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ブラインドフットボール
ブラインドフットボール日本代表の若きエース・平林太一の素顔
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2023年8月の世界選手権、日本代表で最も多い4得点を挙げたのは、最年少17歳の平林太一選手でした。パリ2024パラリンピックでブレイク必至のスター候補を紹介するシリーズ“TOP PROSPECT(有望株)”第5回は、小学1年生でブラインドフットボール(ブラインドサッカー)に出会い、次世代を育成する「ユーストレセン」を経て2022年に代表デビューした若きエースストライカーの素顔に迫ります。
平林 太一(ひらばやし・たいち)|ブラインドフットボール
1歳のとき、網膜芽細胞腫が見つかり、4歳で全盲に。小学生のときに日本ブラインドサッカー協会の普及事業「キッズキャンプ」に参加したのがきっかけで競技を始める。パリ2024パラリンピックでメダルを目指す日本代表候補。松本山雅B.F.C所属。長野県出身。
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パラリンピック出場権を獲得するまで
――ブラインドフットボールの日本代表は、自国開催枠をのぞき、予選の結果によって初めてパラリンピック出場を掴みました。平林太一(以下、平林): パリの出場権獲得に貢献できたことが何よりうれしいです。東京2020パラリンピックはテレビで観ていましたが、まさかこんなに早く代表に入れるとは思っていなかったですし、代表選手を“別世界の人”として見ていましたから。パリではチャンスを活かして得点できるようがんばります。
――これまでで一番印象に残っている試合は?平林: 2022年にインドで開催されたアジア選手権は、優勝すればパリが決まる大事な大会でした。準決勝のタイ戦では自分も得点を決められず、結果はPK負け。試合後、ずっと泣いていました。
――負けた後、号泣していましたね。よく泣くんですか?平林: 日常生活でも涙もろいんですよ、本当に。クラブチームでは小学生のときほど泣いてはいないかな。あとは、J-POPの歌詞を聴いて泣いたりとか……!
音楽とともにある高校生活
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平林: カラオケも大好きですからね! 軽音部にも入っていて、ボーカルとキーボードをやっています。活動は週2回です。ブラインドサッカーのオンライントレーニングがある日もあるのですが、週2回は軽音の活動をして過ごしています。部にはたくさんバンドがあって、バンドごとに文化祭に出たり、2ヵ月に一度ライブハウスでイベントをしたりするんです。曲目は『怪獣の花唄』(Vaundy)とか、『君と羊と青』(RADWINPS)とか、幅広いですね。
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平林: 自分は4人きょうだいなのですが、姉の影響で6歳からピアノ教室に通っていたんです。9年間続けていたので鍵盤の位置は自然にわかりますよ。
――海外遠征でも必需品は“音楽”?平林: はい、スマホと充電器とイヤホンさえ忘れなければ、どこでも快適に過ごせます。
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必需品はイヤホン!?
――イヤホンのこだわりを教えてください。平林: とくにないですよ。でも、あまりに安いものだと、音がざらつくので避けてはいますね。耳に刺さる鋭い感じは好きじゃないです。あとは、Bluetooth(ブルートゥース)で接続するタイプのイヤホンは充電の持ちを重要視します。
――ほかに、興味があることといえば?平林: プロ野球です。とくにパ・リーグはよく観ますよ。最近は埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手が好きです。もちろんサッカーも興味はありますし、Jリーグの松本山雅の試合結果は必ずチェックします。ですが、見えない自分にとって、解説を聴いたときに野球の方が状況を理解しやすくて面白いんです。
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平林: 何だろう……ちょっと履歴を確認してみますね(スマホをいじりながら……)最近検索したのは『シチュエーションボイス』でした。今日は学校のテストも終わり、移動中、本当に暇だったので聴いていました。いつもは空いている時間はやっぱり音楽を聴いたり、野球ゲームをしたりしているかな。
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――夢は?
平林: シンガーソングライターの優里さんにテーマ曲を作ってもらうことですね。優里さんが路上ライブをされていた頃、たまたまYouTubeで歌声を聴いて『え、なにこの表現力、ヤバい!』と衝撃を受けました。そこからずっと聴いていてライブも行くくらい好きなんです。優里さんに作ってもらった曲を一緒に歌えたら最高です。壮大すぎる夢です。
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パリ2024パラリンピックは初めて迎える大舞台。エッフェル塔のふもとのスタジアムで日本代表チームが活躍したとき、平林選手にどんな歓声が届くのでしょうか。松本から世界に羽ばたく高校生に期待が集まります。
text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda