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パラリンピックの歴代マスコット あなたのお気に入りはどれ?
4年に一度の祭典を開催前から盛り上げ、可愛さや親しみやすさから大会の認知度を高めてくれるオリンピック・パラリンピックのマスコットたち。来る2020年の東京大会も、街やスタジアム、グッズ売り場、イベント会場などあらゆるところで目にするだろう。
そんなオリンピック・パラリンピックのマスコットは、大会が開催される地域の動物、その土地の文化や遺産、代表する人物がモデルになることが多い。では、過去にどんなマスコットが活躍してきたのだろうか。
まず、オリンピックにおけるマスコットの初登場は、フランス・グルノーブルで行われた1968年の冬季オリンピックである。丸い頭の小さな男がスキーをしていて、トリコロールがベースになっている。「Schuss(スシュ)」と名付けられたこのマスコットは、公式ではなかったものの、オリンピック・パラリンピック史上初のマスコットとなった。その後、1972年に西ドイツ(現ドイツ)のミュンヘンで行われた夏季オリンピックで、オフィシャルマスコットが誕生した。
パラリンピックのマスコットはアーネム1980から
パラリンピックでのマスコットの歴史が始まったのは、今から37年前の1980年にオランダのアーネムで行われた第6回パラリンピックのこと。オランダの放送局のひとつであるAVROがマスコットの公募を行い、地元出身のNecky Oprinsen氏が考案した2匹のリスのマスコットが採用された。またイギリスのアイレスベリーとアメリカのニューヨークの分離開催となった1984年の大会では、美術教師であるMaryanne McGrath Higgins氏によるランニングシューズとジョギングウエアをまとった「Dan D. Lion」が採用された。この名前は、障がいのある子どもたちの投票によって決められた。
以降、パラリンピックでもマスコットの起用が当たり前となる。今回は、オリンピックとパラリンピックの開催が同じ都市で行われるようになった1988年のソウルパラリンピックからのマスコットを紹介したい。
・1988年ソウル夏季大会「Gomdoori」
韓国の“テディ・ベア”。2匹のツキノワグマが二人三脚をしている姿が描かれ、それぞれの熊は知恵と勇気を表す。互いの足を結ぶことで、協力して打ち勝つ力、励まし合い、平和と調和を共につくっていく様子を表している。この時からマスコットのコンセプトが明確化されるようになった。
・1992年バルセロナ夏季大会「Petra」
バルセロナオリンピックのマスコット「Cobi(コビー/犬をモチーフにしたマスコット)」を制作したデザイナーでイラストレーターのJavier Mariscal氏がデザイン。「Petra(ペトラ)」は両腕のない女の子でCobiと対になったキャラクターとしてつくられた。オリンピックとパラリンピックのつながりをより強めたキャラクターといえる。
・1992年ティーニュ/アルベールビル冬季大会「Alpy」
フランスで開催されたパラリンピックで起用されたのは、Vincent Thiebaut氏がデザインしたマスコット「Alpy」。ティーニュにある山脈「マシフ・ド・ラ・ヴァノワーズ」を擬人化したもので、1本のスキー板で滑走する様子が描かれている。
・1994年リレハンメル冬季大会「Sondre」
スカンジナビアの童話に出てくるトロール(妖精)がもととなったキャラクターで、片足でスキーをしている。学校から公募した中から、Janne Solem氏の作品が選ばれた。マスコットの名前は、現代スキーのパイオニアであるノルウェー人スキーヤー、そして“テレマークスキーの父”として知られるソンドレ・ノルハイム氏から名付けられた。
・1996年アトランタ夏季大会「Blaze」
革新、忍耐力、決意の象徴である不死鳥「Blaze(ブレーズ)」は、アトランタ市のシンボルでもある。明るい色や大き翼が特徴的で、今日、アメリカの身体障がい者スポーツの中でもっとも有名なシンボルになっている。
・1998年長野冬季大会「Parabbit」
「Parabbit(パラビット)」は、緑と赤の耳を持つ白うさぎ。生徒たちからの応募数3,408の中から名前が決まった。
・2000年シドニー夏季大会「Lizzy」
