-
- 競技
-
卓球
卓球・ジャパンパラオープン、日本勢がメダル量産!
国際卓球連盟(ITTF)主催のジャパンオープンが4年ぶりに開催され、日本代表選手が躍動した。
8月30日~9月2日の4日間にわたって東京体育館で開催された「木下グループ ITTF JAPAN PARA OPEN 2023」。パリ2024パラリンピック出場のためのポイント獲得対象大会となり、とくにシングルス優勝の八木克勝(クラス7)、舟山真弘(クラス10)、櫨山七菜子(クラス11)にとって大きな意味のある大会となった。
シングルスで優勝した八木と舟山
今大会にエントリーした日本選手の中で最もパリに近い位置にいるのが世界ランキング3位の八木だ。「来てくれた人たちに顔を覚えてもらいたかった」という八木は、シングルス決勝でタイ選手に逆転勝ちを収めて勝利の雄叫びを上げた。
男子ダブルスは準優勝。「ミックスダブルスも含め、ダブルスでは僕が一番障がいが重くなる。今後はクラス7では使わない、相手に打たせないための技術も磨きたい」と貪欲に語る。
今大会は、9月4日開幕のヨーロッパ選手権と重ならないように日程が組まれ、シングルスは平日に行われ、最終日は土曜日となった。そのため、客足が鈍ったが、「平日に来てくれた人たちも多く、ありがたかった。僕らも精進するので、選手の人間性を見ていただけたら」と八木は話し、次回開催の期待を高めた。
その八木と男子ダブルスを組んだ舟山は、今大会を「10月のアジアパラと同じくらい重要視している」と気合いを入れて臨み、シングルスで優勝。現在、パリ出場権争いのボーダーラインにいる世界ランキングのポイントを加算させた。
だが、男子ダブルスでは決勝で完敗し、いいゲームと悪いゲームがあり、安定感がないことが課題と語る。「自分がサーブから3球目を打つという展開はよかったけれど、やはり相手に先にしかけられたときに、カウンターなりブロックなりでの(対応する)技術がまだ安定感に欠ける。ミスが多かった」と唇を噛んだ。
今大会で手にした自信と課題を持ち帰り、「(同じペアで挑む)アジアパラではもっといい結果を出せれば」と舟山。初めてのパラリンピック出場権獲得へ。アジアパラでは単複金メダルだけを目指している。
3つのメダルを手にしたエースも健在
シングルスは決勝を1-3で落として準優勝。悔しい思いをした岩渕幸洋は、大会後半戦の男子ダブルスとミックスダブルスで優勝を果たした。
とくに男子ダブルスの決勝では、舟山/八木のシングルス優勝ペアを3-0で下し優勝。
強打のある舟山にプレッシャーをかけてミスを誘い、「舟山選手がやってくることを先読みできたのがすごくよかった。調子のいい相手に対し、しっかり駆け引きができた」と振り返って充実感をにじませた。
ペアを組んだ阿部隼万も、「すごく緊張した中での試合だったが、僕がつないで岩渕さんが攻める、自分たちの形で戦えた」と笑顔で語った。
知的障がいクラスの櫨山が3冠
女子・知的障がいクラスの世界ランキングにおいて現在日本選手3番手の櫨山(はぜやま)は、3冠に輝いた。
今大会は日本人対決が多く、やりにくさもある中で粘り強く戦って勝利し「勝ち切れてよかった。嬉しいです」とにっこり。
8月に韓国、タイと転戦して好成績を残した櫨山は、好調を維持し、今大会につなげた。
世界ランキングは8位でパリ出場圏内。波に乗る27歳は、「もう少しパワーを出せるように頑張りたいです」と話し、次は国内大会でチャンピオンを目指す。
ベテランもパリに意欲
今大会が行われた東京体育館は、東京2020パラリンピックで同競技が開催された“聖地”でもある。
車いす女子で唯一の強化指定選手である別所キミヱ(クラス5)は「(出場できなかった東京大会で)来られなかったところで、こうして海外選手と試合ができるなんて最高でしょ」と話し、20歳の中村亮太と組んだミックスダブルスなどで健闘したものの決勝進出はならなかった。
だが、パリへの挑戦をあきらめたわけではない。「ツッツキは負けていなかったし、ダブルスではもっとサービスを工夫しなきゃいけないなどの課題も見えた。シングルスで格上に勝てるよう作戦を練っていく」と話し、この後のヨーロッパ転戦へ向けて前を向いた。
「まだまだ勉強」と語る別所は、76歳でのパリパラリンピック出場を目指す。
また、東京パラリンピック銅メダリストの伊藤槙紀(クラス11)は、加藤耕也と組んだミックスダブルスで銅メダルを獲得。
「(準決勝で)負けても、一緒にできてうれしかった。東京パラリンピックのことはもう覚えていないけど、また頑張りたいと思います」と大会を振り返った。
金「7」、銀「9」・銅「14」とメダルを量産した日本勢。10月、中国・杭州で行われるアジアパラは多くの代表選手にとって大一番となる。中国をはじめとする強豪との激闘を制し、パリパラリンピックへの切符を掴んで欲しい。
text by Asuka Senaga
photo by Takamitsu Mifune