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車いすバスケットボール
車いすバスケットボール・古澤拓也×鳥海連志 特別対談。世界へ挑む若獅子が吼える!
3回目の開催となる三菱電機WORLD CHALLENGE CUP 2019(MWCC)がいよいよ8月29日(木)より開幕! 男子日本代表“シンペーJAPAN”が大会連覇に挑む! 中心選手として活躍が期待されている古澤拓也と鳥海連志が、大会への意気込みを語った!
※本記事はパラスポーツの“今”をお届けするスペシャルムック『パラリンピックジャンプ』(「週刊ヤングジャンプ」と「Sportiva」が共同編集/協力:パラサポ)との共同企画です。
――7月27日、28日の「第45回のじぎく杯」大会では、2人の所属するパラ神奈川SCが優勝しましたね。おめでとうございます。
鳥海 ありがとうございます。いつ以来だっけ?
古澤 先輩方の記憶では、1982年以来の優勝らしいです。2人が生まれるずっと前の出来事ですね(笑)。
――初日に予選リーグ、2日目に決勝トーナメントで3試合。ハードな大会でした。
古澤 決勝トーナメントも初戦がNO EXCUSE、準決勝で千葉ホークス、決勝が埼玉ライオンズと強敵ばかりでした。いろいろあったし……。
鳥海 (笑)。それを言わせるの?
古澤 一応(笑)。
鳥海 初日が終わって、疲れすぎたのかなかなか寝つけなくて……。気づいたら翌朝の集合時間過ぎてました(笑)。
古澤 2日目は試合開始時間も早かったですからね。でも連志も含めて3人いなかったから、ちょっとビビった(笑)。
鳥海 みんなそろって寝坊するという大失態(笑)。
古澤 そんなアクシデントもありましたが、みんな間に合って、なんとか勝ち上がって。決勝では連志のシュートで追いついて、延長で勝つことができました。5月の日本選手権後にチームが新体制でリスタートしたところなので、優勝できてよかったです。
鳥海 うん、よかったよね。今回の大会は拓(古澤)にフォワードに徹してもらって、僕がガードに入ったから代表に近いような感覚でバスケができたかなと。
古澤 以前は2人で点を取りに行く感じだったけど、連志がガードに入ってくれたことで、どこからでも点が取れるチームになってきたと感じるね。
鳥海 2人が中心のバスケをやってきたけど、いい時もあれば悪い時もあったんです。波があるというか・・・。あらためて自分たちのバスケを見つめ直したときに思ったのは、「俺が駒として動いて、5人のバスケをテーマにしたほうが強いんじゃない!?」ってことだったんですよ。
古澤 連志が全体をコントロールしてくれたんで、点を取りに行くタイミングでは、もう周りは見ないよってくらいの勢いでシュートをねらっていきました。僕にディフェンスがきたら、連志に渡して他のメンバーを使ってもらう。逆にそこにディフェンスが行くと今度は連志や僕がフリーになるという感じで、いい流れで攻撃ができました。
――日本代表でも一緒にやっている2人ですが、これまでとはちょっと違うステージでのコンビネーションができるようになってきたということですね?
古澤 そうですね。日本代表の及川晋平ヘッドコーチからも『2人のコンビネーションが上がっていくほど、2人の強みが一緒に出る。そうなれば2人のコンビをもっと使える』と言われているので、もっと磨いていきたいですね。
鳥海 うん、もっともっと完成度を上げたいですね。僕は、ガードとしてのプレーはまだまだですけど、日本代表でもチームを流れに乗せられるような役割を意識してやっていきたいと思っています。
――古澤選手と鳥海選手は、お互いのことをどんな選手だと見ていますか?
鳥海 拓は、軽やかにプレーする選手ですかね。汗ひとつかかずにさわやかにプレーしているイメージがありますね。僕なんかよりもずっとプレーに華があって、観る人を惹きつけるから、たぶん拓のファンが一番多い(笑)。
古澤 連志は、闘争心のかたまりみたいに見えるかもしれませんが、アタマの回転が速い選手なんですよ。ヒートアップしている場面でも全力でプレーしながら、実はいろいろ考えてやっているという(笑)。情熱的で、冷静な選手です。
――いよいよ今年もMWCC(三菱電機ワールドチャレンジカップ)2019が始まります。
古澤 今年のMWCCに出場する海外チームはいずれも来年の東京パラリンピックで対戦する可能性があるライバルです。昨年の世界選手権ではオーストラリアが3位、イランが4位ですから、そんな強いチームと戦えるのが楽しみです。早く試合がしたいですね。
鳥海 去年は優勝することができましたけど、まだ及川ヘッドコーチたちが目指しているバスケの半分くらいの完成度だったんじゃないかと思うんです。
古澤 そうだね。その後の世界選手権やアジアパラでは、勝つことの難しさをあらためて実感したよね。
鳥海 強い相手に接戦に持ち込んでも1点差、2点差で負けてしまうとか、まだまだ自分たちの弱さも感じたし。だからこそ合宿や遠征を重ねてさらに強化をしてきたんですけど、今回の対戦相手は、自分たちのレベルがどこまで上がったのか、日本代表の現在地を確認する意味でも最高の相手が揃ったなと思います。もちろん勝ちたいですけど、勝敗に関係なくいろいろな気づきがあると思いますね。
古澤 去年のMWCCのオーストラリアとの対戦では、チームとしては勝ったけど、個人的には満足できるパフォーマンスを出せなかったんです。特にトム・オーニールソンには2017年のU23世界選手権の3位決定戦でやられて、去年もやられたという印象があります。同世代だし、今回のMWCCではしっかりストップしたいですね。
鳥海 僕はイラン戦が楽しみです。イランのバスケは感情的でエネルギッシュで、ヨーロッパやアメリカのバスケとも違う独特な雰囲気があるんです。去年のアジアパラでは1ゴール差で負けているので、MWCCでは勝ちたいですね。
――MWCCではどんなプレーで、チームに貢献したいと考えていますか?
