前回の記事で関さんとの熱闘のボッチャ対決を終えたライターの真崎です。試合後にボッチャトークをしようとお願いしたところ「ボッチャのことを語るなら、知識も情熱もすごい “村上さん” にお願いしたほうがいいです!!」とのこと。
ということで、急遽駆けつけてくださいました。
こちらが、ボッチャ日本代表ヘッドコーチであり、日本ボッチャ協会強化指導部長も務めている、村上光輝(むらかみ みつてる)さん。
「ボッチャを語ってもらうならこの人しかいない」レベルの村上さんに、ぜひ存分にボッチャトークをしていただきましょう。
遊びや企業研修も。障がい者以外にも広がりを見せるボッチャ
今日は、初めてボッチャを体験させてもらえて楽しかったです! 私のような初心者でも手軽にプレーできるのがいいですよね。
公式の大会では難しいルールも多いんですけど、基本的なルールは「相手より自分のボールを白ボールに近づければ勝ち」ですからね。ダーツやビリヤードと同じく、ボッチャは遊び感覚で気軽にプレーできるようなスポーツなんです。
シンプル。でもダーツやビリヤードと違って、一般の人がボッチャを知る・プレーする機会ってなかなかない気がします。
意外とそんなことないですよ。地域の体育館や特別支援学校みたいな福祉施設には、ボッチャボールって必ず置いてあるんです。2015年からは障がい者スポーツとしてではなく「一般のスポーツ」として普及を目指すようになって、企業の研修やレクリエーションとしてボッチャをするケースもすごく増えているんですよ。
頭脳戦のチームプレーだから、プレーヤーの性格も出やすいんですよね。「俺はこう思うんだけど」「お前こうやれよ」って、伝え方も人それぞれで(笑)。チームワークが良くなければ勝てないですし、組織のチームビルディングにも適しているんでしょうね。
ボッチャは障がい者スポーツのイメージが強いですが、障がい者以外の競技人口も多いんですね。一般の方が参加できるボッチャの大会ってあるんですか?
一般の方が参加できる「東京カップ」という大会を、2017年3月に初めて開催しました。大会があると、やはり皆さん火がつくみたいで。最近開催された一般企業のボッチャ対抗戦では、約70社のエントリーがありました。
そんなにたくさん! やってみるとハマる方も多そうですね。
シンプルだけど楽しいですからね。一般の人が遊びでやる時には、小さいコートでやるほうがいろいろと面白いんです。最初にどちらかが好きな場所にボールを転がすでしょ? もうそこから頭脳戦は始まっているんですよ。できるだけ遠くに転がす人もいますし、転がすのではなく自分の近くに投げて「落とす」のもすごく面白い。将棋やオセロ、囲碁のような感じで、先々の戦略を考えながらプレーを進める。ジャックボールにピッタリ近づけたら観客からすればナイスプレーですが、先々のことを考えると本当は違う場所を狙っていたほうがいい場合もありますから。
他スポーツとのコラボも! ボッチャの強化と普及を兼ねた「全国キャラバン」
先ほど日本対イギリスの試合を見たんですけど、すごいですね。自力の投球が不可能でもアシスタントや用具の力をうまく使いながら、あんなに狙い通りに投球できるなんて。
投げた球がジャックボールの近くで止まったら、大体「おぉ!」と拍手が起きていたでしょう?
起きましたし、私も思わず驚きの声が出てしまいました。
でも、選手の狙った場所からは外れていたかもしれない。本当はミスだったかもしれないのに、ワーッと拍手が起きるのはおかしいんですよ。
言われてみれば確かに……。その辺りはボッチャに詳しくないと判断が難しいですよね。
そうなんです。だから今、ボッチャの普及と選手強化を兼ねて「全国キャラバン」をしているんです。
東京ではボッチャの国際大会なんかもあるので、隣のサブアリーナなどで体験会を開催できます。でも、地方ではそれが難しい。だから、コーチやトレーナーも同行で地方に遠征して、選手の公開練習や他スポーツとのコラボを行っているんです。先日は高知県の特別支援学校に行って、生徒と選手がボッチャで交流しました。翌日には、高知の市民球団とジャイアンツ3軍との試合があったので、球場の外で体験会をさせてもらいました。来月は、秋田のBリーグ試合会場でもボッチャ体験をやらせてもらう予定です。地方に住む一般の方やスポーツ好きな方にボッチャを知ってもらって、「あ、これ面白いですね」と魅力を感じていただきたい。だから、今後も地方のスポーツチームとコラボしながらボッチャを広めていきたいなと思っています。※注:2017年11月時点
全国にボッチャが広がると、日本のボッチャ界はもちろん、パラリンピックも盛り上がりますね。
そうですね。自分たちとしては、皆さんにボッチャをより詳しく知ってもらった上で東京パラリンピックを迎えたい。選手のプレーに対して、拍手もいいけど「今のはちょっとダメだろう」って観客の皆さんにうんちくを語ってもらいたいんです(笑)。「ちょっとパラリンピックを観てみよう」じゃなくて「ボッチャを観たい」と観客に集まっていただけるよう頑張りたいですね。ボッチャにはそれだけの魅力があると思っていますから。
おわりに:ボッチャ、やるのも観るのもメッチャ楽しい!!
今回、初めてボッチャの体験と試合観戦をさせてもらいました。
そんな私から皆さんにお伝えしたことは、「ボッチャ、メッチャ楽しい!!」です。
プレーはもちろん、試合観戦もドキドキと手に汗握りました。
シンと静まり返った会場で、ボールが投じられた瞬間に思わず漏れる「あぁ…っ!」という観客の声や拍手。
あの緊迫感、ぜひ生で味わってほしい。
2018年5月には仙台で体験会が開催予定だそうです。特別な施設でなくても実施できるのがボッチャの良いところ。ちょっと探してみたらあなたの住んでいる地域にボッチャができる施設があるかもしれません。あなたの町に火ノ玉ジャパンがキャラバンでやってくるかも・・・。(こちらのサイトで全国のボッチャのチームが検索できるのでチェックしてみてください!)
「あ、ボッチャ面白い!」とボッチャに魅せられる人が、少しでも増えたら嬉しいので、私も魅力を伝えまくります。2020年の東京パラリンピックのボッチャ試合会場(有明体操競技場)でうんちくを語れたらちょっと鼻高いかも!?
ぜひ、奥深いボッチャの世界を覗いてみてくださいね!
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text Mutsumi Masaki