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卓球
パラ卓球の次世代を担う大学生・舟山真弘の素顔
はにかむ笑顔が印象的な卓球・舟山真弘(ふなやま・まひろ)選手は、都内の大学に通う1年生です。健常者の大会で戦いながら、パリ2024パラリンピック出場を目指す若手パラアスリートはどんな大学生活を送っているのでしょうか。パリ大会でブレイク必至のスター候補を紹介するシリーズ“TOP PROSPECT(有望株)”の第4弾!
舟山 真弘(ふなやま・まひろ)|卓球
4歳のとき、右上腕骨骨肉腫を患い、右腕の肩関節と上腕骨を切除。小2のときに家族で旅行した熱海の温泉旅館で卓球をしたのがきっかけでその面白さに目覚めると、小5で埼玉のクラブに加入し競技を始めた。健常者の世界で戦いながら、早稲田大学高等学院2年時にパラの大会に参戦。現在は、パリパラリンピック出場を目標に掲げて奮闘している。
パリ切符を勝ち取るために世界を転戦中
――卓球の練習に加え、パリ2024パラリンピック出場権獲得のための海外遠征も多く、忙しい毎日を過ごされています。舟山真弘(以下、舟山):パリの出場権を得るためには海外の大会で結果を残し、ランキングで上位に入らなければなりません。今はそれが得られるか得られないか瀬戸際の位置にいるということもあり、多くの大会に出場しています。キャンパスライフは……ぜひパリが終わってから満喫したいですね(笑)
――やはり多忙なのですね。舟山:日本にいるときは毎日お風呂に浸かることができるから、疲れもとれるんですが、海外は湯舟がなくてちょっときついです。あと、自分の場合、実家に住んでいて、今まで当たり前に思っていましたが……毎日フルーツを食べているのも体調管理に欠かせないのかな。なんでもテレビ番組で朝のフルーツがいいと放送されていたようで、幼少期から朝ごはんにはフルーツが出てきました。
――忙しいと趣味を楽しむ時間もなさそうですね。舟山:僕にはあまり趣味と呼べるものがないのですが、通学時に音楽を聴きます。あと、大学に入ってから、ちょっとアニメにハマり始めています。友だちに勧められていろいろ観てみたところ、『推しの子』というアニメが面白いなって。海外遠征でよく飛行機に乗るので、フライト中はストリーミングサービスであらかじめ映画やアニメをダウンロードしておいて機内で観ています。
――読書も好きだと聞きました。舟山:本は高校時代によく読むようになりました。読書はデジタルではなく断然、紙派です。本屋に行って本を選ぶのが楽しいです。本屋の匂いと雰囲気が好きですね。大学の授業でも哲学を履修しているのですが、ニーチェとかも読みました。
探究心の塊!?
――大学ではどんなことを学んでいるんですか?舟山:取材のある今日の一限目は中国語でした。僕の通っていた高校は第二外国語があったのですが、中国語を選択して3年間勉強しました。その流れで大学でも第二外国語は中国語です。学部は文学部で哲学に興味があります。答えのないものについて考えるのって面白いなと思って。
――卓球と言えば中国が強いイメージですね。第二外国語となにか関係が?舟山:小・中・高とずっと中国のコーチに卓球を習っていて、中国語が身近なところにありました。コーチと話すときはだいたい日本語ですけど(笑) 先日、卓球で台湾に行きましたが、ひとまず単語を覚えれば、ちょっとは相手に伝わるなと実感しました。
――どんなシーンで使ったんですか?舟山:とくに大会ではなく、練習で行くときには、ひとりで食事に行くのでメニューを注文したり、食堂で店員さんに「ここのテーブルでいいですか?」とか。伝統的な繁体字ではない簡体字というのがあるんですけど、伝わらないときは紙に書いて見せることもありますね。発音は難しいです。
――大事にしている言葉はありますか?舟山:中国語ではないのですが……高校時代、英語の授業で先生から「Boys will be boys」(少年は少年のままで)という言葉を教わったのですが、この言葉がすごく好きです。いつまで経っても童心を忘れないでいたいです。何事にも興味を示したいし、好奇心を持って楽しんでいたい。卓球も常に楽しんでいたいです。
――卓球選手としての最終目標を教えてください。舟山:健常の世界でも活躍できる選手になることが僕の目標です。アスリートとして可能性を見せられる選手になりたい。健常の世界で勝つことで、「こんなに勝てるんだ」というのを見せられたらいいなと思っています。
text by TEAM A
photo by Hiroaki Yoda