古澤 僕の一番の武器はディフェンス。まずディフェンスからリズムを作って、オフェンスでは怜央さん(藤本怜央)、ヒロさん(香西宏昭)、啓くん(秋田啓)をはじめ得点力の高い選手のサポートをしたいです。そこがマークされると今度は僕がフリーになる場面が出てくるので、そこでしっかりとシュートを決めたいなと。それとチームが苦しいときのスリーポイントシュートもしっかり決めて、試合の流れを変えられるようにしたいと思います。
鳥海 チームオフェンス、チームディフェンスをテーマに、周りの選手をどれだけ気分よくプレーさせられるかを考えてやりたいです。センター陣、フォワード陣が輝く横で、目立たないけど活躍してるっていうのが理想ですね。それがチームとして勝利に近づいていける一番の近道だと思っているので。
――昨年のMWCCでは、3日間で13,000人を超える観客が観戦してくれました。今年もスタンド席が無料でアリーナ席が有料ですが、すでに売切れた席もあるらしいですね。
古澤 MWCCには本当にたくさんのお客さんが観戦にきてくれています。シュートが入ったときの大歓声は、最高に気持ちいいですよ。応援に背中を押されて、いつも以上のパフォーマンスが出せるような気がしました。これがホームの力なんだって感じましたね。
鳥海 僕はコートに入っちゃうとあまり気にならなくなっちゃうタイプなんですけど(笑)、ベンチではすごい応援だなって思っていました。でも、たくさんのお客さんに観に来てもらうだけではダメで、まずは僕たちがプレーでお客さんを引き付けないと、ホームゲームの一体感は作れないとも思いました。
古澤 そうだね。まずプレーで会場を巻き込んで、自分たちでそういう雰囲気を盛り上げていくことができれば大きなアドバンテージになるよね。
鳥海 そうそう。だから、MWCCは会場の雰囲気を僕たちがコントロールしていくための予行練習にもなっているのかなって。来年の東京パラリンピックでは、満員の観客と僕たちが一体感のあるホームの雰囲気を作ることが、日本代表が化ける要素のひとつになるのかなって思います。
古澤 僕たちの最終的な目標は、来年の東京パラリンピックでのメダル獲得です。このMWCCでライバルにしっかり勝ち切って、その勢いを東京パラリンピックにつなげていきたいと思います。応援、よろしくお願いします!
古澤拓也
FURUSAWA TAKUYA
1996年5月8日生まれ 神奈川県出身
パラ神奈川SC所属
ガード・フォワード 持ち点3.0
日本トップレベルのシューターで、スリーポイントシュートは日本代表の大きな武器になっている。2017年U23世界選手権ではキャプテンとしてチームをまとめ、4位躍進の原動力となった。オフの日の楽しみはスイーツの食べ歩き。抹茶系スイーツが大好き。
鳥海連志
RENSHI CHOKAI
1999年2月2日生まれ 長崎県出身
パラ神奈川SC所属
ガード 持ち点2.5
17歳で日本代表に抜擢され、リオパラリンピックに出場。2017年U23世界選手権でも中心選手として活躍した。スピードとクイックネスを武器に、日本代表に欠くことのできない存在となった。オフの楽しみは長風呂。6時間近く入っていることもあるという。
闘魂レッドで会場を染めろ! 「赤Tプロジェクト」始動!
8月31日(土)、9月1日(日)のアリーナ席チケットを購入(当日券もOK)した方に、当日の会場で、日本車いすバスケットボール連盟オリジナル「赤Tシャツ」のプレゼントがあります。みんなで「赤Tシャツ」を着て、日本代表を応援しよう!
三菱電機WORLD CHALLENGE CUP 2019
日程:8月29日(木)~9月1日(日)
会場:武蔵野の森総合スポーツプラザ
詳細は大会公式HPでチェック https://wcc.jwbf.gr.jp/2019/
構成・文/市川光治(光スタジオ)
取材・文・撮影/名古桂士、伊藤真吾(X1)
※本記事は「パラリンピックジャンプ」編集部協力のもと掲載しています。