で練習されるとわかって、声をかけさせていただきました」
以来、一緒に練習をするようになり、アドバイスももらっている。
2022年度の国内ランキングでは592点で3位を記録し、リカーブ男子オープンのA強化基準点である605点にすぐ手が届くところまでになった。その美しい姿勢で素直に弓を引く姿をパラリンピックで見られる日が来ることを楽しみに待ちたい。
【柔道】兼田友博 競技転向から黒帯取得!
昨年9月に「第37回全日本視覚障害者柔道大会」で選手宣誓を行った兼田友博(かねた・ともひろ)は、本格的に柔道を始めてまだ約2年。パリパラリンピックを見据え、ゴールボールから柔道に競技転向した。コツコツと稽古に取り組み、2022年に黒帯(初段)を取得。目標に向かって邁進している。
全日本では男子60㎏以下級でライバルの阿部一輝に一本負け。悔しさをにじませたが、同大会で3位になり、パラリンピアンの廣瀬誠らとともに表彰台に上がった。
「ライバルに勝ち、さらにレジェンドたちに勝てるようにならないとパリはないので……」
同じ階級の選手と比べ175㎝と背の高さを武器にできる兼田は、「内股などの足技を鍛えて、長身を活かした戦いをしたい」とアピールする。
現在31歳。大会後、強化指定選手になった兼田は、拠点とする青森から世界を目指す。今後、世界を相手に戦い、たくましく変貌していく姿にぜひ注目したい。
【水泳】木下あいら 初の国際舞台で自己ベストをマーク
昨年9月の「2022ジャパンパラ水泳競技大会」で最も多く報道陣の注目を浴びていたのが16歳の木下あいら(きのした・あいら)。
日本代表の監督も務める日本知的障害者水泳連盟の谷口裕美子専務理事から「マルチに活躍できる」と太鼓判も押されており、現在、知的障がい者クラスで6つの日本記録を保持するパリ2024パラリンピックメダル候補だ。
姉はパラ陸上選手の木下麻奈美(T38)。2歳から水泳を始め、現在は四條畷学園高等学校水泳部に所属。母親のすすめでJ-STARプロジェクトに応募し、未来のパラリンピアンを目指し練習に励んでいる。
「得意な種目は自由形か個人メドレー」と言い、大会がある度、パラリンピックで上位を狙えるタイムをたたき出す。
2022年11月にオーストラリアで行われた「ブリスベン2022Virtusオセアニア・アジアゲームズ」では、初の国際大会を経験し、200m個人メドレー、200m自由形でアジア新をマークした。
「緊張したけど、自己ベストを出せたのは良かったです」
海外遠征の楽しさを知り、海外の選手の体格の良さに驚いた。パリ2024パラリンピックについてはまだ実感はないが「がんばります」。
はにかむとチャーミングな木下の笑顔は、パリでも輝く。
text by TEAM A
key visual by X-1