秋晴れの日本橋、1万人の前でパリ2024TEAM JAPANが感謝のパレード!
有観客で開催されたパリ2024大会。ほぼ無観客開催だった東京大会を経たからこそ、「観客の声援や拍手を受けながらプレーすることの楽しさや喜びを感じた」、「SNSなどを通じた日本からの応援の声も力になった」と振り返るパラリンピアンも多かった。11月30日、そうした応援への感謝を直接伝えようと、オリンピック・パラリンピック合同の「TEAM JAPAN」による応援感謝イベントが開催された。
選手と沿道のファンが笑顔で感謝を伝え合う
リオ大会以来2大会ぶりとなったオリンピアン・パラリンピアンによるパレード。スタート時間は9時すぎと、週末の朝としては少々早めの時間ではあったが、会場となった東京・日本橋の中央通りには、選手の姿を一目見ようと約1万人が詰めかけ、沿道に二重三重の人垣を作った。
パレードの出発にあたり、日本オリンピック委員会・三屋裕子副会長に続いて、日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会・森和之会長があいさつ。
「応援のおかげで力を発揮できたと多くのアスリートが語っており、本当にありがたく感じました。本日のイベントは、選手から感謝をお伝えするイベント。今日を機に、オリンピック・パラリンピックムーブメントが一緒に広がっていくことを選手共々期待をしています」
パレードは、オリンピアンとパラリンピアンが5~7人の混合チームを作り、出発式会場であるコレド室町テラスから日本橋三越本店前を通り、日本橋詰交差点で折返すコースを徒歩や車いすで進むスタイルで行われた。沿道に集まった人たちは、TEAM JAPANのレプリカウエアを着たり、パリ大会のマスコット・フリージュの帽子をかぶったり、「パリオリパラお疲れ様でした」と書いた応援ボードを掲げたりと、歓迎ムード一色だ。
距離が近いこともあり、選手とファンが直接触れ合う貴重な機会にもなった。例えば、自転車競技の金メダリスト・杉浦佳子は、つらい練習を支えた言葉とイラストが描かれた応援ボードを持つファンに近づき、お礼を伝えて写真撮影。また、オリンピックのフェンシング・女子サーブル団体銅メダルの江村美咲は、観客とハイタッチ。「おつかれさまー」との声に「ありがとうございましたー」と応えるなど、どちらも満面の笑みで交流する姿があちこちで見られた。
また、沿道に集まった多くの人に選手の生の声を届ける場として、お立ち台が設置され、選手たちは順に登壇すると、マイクを手にそれぞれの思いを届けた。
「実は初日(メダルを)狙っていたレースで予選敗退でした。かなり落ち込みまして、『もうやる気ない、日本に帰りたい』と思いました。でも、皆さまからの応援のおかげで、最終日、金メダルを獲ることができました。ありがとうございました。そして今日、その金メダルを忘れてきてしまって、すいません」(杉浦)
「日本の遅い時間からたくさんのご声援をいただき、本当にありがとうございました」(水泳・窪田幸太)
「もう50歳になるので、これをもって引退させていただきます。今まで本当に応援ありがとうございました」(バドミントン・村山浩)
また、競技や自分自身をアピールする、たくましい姿も見られた。
「皆さん、インスタグラムやってますか。ぜひ萩原で検索してフォローしてください。よろしくお願いします」(ゴールボール・萩原紀佳)
「この金メダルを印籠代わりに車いすラグビーの羽賀を覚えていただければうれしく思います」(車いすラグビー・羽賀理之)
「ブラインドサッカーの試合を、皆さんぜひ見に来てください」(ブラインドフットボール・川村怜)
さらに、2028年のロサンゼルスパラリンピックに思いを馳せ、意気込みを述べる選手もいた。
「シングルス3連覇目指してがんばっていきたいと思います」(バドミントン・里見紗李奈)
「またロスに向けてがんばっていきたいと思います」(カヌー・瀬立モニカ)
応援の力を次へのエネルギーに変えて
パレードで沿道からの熱気を全身で感じたり、オリンピックとパラリンピック、そして競技や種目の垣根を越えて一緒に歩いたりしたことで、新たな思いが湧いてきたと語る選手も多かった。
「皆さんに『感動をありがとうございます』と言ってもらえてすごくうれしかったです。応援してくださった皆さんのおかげで金メダルを獲れたと思うし、今回、勇気をもらいました。次は自分が、見てくださってる皆さんに勇気を与えられるような選手になれるようにがんばります」(スケートボード・吉沢恋)
「思っていたよりも多くの人が来てくれて、夢のような時間でした。オリンピックで夢をいただいたので、今度はオリンピックでいろんな人に夢を与えられたら、この上なくうれしいです」(体操・萱和磨)
「ボッチャは知名度もまだ50%、60%ですが、(沿道で)ボッチャという言葉を聞かせていただきまして。これからもどんどんファン度を上げていきたいなと思いますし、みんなで普及も精いっぱいやっていきたいと思います」(ボッチャ・廣瀬隆喜)
「僕は今回、重量挙げの村上選手と一緒に歩くことができました。限られた時間ではありますが、オリンピックとパラリンピックの選手たちが交流することができたことも、すごくうれしかったなと思いました」(水泳・木村敬一)
「本当にたくさんの方にお越しいただいて、すごくいっぱいおめでとうと言ってもらえて。僕らは皆さんの応援のおかげで金メダルを手にすることができて。こんなたくさんの人に応援されていたんだなと思い、本当にうれしく思います」(車いすラグビー・島川慎一)
お立ち台で「ゴールボール、ググってくれたらうれしいです」と競技をアピールしていたゴールボール男子日本代表の田口侑治は、パレード後の取材で「『ゴールボール見てたよ』と声をかけてもらえました。すごくうれしかったですし、今後の励みになりました」とコメントした。
観客にとっては、画面の向こうで観ていた選手に直接、応援や感動の声を届ける機会に、また選手にとっては、改めて多くの人に応援されていたことを実感し、応援の力を直接受け取る機会となった。受け取った力をロサンゼルスへ向かうための、あるいはこれからの人生を歩むためのエネルギーとしてチャージしたに違いない。
text by TEAM A
photo by Atsushi Mihara