全日本選抜車いすテニスマスターズ上地10連覇!男子は眞田、クァードは菅野

全日本選抜車いすテニスマスターズ上地10連覇!男子は眞田、クァードは菅野
2017.12.13.WED 公開

12月8日から10日、千葉県柏市吉田記念テニス研修センターにて、「第27回三井不動産全日本選抜車いすテニスマスターズ(以下JWTAマスターズ)」が開催された。「JWTAマスターズ」は、車いすテニスの国内ランキング、上位8名(推薦枠1名含む)が出場することができる大会であり、その年の日本ナンバー1を決める歴史ある大会だ。

世界ランキング1位の上地
世界ランキング1位の上地

女子決勝は、世界ランキング1位の上地結衣と田中愛美との対戦となった。

田中は、世界ランキング12位、上地に次ぐ、国内2番手の選手である。昨年の国別対抗戦「ワールドチームカップ」では、初めて日本代表にも選ばれ、期待の次世代プレーヤーのひとりだ。サーブやフォアハンドでは、パワフルなショットも見せていたが、上地の多彩な攻めに押され、実力差を見せつけられる形となった。

上地が6-1、6-1で勝利し、JWTAマスターズ10連覇を達成した。

中学生から世界1位のアスリートへ

上地は、11歳で車いすテニスを始め、12歳のときに、このJWTAマスターズに観戦に訪れたという。そして、翌年の2007年、13歳で初出場し準優勝するという衝撃のデビューを果たした。さらに、翌2008年には、14歳ですでに国内ランキング1位となり、JWTAマスターズでも初優勝を飾った。初出場から11年、初優勝から10年の月日が経ち、なおも上地はマスターズの頂点に立ち続けている。

「10連覇を意識したことで、序盤ちょっと硬かったかなと思いますが、田中選手のいいプレーがありながらも、6-1、6-1というスコアで終われたのはよかった」と試合を振り返った上地。そして、「これからもっともっと若い選手が出てくる中でも、10連覇が、15連覇、20連覇できるように、自分もパワーアップしていかなくちゃいけない」と、10連覇を達成しながらも、なお自分を高めていこうとする言葉を口にする。

今シーズン、上地は6月12日付け世界ランキングで1位に返り咲き、全豪、全仏、全米と、3つのグランドスラムを制するなど、シーズンを通じて好調を維持してきた。

「(5月の)ジャパンオープン以降、7月に車いすを変えて、それにともなってプレースタイルも少し変えきました。新しいことをしているので、結果は出ないだろうと、今年はテストの年だと思って臨んでいたことで、リラックスしながら試合に臨めたのかもしれません」と上地は今シーズンを振り返った。

中学生だった少女は、日本のマスターズという大会から飛躍し、世界1位に君臨するまでのアスリートへと成長した。世界の頂点を極めたプレーヤーがJWTAマスターズに出場し、国内の選手へその力を示すことは、やがてさらなる世界的プレーヤー誕生につながっていくことだろう。

男子は眞田が3連覇、クァードは菅野が初優勝

眞田は危なげないプレーで3連覇を飾った
眞田は危なげないプレーで3連覇を飾った

男子は、眞田卓が3連覇を達成した。この3年、国枝慎吾不在の中で、国内2番手のプレーヤーとして、その役割をきっちり果たしてきたと言ってもいいだろう。

決勝の相手は、世界ランキング23位の藤本佳伸。第1セット、藤本はリターンが冴え、眞田のサービスを2ゲーム連続でブレークし、好調さを見せつけたが、眞田も焦りはなかった。

「相手のリターンがよく、昨日までよかったサーブが、今日はあまりよくなかったですが、自分の課題である、ポイントを取るパターンにいかに挑戦できるかというところを意識してプレーできた」と試合を振り返った。6-3、6-2で藤本を下し、危なげなく3連覇を果たした。

この数年は、常に世界ランキングのトップ10内を維持し続けているが、まだ上位8名が出場できるグランドスラムへの出場経験はない眞田。2015年には、世界のシングルスマスターズに初出場を果たしたこともある実力者は、グランドスラム出場を渇望する。

眞田の来シーズンの目標はグランドスラムに出ること。そして、自分よりも格上の選手との対戦を増やして経験値を上げられるように、トーナメントを選択し、ランキングをさらに上げていきたいと語った。その視線は、すでに3年後を見据えている。

東京パラリンピックを目指す菅野
東京パラリンピックを目指す菅野

クアードは、今季からクァードに転向した菅野浩二が初優勝を果たした。決勝は昨シーズンまで一般男子でプレーしていた菅野、もともと頸椎損傷でありながら、男子でプレーを続けてきていた。昨年の本大会で、欠員が出たために繰り上がりで出場を果たした菅野は、JWTAマスターズに出場するというひとつの目標を達成した。

「一度はマスターズに出たい」。それが叶ったことで、もうひとつステップアップしたいと考えるようになった。クァードクラスに転向すれば、パラリンピックでメダルも狙えるはずとのアドバイスを受けて、東京パラリンピックを目指すことにした。

世界ランキングでは国内2番手の菅野は、2018年のアジアパラ競技大会の日本代表を目指す。

text&photos by Tomoko Sakai

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