パワーリフティング世界チャンピオン・ラーマン選手 310kgを持ち上げるイランの国民的アスリート

あのーー！！

そうです。2012年のロンドンパラリンピックで金メダルを獲得し、2016年のリオパラリンピックでは310kgを持ち上げ、世界新記録と2大会連続の金メダル獲得という快挙を成し遂げました。ちなみに310kgは健常者が持っている世界記録も上回っているんです。

使う筋肉が違うんです。さっき筋トレしていた器具を見てください。

何か気がついたことはありませんか？

そうなんです。健常者のパワーリフティングは足をついて全身の筋肉を使いますが、この競技は単純に上半身の力のみを使って行われるんです。

階級は男女ともに10階級あります。ラーマン選手は日によって体重の増減はあるそうですが、取材時は169kgで、男子107kg超級になりますね。

そしてパラのパワーリフティングは、ただ持ち上げるだけではダメなんです。2分間の制限時間で入場から準備までおこなう必要があり、バーを持ち上げるときも左右バランスよく上げないと成功と見なされないこともあります。最終的には3名の審判のうち、2名が成功と判断すればその重量が記録になります。

そうなんです。パワーリフティングのことを分かっていただいたところで、イベント会場に移動しましょう！

「i enjoy ! セミナー パラ・パワーリフティング　金メダリスト・ラーマン選手がやってくる！ 」という、親子向けイベントです。

そうです。今日は調整をかねて、220kgくらいまで上げると聞いています。
お、 入場してくるみたいですよ！

徐々に重いものを持ち上げていきます。

今日は特別に250kgまでいってみましょう！

大丈夫かしら……。

本当にスゴイ！！ 大会の実際の試技は1回ですが、今日は子どもたちがいるからサービスしてますね！

ラーマン選手、フレンドリーで、気さくで、とてもステキな人ですね。

生まれたときから足が動かないという病気でした。障がいをもって生まれることはあまりいい気持ちではありません。ただ僕はそのことで誰かを責めたことはないし、あまりそういうことを語らないようにもしています。

学生時代、ボディビル用のジムに通っていました。ベンチで120kgを上げられるようになったときに、国内の大会に出てみたら、なんと2位に。そのときにコーチから、「このままいくとイイ選手になれるだろう」と言われたことがパワーリフターとしての始まりでした。

パワーリフティングは、唯一健常者と障がい者を比べられることのできるスポーツなんだ。ほぼ同じ条件下での健常者の記録は270kg（2017年7月時点）。一方で僕は310kg持ち上げられる。障がい者が健常者の記録を超えられるところがパワーリフティングのおもしろさだね。

そうですね。まずは2020年の東京パラリンピックで金メダルを目指します。その次は世界記録も狙って行きたいですね。310kgを上回る記録は、チャレンジングでリスクを伴います。そのための体づくりもしなければいけません。