障がい者とのコミュニケーション学ぶ 2020 に向けた新事業「あすチャレ!Academy」の第1回講座
障がいのある当事者が講師となり、インクルーシブ社会を推進していくために、障がい者への対応やコミュニケーション方法を学ぶ、社会人や大学生向けのセミナー「あすチャレ!Academy」。その第一回講座が11月24日、協賛企業であるNEC(日本電気株式会社)で行われ、社員ら約50人が参加した。
はじめに、2020年東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーでもある同社から執行役員の菅沼正明氏が登壇。「スポンサーは、オリンピック・パラリンピックのファミリーで、ともに大会を作っていく役割がある。選手が安心安全に最大限の力を発揮できるようサポートし、その大会を障がいのある方を含めあらゆる人が楽しく平等に観戦できる環境づくりに一役買いたい」と協賛の目的を語り、「ここで得たことを家族や周りの方に広めて」と社員に呼びかけた。
「あすチャレ!Academy」は、様々なバックグラウンドのある講師がその体験などを伝え、受講者とのコミュニケーション方法を学ぶ。続いて挨拶に立った日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)の本山勝寛は、「たんに知識を得るだけではなく、心で気づき、またコミュニケーション体験を通じて理解を深め、グループワークを通じて明日から行動に移せるようにとの願いを込めて構成した。受講をきっかけにインクルーシブな社会づくりの担い手になっていただけると嬉しい」と期待を込めた。
全盲の原口講師がリアルに語る
「あすチャレ!Academyへようこそ。このセミナーでは、普段、触れ合うことの少ない障がい者とのコミュニケーション方法を学びます」。
記念すべき第一回目の講師を務めたのは、生まれつき全盲でブラインドサッカーの選手でもある原口淳氏。
「障がい者とのコミュニケーション、なぜ必要なのでしょうか」などと問いかけながら、2020年を契機にバリアフリー化が進み、「障がい者と何気なくコミュニケーションを取る。これからの時代において、それが日常生活においてもベーシックなスキルになる」と柔らかな口調で話した。
続いて、パラリンピックのムーブメントに大きな成果をもたらしたロンドンパラリンピックを例に挙げながら、自国開催のパラリンピックに向ける課題や期待を語った。
後半は、ワークシートを使用。気づき(「障がい」とは何かに気づく)、理解(コミュニケーション方法を理解する)、グループワーク(行動するための想像力を養う)の3パートに分かれたカリキュラムで、障がい者とのコミュニケーション(インクルーシブ・コミュニケーション)のポイントと方法を学んだ。
また、講師の原口氏と同様の視覚障がいだけでなく、聴覚障がい、肢体障がい、知的障がい者それぞれとのコミュニケーション方法についても理解を深めた。
「想い」を必ず「行動」に。
終了後には、修了証書の授与式も。参加者は「今日気づいたことを家族に話し、子どもたちが見ていると思って実戦していきたい」、「今まで困っている人を見ても具体的に何をしたらいいかわからなかったけどこれからは声をかけるなど行動に移したいと思う」などと感想を述べた。セミナーを終え、原口氏は「初回で緊張感あったが、受講者に聞いていただいたというより、対話することができ、楽しみながらお伝えすることができた。もともと意識の高い方が多く、私自身の解説を超える回答が出るのではないかとワクワクしながら進められました」と手ごたえを語った。
この日をスタートとし、パラサポは「あすチャレ!Academy」を東京と大阪で展開中。今年度中に1000人の受講を目標としている。
text&photos by Parasapo
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