エリマキトカゲのマスコット「Lizzy(リジー)」。“襟巻き”の部分は緑色と金色で、オーストラリアをかたどっており、体の黄土色は大地の色を表している。また、Lizzyの力強さ、決意、姿勢は、競技に参加するすべてのパラリンピック選手を表現している。
・2002年ソルトレークシティ冬季大会「Otto」
俊敏性と活力を持つカワウソからデザインされたその背景には、カワウソが最もパワフルな動物であると考えられてきたネイティブアメリカンによるユタ州の長い歴史がある。
・2004年アテネ夏季大会「Proteas」
タツノオトシゴは、強さ、追求、インスピレーション、祝福を表現している。生みの親であるSpyros Gogos氏はそれ以前のパラリンピックのマスコットデザイン(の考え)から離れ、パラリンピック競技の性質と選手たちの卓越性を達成するという目標を最もよく表していると感じたものを作り出した。
・2006年トリノ冬季大会「Aster」
「ユニーク」をコンセプトにしたマスコットで、雪の結晶がモチーフ。その複雑さや個性は、スポーツの鍛錬を可能にすることや唯一無二の人生を表現している。
・2008年北京夏季大会「Fu Niu Lele」
フーニウラーラー(福牛楽楽)という名の牛のマスコットで、色は伝統的な中国の新年の絵や贈物に由来している。
・2010年バンクーバー冬季大会「Sumi」
守護神として描かれたマスコット。腕はサンダーバードの翼、脚は黒熊。カナダの先住民をイメージし、“Sumesh”が名前のベースとなっている。他にもいくつかのキャラクターがおり、現代風のデザインが印象的だ。
・2012年ロンドン夏季大会「Mandeville」
ロンドン大会では、オリンピック・パラリンピック双方のマスコットがチームとして活躍。オリンピックは「Wenlock(ウェンロック)」、パラリンピックは「Mandeville(マンデビル)」である。それぞれ細かなストーリーがあり、短編アニメも制作された。目がひとつという一風変わった風貌だが、その真ん中にある目はカメラになっており、額にはロンドンタクシーを思わせる黄色のライトがついている。Mandevilleはパラリンピック発祥の地であるストーク・マンデビル病院にちなんだ名前である。
・2014年ソチ冬季大会「Ray of Light & Snowflake」
「Ray of Light」は暑い星からやってきて、地球に降り立ったという設定だ。琥珀色の肌と輝かく大きな瞳、そして炎のような髪を持つRay of Light。ノルディックスキーをして、周囲の人たちと友だちになったが、唯一地球上の“エイリアン”であった彼は、孤独を感じていたという。ある日、彼は流れ星を見たが、それが冷たい星からきた雪のような肌を持つ女の子「Snowflake」だった。ふたりは友だちになり、アイススレッジホッケーと車いすカーリングを作り出したそうだ。
・2016年リオ夏季大会「Tom」
ブラジルの豊かな自然をモチーフにした架空の生き物Tom(トム)。彼はどんな障がいも克服することができるという。さらに、パラリンピック競技の練習に加えて、遊ぶこと、友だちをつくること、森の中でリラックスすることが好き。そんな彼は厳しい状況でも克服できない障がいなどないと、信じているのだ。
・2018年ピョンチャン冬季大会「Bandabi」
2018年3月に開催されるピョンチャンパラリンピックでは、ツキノワグマのBandabi(バンダビ)がパラリンピック、白虎の「Soohorang(スホラン)」がオリンピックのそれぞれマスコットになっている。ツキノワグマと白虎は、韓国の神話に登場し、韓国文化や童話でも親しまれている。Bandabiは強い意志と勇気の象徴で、開催地・江原道(カンウォンド)の“シンボルアニマル”でもある。Bandalは半月の意味があり、ツキノワグマの胸にある模様を表しており、biには大会を祝福する意味がある。1988年のソウル夏季大会と同じクマがモチーフになっている。
気になる東京大会のマスコットは?
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は8月、東京オリンピック・パラリンピックそれぞれの大会のマスコットデザインを一般公募するが、来年にはデザインやネーミングが決定する見込みだ。大会を盛り上げる重要なアンバサダーでもあるマスコット。2020年もパラリンピックムーブメントの一端を担うはずだ。
text by TEAM A
photo by Getty Images Sport,X-1
※本記事はIPC webサイトを参考にしています。