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パワーリフティング
「心のべっぴん」になるには!?女子大生が『あすチャレ!Academy』に参加して感じたこと
こんにちは、パラサポ学生ライターの篠原美奈巳です。今回は、日本財団パラリンピックサポートセンターでおこなわれた「あすチャレ!Academy」の模様をお伝えします!
『あすチャレ!Academy』とは
パラリンピックやパラスポーツを題材に障がい者の “リアル” を当事者講師から聞き、学び、一緒に考えるダイバーシティセミナーです。今回の講師は、パワーリフティングで東京パラリンピック出場を目指すマクドナルド山本恵理選手。参加者は、私と同じ女子大生や会社員など、誰でも参加できる和やかな雰囲気で開催されました。
障がいのある講師の話にびっくり
この「あすチャレ!Academy」の最大の特徴は、パラスポーツを題材に障がい者の “リアル” を、実際に何らかの障がいのある当事者講師から学び、一緒に考えるという点です。山本選手も先天性の二分脊椎症で車いすで登場されました。恥ずかしながら私は、今回のセミナーで初めて山本選手のことを知りました。
セミナーの始めに山本選手から、「自分は何の競技をやっているか?」というクイズが出されました。答えはパワーリフティング。この競技についてよく知らなかった私は、そのイメージと可愛らしい山本選手とのギャップにとても驚きました。こんな可愛らしい見た目で、あんなに重そうなバーベルを上げちゃうなんて!
パワーリフティングは、障がいのレベルではなく体重別に階級が分類されます。世界記録は107㎏超級の選手が上げた310㎏で、この重さはわかりやすく言うとマツコ・デラックスさん約2.5人分だそうです!この競技の場合は、純粋に腕の力のみで持ち上げているため相当なパワーだということがわかります。
自分事に落とし込んで考える
そうそう、あすチャレ!とは「あすへのチャレンジ!」を略した言葉なのだそうです。セミナーの最後には明日からの自分がどうなりたいかを考えて「あすチャレ!宣言」を発表することになりました。参加者は、セミナーを通して学んだり感じたりするだけではなく、自分自身がどうなりたいかまで考えさせられます。
セミナーの中で山本選手はモニター映像を使いながら、パラリンピックの歴史についてわかりやすく説明してくれます。パラリンピックが目指しているのは、共生社会の実現だと教えてくれました。正直私は各国のアスリートたちが自らの能力を最大限に発揮し、国を超えて競い合うスポーツの祭典というイメージしかなかったため、共生社会の実現という目的があるということは意外でした。
障がい者の“リアル”と疑似サポート体験
話はパラリンピックが目指す共生社会とは何か、というテーマに移ります。共生社会とはインクルーシブ社会とも言い、全員参加型の社会を目指したものです。山本選手の普段の生活での体験談や他のパラスポーツ選手たちのインタビュービデオを通して、障がい者を取り巻く日本の現状や、障がいの無い人と障がいのある人が全員参加できる社会とはどんなものなのかを学んでいきます。
「駅で困っていそうな障がいのある方を見かけたとき、どう声をかけたらいい?」
「車いすの方と出かけるとき、注意することって何?」
などの素朴な疑問にパラスポーツ選手たちが答えるビデオは、とてもわかりやすい!また、講義では座学だけではなく、障がいのある方の疑似サポート体験もあり、参加者同士で障がいのある人役とサポートをする人役に分かれて、教わったことを実行し、理解を深めていきます。一度体験をしておくことで、実生活でそういった場面に遭遇しても自然と手助けがしやすくなるなと感じました。
セミナーを通して、山本選手の言葉の多くがとても印象に残っています。
山本選手は車いすで常に生活をしているのですが、よく「車いすって大変そう」と言われると話します。しかし、彼女にとっての車いすは障がいではなくむしろ彼女を日頃助けてくれる大事なツールであり、彼女を「大変そう」にしているのは、階段や段差などのまわりの環境なのです。しかし、そんな環境の障がいも周りの人々の気遣いや心遣いで乗り越えることができます。障がいのある人を、「大変そう」と思って見ているだけでなく、少しの心遣いで「大変そう」の原因になる障がいを失くすことができると気づかされました。
山本選手は以前カナダに住んでいたことがあり、街自体は日本のバリアフリーの方が進んでいたが、カナダは一歩外に出れば周りの人が自然にコミュニケーションをとりながら助けてくれる環境だったと教えてくれました。彼女はそういった心遣いのできる人を「心のイケメン、べっぴん」と呼びます。私の『あすチャレ!宣言』は、山本選手の言葉を借りて、「こころのべっぴんになる!」に決めました。
「あすチャレ!Academy」を受けて、いかに普段の生活で障がいのある方々と触れ合ったり知り合ったりする機会が少ないかに気づきました。「あすチャレ!Academy」を一度受ければ、 “障がい” が障がいのある人にとってどんなものであるのか、日頃どんなことを思っているのか、困っている時にどう手助けをしたらいいのかを知ることができます。支え合うという気持ちを持ち、且つ実行できてこその「心のイケメン、べっぴん」になれます。
まずはあすチャレ!Academyに参加して、障がいについて知ることから「心のイケメン、べっぴん」に一歩近づくことを周りの友人にもお勧めしたいと思いました。
パラサポ学生ライター 篠原美奈巳(筑波スポーツ編集部)
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