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Sports 競技を知る
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【パラスポーツ!これだけは知りたい】水泳

水泳(パラ水泳)は、競技用プールを使用し、自由形、背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎといった泳法で速さを競う競技。パラリンピックでは肢体不自由、視覚障がい、知的障がいの選手が出場する。

クラス分け
パラリンピックでは、障がいの種類や程度により、肢体不自由では1~10、視覚障がいは11~13、知的障がいは14とクラスが分けられる。数字が小さいほど障がいが重く、数字が大きいほど障がいが軽い。
泳法は自由形、背泳ぎ、バタフライをS、Sの泳法とは下肢の動かし方が異なる平泳ぎをSBという。バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順に泳ぐメドレーリレーはSM。例えば平泳ぎでは、全盲の選手はSB11クラスとなる。
競技用具
パラスポーツには義足や競技用車いすなどの用具を使いこなすことでパフォーマンスに影響する競技もあるが、水泳はそうした用具は使用せず、選手の身体の機能だけで速さを競う。
その中で視覚に障がいのある選手が使用する用具が、ブラックゴーグル。クラス11の選手は、視覚を完全に遮断し公平に競うために、黒塗りのゴーグルを使用する。

また、視覚障がいのある選手の種目では、ターンやゴールでプールの壁の位置を知らせるために、タッピングバーが使われることも。ターンやゴールのタイミングに合わせ、プールサイドにいるタッパーが、タッピングバーで選手の頭や背中にタッチし壁の位置を知らせる。選手とタッパーとの息の合ったタッピングが重要。

おさえておきたいルール
自由形、平泳ぎ、バタフライでは、下肢に障がいのある選手など飛び込みによるスタートが難しい場合は、水中からのスタートも認められている。またスタート台の上で静止することが難しい選手は、コーチが静止を補助することもできる。
水中からスタートする背泳ぎでは、スターティンググリップを握る代わりに、ベルトを取り付けて手首付近にかける選手、紐やタオルなどを口でくわえる選手、コーチが足の裏や体をスタートの位置に静止してもらう選手も。
ターンやゴールでも、障がいの程度により片手や頭などでのタッチも認められている。

4人の選手によるリレー種目も実施されており、男子2人、女子2人で構成される混合リレーも。肢体不自由クラス、視覚障がいクラス、知的障がいクラスそれぞれにリレー種目がある。

肢体不自由、視覚障がいのクラスのリレーでは種目に「ポイント」が設けられている。たとえば34ポイントリレーの場合、出場する4選手のクラスの数字の合計がこの「ポイント」の数字以下になるようにメンバーを構成する。
ここに注目
泳法やクラス別に、身体の機能を最大限に活かして選手それぞれが練習を通して習得した泳ぎが見どころ。
障がいによっては、競技を始めたばかりのときはまっすぐ泳ぐことも難しい場合がある。泳ぎを見て練習することができない全盲の選手は何度も繰り返し泳いでフォームを覚え、片腕や片脚が欠損している選手は左右のバランスを取りながら自分にあった泳ぎ方を見つける。
たゆまぬ努力を重ね、さまざまなスタイルで挑む選手たちの泳ぎに注目したい。

text by Parasapo
illustration by Kazue Shima