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Sports 競技を知る
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【パラスポーツ!これだけは知りたい】車いすテニス

車いすテニスは、車いすに乗りラケットでボールを打ち合う対戦型の競技。下肢に障がいのある選手、下肢の障がいに加え上肢にまひなどの障がいがある選手がプレーする。
パラリンピックではバルセロナ1992大会から正式競技となった。テニスの世界4大大会(全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、全米オープン)でも、一般のテニスと合わせて車いすテニスが行われている。

クラス分け
性別と障がいの種類により、下肢に障がいのある男子、下肢に障がいのある女子、下肢のみではなく上肢にもまひなどの障がいのあるクアード(男女混合)の3つのクラスがある。
握力の弱いクアードの選手は、ラケットを手にテーピングで固定することが認められており、また電動車いすを使用できる選手もいる。
競技用具
使用するラケット、ボールは一般のテニスと同じものを使用。
競技用車いすは、回転性や機敏性を高めるためにタイヤが「ハの字」になっている。また、上半身を自由に動かせるように背もたれはなく、後ろに大きく振りかぶるので後方に転倒防止用のキャスターが付いている。車いすバスケットボールや車いすラグビーのように選手同士が接触することはないので、バンパーはない。

トップ選手の競技用車いすは、シートやタイヤの角度など、選手の体格に合わせてオーダーメイドしたものを使用。手で漕ぐだけでなく、腰のひねりなどでも操作できるよう、座面により身体にフィットしたバケットシートを導入する選手も。
おさえておきたいルール
一般のテニスとのルールの違いは、一般のテニスがノーバウンドか1バウンドでボールを打ち返すのに対し、車いすテニスでは2バウンドまで認められているところ。2バウンド目がコートの外に出ていても返球できる。
コートの広さ、ネットの高さは一般のテニスと同じ。赤土のコートで有名な全仏オープンでは、車いすテニスも赤土の上でプレーする。1ゲーム4ポイント先取、6ゲームで1セット、デュースなども同じ。
パラリンピックでは、男女それぞれのシングルスとダブルス、クアードのシングルスとダブルス、合計6種目が3セットマッチ(2セット先取で勝利)で行われる。

ここに注目
一般のテニス選手のフットワークにあたるチェアワークが、車いすテニスの見どころのひとつ。縦23.77m×横10.97m(シングルスは8.23m)のテニスコート、さらにベースラインから約6m以上、サイドラインから約3m以上のスペースを、片手にラケットを持ちながら競技用車いすを操作し、縦横無尽に動きながらプレーする。
片方のサイドから逆側のサイドへ移動するにはタイヤの向きを変える必要があるなど、競技用車いすの操作にはテクニックが必要。後ろ向きになって方向転換する場合も。
次にボールが来るのは前か後ろか、どう攻めるかをイメージしながらの巧みなチェアワーク、迫力あるショットに注目!

text by Parasapo
illustration by Kazue Shima